街中にギャングがあふれている。その多くは不法移民だ。(引用元:NEWS24)
以前、トランプ大統領はこう言い放った。
そう、アメリカが抱える大きな社会問題のひとつがメキシコからの密入国だ。国境警備の強化により、密入国者の数は一昔前に比べて劇的に減っているというが、それでも未だに年間30万人以上がアメリカとメキシコの国境で摘発されている。(参照元:AZCENTRAL)
2017年1月25日にトランプ大統領は選挙戦の公約に掲げていた「メキシコ国境での壁建設」を実現させるための大統領令に署名した。不法移民・麻薬・犯罪者を締め出すためにメキシコ国境に建設されるという巨大な壁、その名も「グレートトランプウォール」。
MITによると、この壁は約4兆5800億円(400億ドル)をもかけて建設するそうだ。
米国土安全保障省のケリー長官は2月2日、FOXニュースのインタビューで、メキシコ国境沿いに建設する壁について2年以内の完成を目指していることを明らかにした。(参照元:REUTERS)
そんな巨大な壁が築かれようとしているメキシコに、密入国を疑似体験できるテーマパークが存在する。その理由は一体なんなのだろうか。
壁ができる前に。体験しておこう、密入国ツアー
一般的にメキシコからアメリカへの密入国の方法は、数日間かけて砂漠や川を渡って越境するという。しかも、年間約400人の死者を出しているという危険なルートで。
そんな超過酷な密入国を疑似体験できるのが、アメリカの国境から約1300km離れたメキシコ中部イダルゴ州にあるパルケ エコアルベルト公園だ。この公園は先住民のHñaHñuコミュニティの一部で、温泉などのレクリエーションスポットを楽しむことができる。
そして、その公園に4年前に追加されたのが、偽の国境を目指す密入国の疑似体験アトラクション「ナイトウォーク」。内容は、密入国斡旋業者(通称コヨーテ)の指示のもと、「偽の国境」を目指し真夜中の山中を進んでいくというもの。
ナイトウォークの道中では、偽の国境警備官や、密輸業者、犬、サイレン、追跡などに遭遇し、4時間のかなりリアルな体験をさせられる。偽の国境警備官に捕まってももちろん投獄はされないが、軽いアザや多少なりとも不快感を味わうという。このスリリングなアトラクションの参加料金はたったの約2,000円(20ドル)。(参照元:fastcoexist, PBS)
メキシコで密入国を疑似体験ができる。そう聞いて「密入国者」を育成するための施設だと思った人もいるだろう。しかしそうではなくナイトウォークの狙いは、不法入国の危険性を肌で感じさせ、密入国を抑止することなのだ。
「今のうちに」、「壁ができる前に」。あと2年で登ることもできないほど巨大な壁がそびえ立つことを知ったメキシコ人。今後、身を危険にさらしてまで、アメリカに不法入国する人々は増加するのであろうか。それとも減少するのであろうか。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。