「実はセックスについてオープンに話すのはこわいところもある」と言いながら、セックスに対する考えをざっくばらんにNEUTに話してくれたMegumi。東京在住、大手企業で働く彼女が今回とても個人的な話を教えてくれたのは、セックスにオープンになることが社会にとって重要だと感じているから。
彼女との会話のなかで感じたのは、セックスにおいてコミュニケーションが必要不可欠だということ。
ー今回NEUTでセックスについて話してくれることになったけど、もともとセックスに対してオープンじゃなかったって本当?
うん、全然。わたしはもともと自分のこと「絶望的なロマンチスト」って呼んでた(笑)アメリカのラブコメ映画とか観て「高校で一番イケメンの子とチューしてランチは同じテーブルに座る」とか、そういうのにめちゃくちゃ憧れてて。だからカジュアルセックスとかありえないっていうふうに感じてたのね。でも22,23歳とかで初めてセックスを経験したあとにちょっとどこかでプツンと切れたところがあって、そこから、カジュアルにセックスをするようになった。でもだからすごい遅いほうだと思う。セックスしたことある人も片手で数えられるくらい?経験は少ないほうじゃないかな。
ーじゃあもともとはカジュアルにセックスをすることに対してネガティブなイメージを持っていたんだ?
中高の時なんて、女子校だったっていうのもあってか、高校入学したぐらいでちょっとずつ学校の女の子たちがセックスをしはじめたりして、そうするともう学年中の噂になったりして。しかも結構ネガティブな噂だった。「え、もうヤったの?」「やばーいキモーい」とか。「キモい」って言葉が使われてた。わたしもその一部だった。今は考え方が変わってきているんだろうけど、男の人だと割と「え、まだ童貞なの?」って言われるけど、女の人はバージン歴が長いことが美徳みたいになっているから、そういう風潮のなかで生まれ育つと「高一で初体験?そんなのまだ早い、私はまだ守る」みたいな。最初のセックスは可愛いライトが照らされてて…とかいろいろ期待を膨らませてた(笑)
ーそこからセックスに対してオープンになったきっかけってある?
なんのタイミングで思ったのかは忘れちゃったんだけど、カジュアルにセックスをするようになってから「彼氏とかじゃないんだし、私も楽しまないと意味ないじゃん、これって自分の無駄じゃん」って自分で思った瞬間があって。たぶんそのときから、じゃあどうやって相手とコミュニケーションをとるのかとか、どういうふうに楽しむのかを調べるようになった。ポッドキャストでセックスについてオープンに話す女性たちを探して、そういうところから「こうやってパートナーと話してみるんだ」とか、「こうやって質問してみるといいんだ」とか学んでいった。
ー独学したんだね。セックス中にコミュニケーションをとるのは難しいと思う!
そう、「これ好き」とか「これやめてほしい」とか、そういうふうにコミュニケーションとるのって結構勇気がいる。結局一般的には身体的に男性が強いじゃん。私も今でもそうだけど、女性は怖いって瞬間を感じる人は少なくないと思う。でもここでなんか言ったらムード壊しちゃうとか、ここでなんか言ったら嫌がられるかなとか、そういうプレッシャーもある。だから本当に正直、コミュニケーションをとれることはスキルのあることだと思う。
でもそれってもしかしたら全然経験は関係なくて、人間性の問題なんだよね。両者が共にコミュニケーションが取りやすい環境にしていけるかどうかが大切。女の子が嫌がってたら、普通の男の人だったら…普通っていうのは、お互いにとってその場を楽しいものにしようって考える人なら「今楽しんでる?」とか「大丈夫?」って途中で聞いてくれるはずで。それでわたしはこの半年から一年で、セックスのときに何が気持ちよくて何が嫌かってコミュニケーションをとるようになった。わたしはそれを自分の一つの成長だと感じている。変な成長かもしれないけど。
ーそもそもなんでセックスについてのコミュニケーションをとるのは難しいんだと思う?
セックスに対する偏見だよね、やっぱり。日本ではセックスは「いやらしいもの」だってネガティブにみられることが多い気がする。最近の欧米のテレビ番組だとセックスが現実的に視覚化されているものがある。カジュアルに、恋愛における一つの要素としてセックスが描写されているんだけど、もっと日本のカルチャーでもオープンに出すことでもしかしたら共感できる人とかが増えるかもね。それこそ日本のドラマとかを観ていると、そもそもそういうシーンがあんまりない。あるとしたら唇と唇がチュッとくっつくだけ。既存のメディアには、セックスは女性も楽しめるってメッセージって本当に少なくて。
ーメディアでセックスをどう扱うかはされるべき大切な議論だね。
わたしはセックスがサブカルチャー的なジャンルに入っちゃうこと自体が嫌。メインストリームじゃなきゃいけない。でもそこはたぶんセックスに限らず、日本のメディアに対しての私のうっぷんなんだけど。保守的で自主規制が多いテレビとかマス広告がいまだにメインストリームだし、それにみんな慣れちゃってるから、そこをもっとウェブ上でオープンに発信していってそれがメインストリーム、新しいマスメディアになっていって欲しいな。
ー社会においてセックスがどんなふうに捉えられるのが理想?
「Megumiは英語が話せて外国人と話せるし海外の情報も取得できるからでしょ」っていうふうに言われたらそれで終わりなのかもしれないけど、そういうことについて話せる人がもっと増えたらいい。それをみてみんな、「あ、いいんだ、こういうふうに考えても」って広まっていくかもしれないし、そうやって広めたほうがいいと思う。こういうことを話すからって“アバズレ”じゃないし、変な人じゃない。セックスはライフスタイルの一部だと思う。「セックスは日常からかけ離れた世界で起こる特別なこと」じゃないはずだし、実際自分の日常のなかで起きることでしょ。今朝スタバへコーヒー買いに行った、っていうぐらいのカジュアルなものであっていいなって思う。そうなったらいいな。
「これから残りの人生でどんなセックスができるのかワクワクしてしょうがない!」と笑顔で話していたMegumi。世間的にセックスに対してネガティブなイメージが存在していること自体が不思議になるぐらいだった。「お互いに楽しめるものじゃないとそれはセックスじゃない」。それはあるパートナーに彼女が言われた言葉。セックスをなんのためにするのか、誰のためにするのか。それぞれ理由はあるかもしれないけれど、「自分がどうしたいか」を忘れてはいけないと考えさせられた。
今回NEUTがメディアとしてセックスについてオープンにヘルシーに話すべきだと思った理由は、セックスをタブー視する社会的風潮が邪魔をして必要としている人が正しい情報に簡単にアクセスできない現状が問題だから。個人が自分のセックスについて話さなければいけない、ということではなく、オープンに話せる人がもっと声をあげたり、話し合えるスペースが増えれば、その結果より多くの人が安全に、楽しくセックスができるはず。