木がたくさん土に埋まってれば「森」なわけじゃない。長谷川ミラが学ぶ、日本の森林が抱えている問題|キットずっといい未来 11月のYouTube

Text: Moe Nakata

2022.1.25

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キットずっといい未来
食品メーカー・ネスレ日本が全ての“キットカット”のパッケージをリサイクル・リユース可能な素材へと変えるサステナブルプロジェクトを始めた。紙パッケージの採用は小さなことかもしれないけれど、そこで生まれたアクションは社会に変化をもたらす大きな一歩。この動きに端を発し、現在#キットずっとをキーワードに、サステナビリティにまつわるさまざまなコンテンツを発信している。本連載「キットずっといい未来」(ネスレ&NEUT powered by REING)では、その活動の一環としてNEUT Magazineとコラボレーション。2021年2月から2021年7月まで行った環境問題に対してアクションを起こす人々をインタビューしていく連載が形を変え、2021年11月から環境問題に多面的に取り組むYouTubeのキットカット公式チャンネルを毎月振り返る。
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 2021年2月から始まった「キットずっといい未来」の連載は、形を変え11月から「キットずっとプロジェクト」のYouTubeを紹介することになった。今回は11月に公開された4本の動画を紹介する。
 11月は、MCのを務める長谷川ミラと伊達ルークが森や山の自然保護ついて考える。前半では放置された里山の再生活動を基本に保全・管理するC.W.ニコル・アファンの森財団に訪問。実際に森の中を歩きながら理想的な森を目で見て体験する。後半は、実際に自然の中で生活をしている船山イサギと共に自然に暮らす人と都会に暮らす人の考え方の違いについて話し合う。
 森林破壊は私たちの生活にどのような影響を及ぼすのだろうか? 長谷川ミラは自然保護のメリットを分かりやすく伝えるために今日も奮闘している。

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左から長谷川ミラ、伊達ルーク

【環境問題】輸入木材により日本の森林が受けている影響と私たちの生活との関係(2021年11月26日)

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 C.W.ニコル・アファンの森財団の野口理佐子(のぐちりさこ)が森の中を案内。理想的な森の状態やこの森を作り始めたC.W.ニコルについて聞き、日本の森林が抱えている問題や、私たちの生活に与える影響について考える。

(YouTube抜粋)
野口理佐子(以下、野口):成長の遅い木は50年で腰の高さくらいにしか成長しない木もある。でもその木は大きくなって1,000年くらい生きることもある。木の種類によって寿命の長さも違うし、役割も変わってくるんですよね。

長谷川ミラ(以下、長谷川):じゃあ今から始めて30年40年の話なんですね。

野口:そうです。そして、ニコルは100年先を見ていました。森づくりは未来を信じること。未来のために今何をするかっていう100年後のことを想像して森をつくっているって言っていました。森の時間って壮大なスケールなので、今荒れていると将来もっと大変なことになってしまう。だから3世代先のことを考えて行動していかないといけないんですよね。

長谷川:それは明らかに私たちには足りていないですね。今は自分たちで精一杯だし、次の世代のことを考えられない世の中になっているなって感じます。そういう考えにならないようにするためにも本当に大切ですね。

伊達ルーク(以下、伊達):確かに100年先のことって今日のことなんだよっていう感覚は今の自分たちにはないよね。

 50年以上前に日本の素晴らしい自然に魅了され移り住んだ創設者のC.W.ニコル。高度経済成長とともに自然よりも経済を中心とした価値観に変わり、日本の素晴らしい自然が失われていくのを目の当たりにした彼は日本本来の自然環境を取り戻したいという気持ちからこの森を作った。今回長谷川ミラが訪問した森は彼が手入れを始めて35年目となる。100年後を見据えていたC.W.ニコルが手掛けた森には多くの生物の住みやすい環境が整っている。

【動物の絶滅と人の関係】人が壊した環境が与える自然界への影響とは(2021年11月27日)

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 引き続きアファンの森にて野口さんから案内を受ける2人。自然の中で作られた天然水を飲み、水の循環について改めて考える。アファンの森とスギが植えられた国有林の境目に行き、国有林との違いや時代による用水路の違いを体験。人間が都合の良い環境にしたことで他の生物の生活環境が変化していることを目の当たりにする。

(YouTube抜粋)
野口:国有林は人間が利用するために植えたので私たちは「森」と呼んでいません。「木の畑」って呼んでいます。栄養価の高い木の実がないのでいろいろな生き物が住めないんです。野生動物の餌が圧倒的に減っている森が日本の森の40%を占めている。

長谷川:森が分からない人からしたら「どっちも木が生えてるじゃん!」って思うかもしれない。でも、よく見ると違いますね。光の入り方も。木がたくさん土に埋まってればいいっていうわけじゃないんですね。

野口:そうなんです。いろんな樹種があるとか、いろんな木の高さや太さがないと本来の森とは言わないんです。

長谷川:日本の森としてイメージするのはスギがたくさん生えている国有林ですね。

野口:日本の森の40%は天然の木を伐採してスギに植え替えられている。そうすると野生動物の餌がないので動物たちが餌を探して歩き回った結果、(人間の畑の)とうもろこしをみつけて食べ、害獣として殺される。

長谷川:動物は山に食べ物がないから人間の畑で殺されてしまう。でも何で山に食べ物がないかって言ったらそれは人間のせいなんですね。なんて身勝手なんだろう。

 その後、2人は江戸時代と昭和時代に作られた用水路を見比べる。昭和時代にコンクリートで作られた用水路は流れが早く、深さも一定のため野生生物が生息できないことを知り、改めて人間が自然に配慮せずに手を加えたことの問題を実感する。

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【世代を超えて守る】自然と共に生きるために私たちにできること(2021年11月30日)

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 アファンの森で野口さんと森を守ることの大切さや環境保全を伝えることの難しさについて考えたのち、2人はアルパインクライミングや山を守るための自伐型林業を行っている船山イサギ(ふなやまいさぎ)のもとへ。実際に自然に囲まれながら生活している彼に山を守るための林業について聞く。

(YouTube抜粋)
船山イサギ(以下、船山):僕らがやっている林業は財を作るための林業ではなくて山を強くするための林業。日が入らないとどんどん山が弱くなっていくから、いらない木は切って将来役に立つ木は残す。100年後のことを考えてやっていて、僕らは山にいる人だからこそ、山を知らなければいけないし、山を自分たちの範囲で守ることからやらないとなって思って始めました。

長谷川:やっぱり森や山は100年後くらいのことを考えないといけないんですね。

船山:自分のエゴで何とかなる話じゃないと思う。「ただ自分たちでできる最低限はやろう」みたいなスタンスの方が山にも人にも負荷がないんです。自然に合わせて自然の中で仕事するようにしています。

(中略)

伊達:財をとるための林業だったら、利益があるからモチベーションが目に見えるけれど、100年先の山の再生をするときって何をモチベーションにしてやっているんですか。

船山:純粋に楽しい。元々自然の中にいるから、そこにいるだけで嬉しいし、自分の友人たちと山にいることが楽しい。とにかく全部楽しいからやっている感じ。あと、自然の中にいないと分からないことって絶対にあるので、自然の中にいることから始めています。

C.W.ニコルと同じように100年後の未来を考えて活動すると発言した船山イサギはプロクライマーとして、山を登っていた。彼は共に山で過ごした仲間と林業に携わり、Gen.というアウトドア総合プロデュースも行っている。

【地方と都会を繋ぐ】自然についてそれぞれの視点で共に考えよう(2021年11月30日)

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長谷川ミラからのコメント!

今回私の希望で、どうしても取材に行きたかった自然豊かな長野県。
今まで「森」だと思っていた自然は実は違ったという事実に衝撃が止まりませんでした。首都圏に住んでいるとなかなか森で起きていることを自分の生活と結びつけるのは難しいですが、イサギくんのような現地に住んでいる若者と一緒に取り組み発信することがまず私が今できる第一歩なのかもしれないと感じてます。

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長谷川ミラ

1997年7月7日生まれ。南アフリカとのハーフで、2017年よりALL GENDER向けの自身のブランド「jam apparel」(旧「JAMESIE」)を立ち上げ、その後ロンドンの名門美術大学(セントラル・セント・マーチンズ)に入学。雑誌やTVで活躍するだけでなく、自身のバックボーンやブランド、ジェンダーレス、環境問題などを自由に発信し“私”を表現するモデルとして活動中。昨年10月より J-WAVE 「START LINE」ナビゲーターに就任!毎週金曜日16時30分~20時生放送中です。▷Twitter / Instagram

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