「新しいあたりまえをカルチャーを通してつくっていく」アートやファッションを通して環境問題と向き合う長谷川ミラ×吉本翔(WORDS Gallery)×松原光 鼎談【Sponsored】

Text: Fumika Ogura

Photography: YURI HORIE unless otherwise stated.

2022.4.22

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 2015年4月より海洋保護団体の「Parley for the Oceans(パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ)」とパートナーシップを結んでいるadidas。これまでも、海岸や海沿いのコミュニティで回収されたプラスチックゴミをアップサイクルして、高性能のシューズに生まれ変わらせるエコ・イノベーションや、海洋のプラスチック汚染の解消を目指したプログラムをサポートするなどの取り組みをしてきた。今シーズンは、adidas Originals(アディダス オリジナルス)のアイコンとも言える、SUPERSTAR(スーパースター)、STAN SMITH(スタンスミス)、NIZZA(​​ニッツァ)のシューズやウェアに、“プラスチックゴミ ゼロの未来”へ向けて⽣まれた素材、「Parley Ocean Plastic(パーレイ・オーシャン・プラスチック)」を⼀部使用したアイテムをリリースする。「普遍的価値をあたらしく作り変えていく」ことを掲げたプロジェクト「adidas Originals by Parley」だ。
 そんなアイテムを、環境問題に対してさまざまな発信をしている長谷川ミラ、環境問題をコンセプトに掲げたアートを発信するギャラリー「WORDS Gallery」を立ち上げた吉本翔、そして以前吉本のギャラリーで、海洋汚染をテーマに作品を作ったアーティストの松原光に着用してもらい、それぞれの立場から環境問題に対しての考えを話してもらった。

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左から松原光、長谷川ミラ、吉本翔

長谷川ミラ着用
パンツ FIREBIRD TP PB[HE9518]自店販売価格:¥8,789(税込)※6月上旬 発売予定
シューズ SUPERSTAR PARLEY[GV7615]自店販売価格:¥16,000(税込)

吉本翔着用
トラックトップ FBIRD TT[HB9431]自店販売価格:¥10,989(税込)※6月中旬 発売予定
シューズ NIZZA HI PARLEY[GV7617]自店販売価格:¥13,500(税込)

松原光着用
Tシャツ TRACE TEE[HB9527]自店販売価格:¥5,490(税込)
シューズ STAN SMITH PARLEY[GV7614]自店販売価格:¥16,000(税込)

ーまず、みなさんが環境問題について興味を持ったきっかけを教えてください

長谷川ミラ(以下、長谷川):学生時代にイギリスに留学していたのですが、 イギリスは社会問題について考えるのが当たり前の国で。ごく自然な流れでエコや社会問題について取り組むようになりました。

吉本翔(以下、吉本):自分は自然に囲まれた環境で育ったということもあり、環境問題については常に向き合ってきた方だと思います。昨年の6月には「気候危機」や「生物多様性」など、環境問題をコンセプトに掲げたオンラインギャラリーWORDS Galleryをオープンして、松原さんには「プラスチックゴミによる海洋汚染」をテーマに作品を作ってもらいました。

松原光(以下、松原):僕の場合はこれまで環境問題についてそこまで深く考えてなくて。それこそ吉本さんが誘ってくれたWORDS Galleryでの展示や、ほかの仕事でSDGsについての案件をいただいたりするなかで、自分で少しずつ環境問題について調べるようになった感じですね。もともと漁師をしていたこともあり、海を仕事場にしている友人も多いので、これから何か行動を起こしていけたらなと思っています。

ーそれぞれ環境問題について発信をしていくうえで気をつけていることはありますか?

吉本:WORDS Galleryを立ち上げる前は、環境問題について関心がない人にちょっとしたフラストレーションを感じることはありました。立ち上げてからも、声をかけたアーティストさんのなかで「本当に地球は温暖化してるの?」「二酸化炭素を減らせば解決するの?」って考えている方もいて。でも自分とは真逆の意見ではありつつも、多様な考えを取り入れていくことで、問題提起をしていけたら良いと思ってキュレーションしています。それぞれでできることも違いますしね。

長谷川:私も何かを発信するときは、「〜をやるべき」「〜をした方がいい」と、押し付けないようにするのを心がけています。環境問題に関してまったく興味がない友人もいますが、それが問題だとは思いません。人それぞれで変わるタイミングがあると思うので、そのきっかけが私じゃなくてもいいと思いながら活動しています。

松原:僕はもともとは全く知らない立場ですし、環境問題について個人的な発信は特にしていませんでした。ただ、WORDS Galleryで展示をさせてもらったときのように、テーマを与えられて作品を作るのは好きなので、そういうやり方でこれからも取り組めたらいいなと思いますね。ひと目でパッと見て分かりやすいメッセージを伝えられる可能性があると思うので、僕の絵を通して、環境問題について興味がない層に自然と響かせていけたらなって。

吉本:アートにはその可能性がとてもあるよね。

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ー今回身につけていただいたウェアやシューズは、“プラスチックゴミ ゼロの未来”へ向けて⽣まれた素材「Parley Ocean Plastic」を使用していますが、着用してみてどうでしたか?

長谷川:吉本さんがアートには可能性があると言ったように、私はファッションもそうだと思っていて、言わば「着れるアート」ですよね。例えば、「このトップスかわいいね」「これは全部リサイクル素材でできてるんだよ」っていうコミュニケーションが生まれていくのが理想だなと思っています。

松原:それこそ今回着用したウェアや、スーパースターやスタンスミスなどの定番アイテムがリサイクル素材になっているのがいいなと思いました。

長谷川:特にスタンスミスは、2021年1月に全ての商品をリサイクル素材に切り替えましたよね。長年愛されているアイテムが、環境負荷の少ないものに自然とアップデートされているのがいいですよね。日本は、海外と比べて消費者が声を上げることが少ないので、企業から消費者へアプローチしていくのがいいのかもしれないなと思いました。

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吉本:馴染みのあるアイテムを身につけるだけで、環境に配慮をしている。環境問題を考える入り口として入りやすいですよね。そして、長く使うことも大事。

松原:僕はこれまでサステナブルを基準に洋服を購入したことはあまりないのですが、何か新しいものを購入するときはなるべく知り合いのお店で買うようにしていますね。

長谷川:「買い物は投票」ですよね。何か一つのモノを買うとしても、例えば、リサイクル素材を使用しているものを選んだり、買うことでどこかに募金ができたり、はたまた作り手から買うことで、制作した思いを知ることができたり。どんなモノでも、何かしらのエピソードがあると、モノに愛着が湧くし、大切にしようと思いますよね。

ー最近の風潮として、とりあえず「SDGs」を掲げているようなシーンも見受けられます。それについてどう思いますか?

吉本:自分の立場は、環境活動している人に比べたら下のレイヤーにいると思っていて。その角度から見ると、まずは形だけでも問題意識が広まるなら、それでもいいと思いますね。小泉環境大臣のレジ袋有料化もパフォーマンスだと言われているけど、そうやって批評する人たちは、自分たちがそれらの問題に対して蚊帳の外から見ているだけのような違和感を感じます。もちろん嘘や偽りのグリーンウォッシュはよくないですが、少しでも何かが変わるのであれば、完璧じゃなくてもSDGsを謳うことは問題ないと思います。

長谷川:私もその通りだと思います。「やらない偽善よりやる偽善の方がいい」って言葉があるぐらいで、やらないよりはやる方がいい。そもそも、目標を掲げてそこに向かって頑張っていくことは、嘘ではないと思います。最近だと、「プラスチック=悪」っていう方程式ができてしまっていますが、ポイ捨てや、海にそのゴミが流れついてしまったのが目に付くだけで、決して悪ではないんです。例えば、2020年度のペットボトルのリサイクル率は88.5%と高いですし(参照元:PETボトルリサイクル推進業議会)。なので、一概にこれはNGだと言うのではなくて、たくさんの情報に触れてほしいなと思います。何か新しいものを買うばかりではなく、すでに持っているものを繰り返し使うことや違う使い方を見出すのも大事なことですよね。

吉本:答えは一つじゃないですもんね。まずは、自身で何ができるのかを考えることが重要なのかなと思います。

長谷川:これまでも、環境問題に対して活動してきた人はたくさんいるし、テレビでも専門家が話したりしていますが、いまだに解決していないのはなんでだろうって思っていました。だから私がそういった情報を引用して、モデル活動やラジオのパーソナリティを通して、伝えていく役割になろうって思ったんです。よく目上の方にも、環境問題や社会問題をお洒落に発信するから広まらないんだって言われることもあるんですが、こういう問題こそ、ファッショナブルにかっこよく広めるべきだし、まずは流行として引っ掛かりを作ることで、いずれは定番化していくような流れが作れたらいいなと思います。

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ーファッションやアートを通して環境問題に取り組むことは、矛盾も多く生じてくることがあると思います。自身のなかで矛盾が起きたときは、どのように向き合っていますか?

吉本:自分はオンラインギャラリー以外で音楽レーベルもやっているんですが、CDや物販を作らなければならなくて。新たに何かを作ろうとするたびに、その矛盾に対して悩んでしまいますね。けど、CDや物販を作って音楽活動をすることは、アーティストの人生でもあるし自分の人生でもあるから、プラケースをなるべく避けつつ、CDのプレス枚数を限定してみるとか、Tシャツの素材をオーガニックコットンのボディで作ってみようと考えてみたり。自分の考えと行動の矛盾に一つ一つ向き合って、納得のできる答えを探していくしかないのかなと思います。ミラさんが身を置いているファッション業界では、そういった矛盾が起こりやすいと思うんですが、どうやって自分のなかで消化していますか?

長谷川:私はファッションを通して、直接的に社会問題を発信するのはやめました。一時期ファッションが嫌いになるくらい自分を追い込んでしまって、洋服もあまり買わなくなったことがあったんです。けど、以前ニューヨークのコレクションでショーを見に行ったとき、かわいいドレスに腕を通したら自然と「楽しい!!」って口に出たんです。そのときにファッションのパワーを再確認して、環境問題や社会問題だけでなく、世の中のいろんな問題を解決していくためのフックになるなと思いました。

ー例えば、ファッションだとどのような問題に対してアプローチができるのでしょうか。

長谷川:もちろん環境のためには、洋服を作ることはマイナスではあることだけど、この服を通して、「ジェンダーの発信ができるかもしれないな」「オーガニックコットンを使ったら、リサイクル業界をサポートできるかもしれないな」と、違う側面からファッションをみつめることができて。身につけるだけでポジティブな気持ちにさせてくれるファッションは、何か問題を解決していくための一つの糸口になり得るなと思うようになりました。

吉本:ミラさんの話を聞いて、とてもスッキリしました。自分は音楽の力もアートの力も信じているので、そこの部分から伝えられることがありますよね。以前、NEUT Magazineでアーティストさんと対談をしたのですが、その方が言っていた「情熱を忘れたら何もできない」に通ずることだなと思いました。やっぱり、情熱を忘れたら前に進んでいくこともできないですよね。

長谷川:絶望と希望の繰り返しですよね。私はブランドもやっているので、それが自分のなかで最大の矛盾でもあります。けど、自分のブランドを好きで買ってくれている若い世代の子たちが、ファストファッションを買うよりもこっちを選んでくれたらいいなって。やっぱり、一生懸命お金を貯めて買った服ってすごく大事にすると思うんです。私も長く着られるようなデザインを考えているし、今はそんな気持ちを大切にできる消費の仕方を提案できたらと思っています。

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ー矛盾を自分のなかで消化していかないと次の問題も見えてこないですよね。

吉本:変わっていくためには、一時的な犠牲は必要ですよね。

長谷川:いつかその矛盾がなくなればいいですが、何かを達成していくための負担なのかなと思います。

松原:僕は二人ほど意見を持っていなかったので、話を聞きながら考えさせられました。今も神戸在住なのですが、友人とこういった話も繰り広げられないですし、みんな自分たちの生活だけで精一杯。テレビやネットなどでは環境問題に関して、いろんな情報が投げかけられているけど、そのまま流れてしまってることがほとんどだと思います。

長谷川:そうなりますよね。けど環境問題って、ほとんどが都市の問題なのかなと思っていて。だから都心から変わらなければならないと思うんです。東京が変われば徐々に日本全体も変わっていくはず。だから、都市部に住んでいる人たちはもっと責任を感じなければいけないなって。

松原:だから今回身につけたウェアやシューズのように、いつの間にか素材が変わってて、知らないうちに環境にプラスなことをしていたというのは、すんなりと受け入れられるし、今後、理想的な流れだなと思いました。

長谷川:私は情報を発信する、吉本さんはキュレーションをする、そして松原さんは絵で表現をする。一人で何かを解決していくのは難しいですが、それぞれに役割があると思うんです。自分の立場からできることや考えられることをみつけていきたいですよね。

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adidas Originals by Parley

Website

「adidas Originals (アディダス オリジナルス) 」 が、海洋環境保護に取り組むParley for the Oceans (パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ)とのコラボレートコレクション、「adidas Originals by Parley」 を 2022年4月22日(金)より発売。
本コレクションは、海岸や海沿いのコミュニティで回収されたプラスチックゴミをアップサイクルして生まれた素材「Parley Ocean Plastic」を50%以上含む糸を採用。残りはリサイクルポリエステルを使用し、アディダスが掲げるサステナビリティへのコミットメント「END PLASTIC WASTE プラスチックゴミ ゼロの未来へ。」 に向け、アディダス オリジナルスの定番モデルをアップデート。
TODAY’S ICONS, MADE FOR TOMORROW – あたりまえを、あたらしく。
キャンペーンのメッセージには、普遍的価値をあたらしく作り変えていくという思いが込められている。
#adidasOriginals #ENDPLASTICWASTE

展示情報

コレクションの発売を記念し、グラフィックアーティストの松原光氏、ペインティングや刺繍を用い表現するアーティストの松岡亮氏を起用し、4月22日 (金)から6月中旬までアディダス オリジナルス フラッグシップストア原宿・新宿で「adidas Originals by Parley」やサステナビリティをテーマにしたアートの展示を開催。
アディダス オリジナルス フラッグシップストア 原宿では、社会問題、環境問題をテーマにした作品を発表しているWORDS Gallery 監修・プロデュースの元、漁師を経てグラフィックアーティストとなった松原光氏が手掛ける店内のインスタレーションが楽しめる。アディダス オリジナルス フラッグシップストア 新宿では、数多くのキャストから回収した古着をペインティングや刺繍を用い表現するアーティストの松岡亮氏によってリメイクされた作品を展示。

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