「男性の“女らしさ”」に焦点を当てた3月の特集「Oh Boy」の第二弾は、「ニュート・ボーイズ・メイクアップ」。
「“男らしさ”や“女らしさ”と呼ばれるものは性別に関係なく、一個人の中に共存しているのではないだろうか?」という疑問から始まり、そのことをビジュアルを通して探索、表現した。
「僕の“女らしい”ところってどこだろう?」
今野誠二郎
コンビニなどで何を買うかめちゃくちゃ迷うところ。「僕の本当に欲しいものはなんだ」というのを考えに考え、結局何も買わないこともあります。
なかなか告白が出来ません。
足がきれい。ひげが生えない。
ディズニーが好き。
これも「前時代の女性らしさ」だと思いますが…。
飯田啓人
まず女性らしさとは何か。
野生的曲線美は女性らしさの外的象徴とは言える。
では逆に内面的女性らしさとは?
包容力、母性本能と言えるかもしれない。
自己分析的には内面的な女性らしさはない。
自分の身体の一部に女性特有の野生的曲線美を見出した時に ハッとする感覚がある時がある。それは自分の女性らしいと思う部分なのかもしれないです。
杉山玄造
僕は男性的だといわれる道理や理論などの理性より、女性的だといわれる感情に依拠している人間だと思う。
結果の良し悪しより、結果を出すまでの過程において自分が幸せか、楽しめているかを大切にする傾向があります。
自分自身は女性的とは言えないと思うけど、一般的な男性のステレオタイプとは言えないと思う。
「Oh Boy」特集の企画段階から参加し、本フォトプロジェクトを含む全ての記事のフォトグラファーを務めたのは、中里虎鉄(なかざと こてつ)。以前「男性解放」をテーマにした彼の個展に合わせて行った取材の記事はこちらから。
男性三人に「自分の“女らしい”と思うところは?」という質問を投げかけ、“女らしさ”の象徴ともいえる「メイクアップ」を施した本フォトプロジェクト。
メイクアップアーティストとして参加したのはジェンダーをテーマにしたメイク作品を多数制作するKindness Peopleー古賀友理絵(こが ゆりえ)。被写体となった三人の男性が考える自身の“女らしさ”をメイクで表現した。
そして被写体となったのは、20代のクリエイターたちが集まる、生活・創作・交流の三つの機能を持ったコミュニティハウス「F/Actory」の運営を行う今野誠二郎(こんの せいじろう)、飯田啓人(いいだ けいと)、杉山玄造(すぎやま げんぞう)の三人。以前NEUTが行ったF/Actoryについての取材記事はこちらから。
虎鉄の撮影後記
”男らしさ”や”女らしさ”といった考えが僕の中にはほぼ存在しないなかで、今回のプロジェクトは進んだ。
撮影をした彼らもいわゆる男らしさや女らしさを定義付けているわけではないが、メイクアップをしてレンズを向けると、彼らが無意識に彼らの中にある”男らしさ”を守ろうとしている姿が見えた。それは決して悪いことではないし、自然なことだとも思う。しかし自分の中にある“男らしさ”を守ることと同じように、自分の中にある“女らしさ”を守ることも必要だ。そして他人が守る”男らしさ”や“女らしさ”も、受け入れることは出来なくても、受け止めることができれば、もっと多くの人が性別に捉われず自由に自己表現ができるのではないかと僕は思っている。僕は“男らしさ”とされているものを“たくましさ”と感じ、“女らしさ”とされているものを“やわらかさ”と捉えている。全ての人が持ち合わせる“たくましさ”と“やわらかさ”を肯定し、性別から自身を解放できる日が来ると信じて、僕は活動を続けていく。
メイクアップアーティスト
Kindness People (古賀友理絵)
1998年生まれ。Xジェンダー。
2018年春より、本格的にジェンダーをテーマにしたメイク作品を制作し始める。フォトグラファー兼メイクアップアーティストとして活動中。