電車の中で見かける週刊誌の吊り広告ようなフライヤーデザインが目を引く、東京の最先端カルチャーイベント「Making-Love Club」。感度の高いユース世代に向けたカルチャーコンテンツを魅せるだけでなく、カルチャーと密接な関係にありながら話題にされにくい「セックス」や「政治」についてざっくばらんにトークセッションを行うのが本イベントの特徴であり、唯一無二の価値だ。
国会で「共謀罪」(テロ等準備罪)法案が可決して間もないが、東京カルチャーの最先端を行く者たちは、これにどう反応するのだろうか。
第2回目のイベントのテーマを「日本の政治と表現の自由」とする「Making-Love Club」は以下の宣言を出している。
「学び考え、表現する権利が誰にでも与えられている。そんな開かれた国に私たちは生きている」
平成の教育は子供たちにそう教えてきた。
生まれた時から憲法によって自由が約束され守られているんだと安心して、いつのまにか私たちは、その自由を意識することすら忘れてしまったみたいだ。「共謀罪」、改め「テロ等準備罪」設立に向けた動きが勢いを増している。この法案は「テロ “等”、何かしらの犯罪と関係がありそうだから」という理由で集会や政治活動を取り締まることを可能にする。ジャーナリズムはもちろん、アートや文学といった産物が社会を多角的に切り取って、意見を交換し合うことは、とても大切だったはずだ。話し合うことが既に処罰の対象となりうるような社会が現実になった時、Making-Love Clubが前回のイベントから掲げる「民主的政治空間の構築」というゴールは一向に達成されない。私たちはやっぱり、アートも政治もどんなカルチャーも全て同じテーブルの上で話していたい。
自由にまつわる私たちを取り巻く環境は今徐々に、もしかすると急速に、変わってきている。この状況を黙ってじっと見過ごしてしまったら、この国の民主主義なんて幻想に過ぎなかったんだと未来の誰かは嘆くだろう。私たちは声を大にして「そうじゃない」と訴えかける必要がある。10年後の若者に「あのころあいつらが何もしなかったせいでカルチャーは廃れたんだ」だなんて言わせない。(もっとも、そんなことを言う事すら許されない社会になっているのかも知れない。)
自由の虚像の上であぐらを掻いている場合じゃないんだ。
大前提として当たり前に捉えていた民主主義を、今改めて考える必要がある。
(文章:菊池まこと)
イベントはモデルの中川えりなが主催し、彼女とインディペンデントマガジンの編集長「HIGH(er)Magazine」のharu.と「Emotional Love」の綿貫大介、映像作家のUMMMI.(ショートフィルムの上映も行なう)、中学生の石川永遠らが参加するトークショーをはじめ、MONJOE from yahyel/DATSによるDJ、Maika Loubtéのライブなどカルチャーコンテンツが盛りだくさんだ。
「民主主義」や「表現の自由」について考えたことがあるだろうか。「共謀罪」が施行されれば、自分の表現したものが検閲されて規制の対象となったり、ひどい場合には捕まってしまう場合もあるだろう。そんな恐ろしい社会の流れを決して人事とせず、今の時代を生きる者の「責任」として、この機会に一緒に考えてみてはいかがだろうか。
<イベント詳細>
『Making-Love Club』
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2017年6月1日(木)
時間:19:15~23:00
会場:LOFT9
〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS1階
料金:door ¥1500 with 1 drink
前売りチケットはこちら
TALK SESSION:二部構成「日本の政治と表現の自由」
(モデレーター:モデル 中川えりな、登壇者:HIGH(er) Magazine編集長 haru.、Emotional Love編集長 綿貫大介、映像作家 UMMMI.、市民団体のメンバーや学者など(※現在調整中です)、中学生 石川永遠)
LIVE:Maika Loubté
SHORT FILM:UMMMI.
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。