『Street View Surfing』by MIYO OGAWA|MATTER OF CORONA #082

2020.5.16

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コロナ危機のなか、アクションを起こしている人が世界中にたくさんいます。そんな人々へのサポートの気持ちを込めて始めたNEUT Magazineの緊急新連載「MATTER OF CORONA(マター・オブ・コロナ)」ではイラスト、グラフィック、写真、映像、音楽、詩など作品のフォーマットは問わず、国内外も問わず、知名度も問わず、たくさんの人のアクションを一つずつ紹介していきます。

#MATTEROFCORONA #LETSREADNEUTATHOME #STAYHOME

MIYO OGAWA

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『Street View Surfing』

全ては忘れたくないからと、記録するように私は写真を撮り始めました。そしてよく見返します。しかし、大事であるほどにその時の感情は写真によって喚起されることは難しく、自分の感情とフレーミングされた景色との間にギャップを感じます。私はそれに抗い、当時の感覚をもう一度自身の頭に焼き付ける、または喚起させるためにフィルムで撮影したネガを炙り、写真作品を制作しています。棚に眠ってしまうだけのネガを、昇華させるためでもあります。炙る際には、もう取り返しがつかないという緊張感が生まれ、じっくりとその時の出来事を呼び起こすような感覚になるのです。その思い起こされたことを文字に起こすというシリーズもあります。今回応募したのは、その続きともいえるシリーズです。当時の感覚を渇望するあまり、私はパソコンでストリートビューを見始めました。画面に写る懐かしい景色は、断片的であった写真同士の空間部分を補うようでカーソルが止まりませんでした。そして次に画面越しにストリートビューの景色を撮っていました。しかし、それらを炙る際には自分の撮影したものを炙る際の緊迫感は無く、作業的でした。さらに、その画面の景色も数年前のものから最近のものまで時空が乱雑に混在しており、何か騙されたような、思い込みが違った時のような気持ちになりました。
ここ最近は、コロナの影響で対面を避けるためオンラインの勢いが止まりません。ネットの強みを世界中のみんなが再確認したと思います。世界中の様子を見ることができ、現地に赴く必要性もいずれ無くなるかもしれません。しかし、それはやはり「リアル」ではなく、実体も感覚も無いいとも簡単に操作でき操作されるものです。そこで私は、ストリートビューの写真を実際に現地で撮影したものと混ぜて並べ、マップ通りの断片的に混在する日付を自分の記憶と辻褄が合うように修正しました。これは虚構を織り交ぜた私の記憶です。コロナが押し早めたこのネットの力により、私たちが失うべきでないものや何をリアルと思うのかということを考えていく必要があると思わされました。よって、この作品を応募いたします。
長くなり申し訳ありません。読んでいただきありがとうございます。

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