「このままの日本で大丈夫なのかな?」長谷川ミラが社会問題を発信する理由|キットずっといい未来 10月のYouTube

Text: Moe Nakata

2021.12.14

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キットずっといい未来
食品メーカー・ネスレ日本が全ての“キットカット”のパッケージをリサイクル・リユース可能な素材へと変えるサステナブルプロジェクトを始めた。紙パッケージの採用は小さなことかもしれないけれど、そこで生まれたアクションは社会に変化をもたらす大きな一歩。この動きに端を発し、現在#キットずっとをキーワードに、サステナビリティにまつわるさまざまなコンテンツを発信している。本連載「キットずっといい未来」(ネスレ&NEUT powered by REING)では、その活動の一環としてNEUT Magazineとコラボレーション。2021年2月から2021年7月まで行った環境問題に対してアクションを起こす人々をインタビューしていく連載が形を変え、2021年11月から環境問題に多面的に取り組むYouTubeのキットカット公式チャンネルを毎月振り返る。
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 2021年2月から始まった「キットずっといい未来」の連載は、形を変え12月から「キットずっとプロジェクト」のYouTubeを紹介することになった。今回は10月に公開された4本の動画を紹介する。
 10月はこのYouTubeのMCであり、モデルとしても活躍する長谷川ミラの個人の活動に密着。彼女が持つアパレルブランドのリニューアルのためにバッグの生地を裁断する障がい者就労施設「マザーアース新発田(マザーアースしばた)」とその生地からバッグの縫製を行う「株式会社スパンギャルド」に訪問。福祉と企業の繋がりについて学び、MCやトークショーにて発信することの意味を考える。
 ファッションと福祉、そしてゴミ問題を包括する活動を見せる長谷川ミラ。彼女の何事にも全力で行動し学ぶ姿から、今後を生き、働くためのヒントを思いつくかもしれない。

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長谷川ミラ

【密着取材】自分の活動を発信し続ける訳とは(2021年10月20日)

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 長谷川ミラの活動についてインタビュー。彼女が持つアパレルブランド「jam apparel(ジャムアパレル)」をアップデートするために新潟の障がい者就労施設「マザーアース新発田」に訪問する。ブランドのポップアップなどで出会う人に説明できるようにと新潟まで足を運んだ長谷川ミラ。施設に訪問する前に、まずは自然に囲まれた新潟を散歩する。

(YouTube抜粋)
ー今のような活動をするようになった背景は?

ロンドンにある美大に留学したことをきっかけに社会問題全般に興味を持ちました。興味を持つというより、イギリスにいた人の関心の高さに衝撃を受けた。日本ではいろんなものが整ってて幸せな国だけど、同時に社会問題について日常で話している人にあんまり会っていなくて。「このままの日本で大丈夫なのかな?」っていう焦りから社会問題について発信をしようと思ったかな。このYouTubeでは映像や旅を介して、「考えたり行動を起こしたりすることは難しくないよ」っていうことを伝えていけたらなと思います。

ー自分の活動を発信し続ける理由は?

自分がやっていることを意外と発信してこなかった。ものを作っていくうえでただおしゃれなものを提供するより、もう少し意味のあるものや工程をこだわっているものを伝えたいなと思っています。私もまだまだ未熟だけど、声を上げて活動していきたいと思っています。

【社会的自立】障がい者が心地良く働くことのできる環境作りに必要なこと(2021年10月23日)

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 長谷川ミラのファッションブランド「jam apparel」は繊維商社である「タキヒヨー株式会社」とコラボレーションし、サステナブルなバッグを制作する。環境への影響が懸念されるアパレル産業を変えていくために始まったグアテマラのアップサイクルプロジェクトである「THE NEW DENIM PROJECT(ザニューデニムプロジェクト)」。今回はこのプロジェクトに参加する障がい者労働施設「マザーアース新発田」に訪問。バッグとなる生地を裁断する作業を実際に体験し、代表取締役の秦徹(はた とおる)と共に施設や福祉との関わり方について話す。

(YouTube抜粋)
長谷川ミラ(以下、長谷川):この施設について教えてください。

秦徹(以下、秦):(マザーアースは)就労継続支援A型という福祉サービスをやっています。障がいを持った人を雇用して、福祉的なサービスを提供し、経済的な自立をしていただくものです。利用者がマザーアースに通い、仕事をしてもらって給料を渡しています。

長谷川:障がい者という言葉がありますけど、できないことがあるっていうよりそれぞれ得意なことがあると思うんですよね。障がいという言葉が壁を作っているような気がする。

秦:それは当事者本人もそうで、(障がい者という言葉は)自分の可能性の幅を狭めることにもなってしまいます。誰にも得意な能力は絶対にありますから、さまざまな作業を経験して社会的なチャレンジの場を1個でも増やしていくことで自分に合った仕事が分かるようになります。でも、そのようなチャレンジの場がないというのが問題となっているので、チャレンジの場を作っていきたいなと思っています。

決まったスペックに基づいた能力がある人を採用するのではなく、その人のスペックに合わせて仕事をちょっと変えるようにすると世の中が優しくなる気がします。組織って人が幸せになるためにあると思うんですけど、結果的に組織に入ることによって人が幸せにならないのであれば、それはお互いに不幸だと思います。やはり、一歩でも歩み寄ることが企業や社会側に必要だと思います。

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マザーアース新発田での撮影風景

 「マザーアース新発田」は新型コロナウイルスの影響で世の中が変化し、売り上げが下がったなか、経済的にも福祉事業所として成り立たせるためにもどのように上げていくかが課題のようだ。長谷川ミラは自身のブランドで販売するバッグの生地を切る作業を実際に体験し、健常者と障がい者の間の壁や距離に違和感を覚える。秦徹も同じように企業と福祉の間に壁を感じ、その壁をなくすことで生産性も向上し人の幸せにも繋がると主張する。

【ニューデニムプロジェクト】新潟で始まったゴミから洋服を作り出すリサイクル活動

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 「マザーアース新発田」で裁断された生地を使い、縫製を行う「株式会社スパンギャルド」に訪問。「スパンギャルド」はゴミを一切出さないバッグの製造方法で特許を取得し、ほかにもサステナブルな素材を使ったバッグを製作するなど環境に優しいバッグメーカーである。長谷川ミラが「スパンギャルド」の残間健太郎(ざんま けんたろう)に「THE NEW DENIM PROJECT」を行うことになった経緯やファッション業界の問題点などについて質問する。

(YouTube抜粋)
残間健太郎(以下、残間):タキヒヨーさんと取り組みが始まったきっかけは、アメリカの女優さんが日本でものを作りたいという話がありまして、(我々が)バッグを国内で作ることのできる会社ということでお取引をさせていただくことになりました。うちはゴミを出さない製造方法で特許を取得していてそれを使いながら商品開発をしていこうということになって、この「THE NEW DENIM PROJECT」が始まりました。

長谷川:洋服を作るうえですごい量のゴミが出るっていうことですよね。

残間:洋服もカバンも大体15%くらいゴミが出ていると言われているのが現状で、うちでははぎれが出たらパッチワークの鞄を作るというプロジェクトがあって、徐々にパッチワークの鞄を作り始めました。

長谷川:ゴミや汚染水など、服が販売される前の環境負荷がアパレル業界では問題だと感じているんですが、今後アパレル業界はどう変わっていけば良いですか?

残間:一応、(我々は)ゴミの出ない製造方法で特許は取っているんですが制限があるので、面白い鞄を作りたいと思ったらやっぱりゴミは出てしまうんですよ。なので、出たゴミをどう利用するか。例えばパッチワークを作ることや綿を再生して糸に戻すことなど。そういうこともできたら夢は膨らむかなぁと。なので繊維企業だけではなく、いろんな企業の方と話をすることによって新たな取り組みに繋がっていくと思います。

 残間健太郎は知り合いの紹介で「マザーアース新発田」を知り、生地の裁断を頼んだそうだ。このように異業種同士の取り組みが行われることで、新たな発想が生まれる。しかし、彼は異業種同士の連携が少ない理由として仲介者が足りていないと語る。長谷川ミラはファッションが障がいやゴミ問題などの社会問題に繋がっていることを感じ、今後も行動し続けようと決心する。

【長谷川ミラの思い】サステナブルという考え方を世の中の当たり前にしたい。(2021年10月29日)

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 五感を通して自然を感じるイベントのトークゲストや「PEACE DAY2021」のMCなど、長谷川ミラの普段の仕事に密着。イベントの裏側から彼女がなぜ発信を続けるのか、サステナブルに対しての思いを聞く。

(YouTube抜粋)
長谷川:自分が社会問題に興味を持って何ができるの?って考えたときに、SDGsの17個(の目標)を全部やるのは無理じゃん。しかも調べていくと17項目すべてに専門家やNPO法人がいた。だから、もういるんだったらモデルをやらせてもらっているからエンターテインメントのお仕事を通して何かサポートできないかなって思って、私がすごくたくさん発信するっていうより、こういう現実があるよっていうのを発信する。今回のYouTubeのように自分の言葉だけでなく、私を通して専門家の方々とかの言葉が映像になっていけば良いなと思っています。

 発信することは自分の頭の整理にもなると語る長谷川ミラ。若者には届きづらい深い内容の番組でMCをすることで、YouTubeでは若者にもわかりやすい内容で発信することの大切さを感じる。数々の団体や企業が社会問題に対して取り組みを始めているなか、企業との架け橋になってその活動を伝えていきたいと語る。

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長谷川ミラからのコメント!

自分が動いているプロジェクトが誰がどのように作ってくださっているのか、改めて知ることの大切さを感じましたし、それを今回“キットカット”チームに撮っていただき、視聴者の皆様にシェアできてとても嬉しいです。

次回は長野へ!!普段私たちが感じる大自然の森が、実は理想とするべき森ではない??
多くの生物が共存できる森の条件とは一体何なのか?
取材行ってきます!

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長谷川ミラ

1997年7月7日生まれ。南アフリカとのハーフで、2017年よりALL GENDER向けの自身のブランド「jam apparel」(旧「JAMESIE」)を立ち上げ、その後ロンドンの名門美術大学(セントラル・セント・マーチンズ)に入学。雑誌やTVで活躍するだけでなく、自身のバックボーンやブランド、ジェンダーレス、環境問題などを自由に発信し“私”を表現するモデルとして活動中。昨年10月より J-WAVE 「START LINE」ナビゲーターに就任!毎週金曜日16時30分~20時生放送中です。▷Twitter / Instagram

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