ビートルズやビルゲイツも実践。“いい子”を育てる「瞑想教育」とは

2016.11.25

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あなたは学校で居残りや、停学、連帯責任などの罰を受けたことがあるだろうか。何か悪いことをすれば、罰を与えられる。罰を受けたくないから、やらない。今までの教育ではそういうことが当たり前のように行われてきた。

しかし今、世界中のあちこちの学校で生徒を処罰する代わりに、「瞑想」を取り入れ、子供の内面から自分自身で更生させようという動きがあるというのだ。

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(Photo by Michał Parzuchowski)

子供を内面から更生させる「瞑想」というプログラム

これまでの学校教育では何か生徒がルールを破った場合や、悪いことをした場合、処罰を与えるというのが当たり前だった。しかし処罰というのは、改心させるどころか、そこから壁にぶつかり始めたり、不満を持ったり、生徒を本当の意味で更生させているとは言えない。

アメリカのバルティモアにあるRobert W, Coleman小学校は、生徒を処罰する代わりに、瞑想プログラムを導入した。子供を職員室に呼び出すのではなく、「マインドフル モーメント ルーム(心に留めるお部屋)」と呼ばれる、可愛らしく装飾された部屋に子供達に呼び、瞑想をさせる、というものだ。

その結果、子供たちは「自分自身を更生させる能力」「落ち着き」「精神の健康バランス」「道徳的な判断力」などの良い結果をもたらした。

同校はHolistic Life Foundationという非営利団体と提携している。放課後に菜園を作り、そこから野菜を食べたり、ヨガや地元の公園の掃除などを通して、子供達に生きることを包括的に教えようと取り組んでいる。

子供も簡単にできる「超越瞑想」の効果

ビルゲイツやビートルズなどのセレブリティも行っている「超越瞑想」と呼ばれる瞑想法。子供でも簡単に瞑想状態に入ることができ、高い効果をもたらすとして、今アメリカ、ブラジル、インドなどを始めとする、世界中の学校で意欲的に導入されている。

なぜ今、世界中の学校は「瞑想」という、それまでの教育では考えられなかったプログラムに注目しているのだろう。子供達は瞑想によって、どのようなことを得ることができるのか。

超越瞑想プログラムによると、瞑想で得られる結果は以下の通り。

・学力の向上

・知能の発達(IQの向上)

・活力レベルの向上

・創造性の成長

・学校での行動の改善

・自己発達の向上

・他人を理解する能力

・道徳的成熟の促進

・自主性の向上

・寛容性の向上

・記憶力の向上

・ストレス反応の減少

・幸福状態の増大

このリストを見てみると、学力や知能だけにとどまらず、「他人を理解する能力」や「寛容性の向上」、「ストレス反応の減少」、「幸福状態の増大」など、精神性や社会性という、暮らしを豊かにする力が向上されていることがわかる。

また瞑想プログラムを導入しているサンフランシスコのいくつかの学校を研究者が調査した結果、「生徒と教師の関係の改善」、「問題解決能力の向上」、「教師の欠勤の減少」、「いじめや暴力の減少」などが見られたという。教師もそれまでは正したり、叱ることで生徒を導いてきたのが、瞑想プログラム導入後は意識が変わり、お互いを尊重し、良い関係を築けているそうだ。それは従来の処罰する教育方法では、なかなか得ることのできなかった結果だ。

子供の可能性は無限大

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(Photo by Justin Eisner)

そもそも教育の真の目的とは何だろう?

良い大学に入り、良い会社に就職するためだけだろうか。今日の教育システムでは、子供の日々の活動時間のほとんどを拘束する。幼少期の貴重な時間を費やして学ぶ内容は、学業だけでなく、精神を鍛え、社交性を育て、自分の暮らす環境に興味を持つなど、暮らしの質を上げることも含めバランスよく取り組む必要がある。

それらを学べずに育った子供というのは、将来、精神障害や、コニュニケーション能力の低下、食や環境問題に鈍感になるなど様々な問題を抱える恐れがある。

今日の教育システムは現代の社会問題そのものではないだろうか。そして現代社会の中で育つ子供は「食べ物=買う物」と認識してしまう場合が多い。それは食べ物を自給している家庭があまりにも少ないのが原因と言える。言うまでもないが、その思考は自然の営みから切り離されている。

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(Photo by Neslihan Gunaydin)

最近では「エディブルスクールヤード(食べられる校庭)」という学校の裏庭に菜園を作るプログラムを取り入れる学校も徐々に増えている。生徒たちが自分たちで畑を耕し、野菜を育て、収穫し、料理し、食卓を囲むのだ。

自分が口にするものを、自分たちの手で生産する作業は、食べる物への関心や、自給することの大切さ、自然と繋がるチャンスを子供たちに与える。そして彼らが、作業を通して自然から学ぶことは、教科書に書かれた大人の思惑通りの内容ではなく、実に自由で千差万別である。

子供の可能性というのは無限大だ。それと比例して教育の可能性も無限大であるべきではないだろうか。

人間としてのバランスのとれた理想の教育

生徒を罰せずに、精神を内面から自分で整えさせる瞑想プログラム。現代社会の暮らしというのは、多大なストレスが付きまとう。それは私たち大人が頭を抱える社会問題だ。

その社会へ飛び込む未来のエースたち。彼らが学校教育により知能と精神を鍛え、自己解決できる強い人間に成長したなら、それがどんな社会であれ、力強く生きていけるだろう。教育の真の目的とは、そういった全体的にバランスがとれた子供を育てることではないだろうか。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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