「同じように楽しんだのに、男性の方が多く払うのっておかしくない?」。女らしさと男らしさを考える “新しい会話” [NEUtalk vol.5] @NEUT BOWL in OSAKA

Text: YUUKI HONDA

Photography: YUUKI HONDA unless otherwise stated.

2018.12.17

Share
Tweet

“NEUT Magazine、大阪へゆく”と題して、11月16日に大阪は弁天町の「HOTEL SHE, OSAKA」で行われた創刊イベント「NEUT BOWL in OSAKA」。

初の関西進出ということで、一体どれくらいの人が来てくれるのか、内心ドキドキしていた編集部でありましたが、迎えた当日、会場を埋め尽くさんばかりの人波で満員御礼。当日お越しいただいた50名以上の皆さん、本当にありがとうございました!

さて大阪でも笹塚ボウルさんにご協力いただき、ボーリングあり、トークありの“NEUT BOWL”となりましたが、ここでは、イベントに合わせて行われた“NEUtalk vol.5 ~いま話したい、「男らしさ」と「女らしさ」のこと。~”の様子をお伝えします。

width="100%"
左からharu.さん、工藤まおりさん、司会のNEUT Magazine編集長JUN

今回のゲスト

「株式会社TENGA」で男性向けアイテム「TENGA」と、女性向けセルフプレジャー・アイテムブランド「iroha」のPRやプロモーション、また、“性を表通りにする”ためのイベントを企画/運営する工藤まおり(くどう まおり)さん。

日本とドイツで育ち、現在藝大に通いながら、ファッション、政治、フェミニズムなどのテーマをインディペンデントマガジン「HIGH(er) magazine」で発信する創刊編集長haru.さん。

女らしさって?

今回のNEUtalkは、事前に行った「男らしさ」と「女らしさ」についての読者アンケートの解答をゲスト二人にぶつけていく&来場者にも積極的に意見を求める方式を採用(ちなみに解答者のセクシュアリティについても聞いており、その9割がストレートだった)。

トークテーマの「男らしさと女らしさのこと」を、インタラクティブに双方向で考えるトークイベントになった。

そんな今回のNEUtalk最初の話題は、「女らしさってなんだと思う?」。

来場者の答えが、「シュッとした体型」「イメージは丸い」「雰囲気が柔らかい」などとなる中、haru.さんは「そう聞かれると結構難しいかも。普段から女をそんなに意識しているわけじゃないからなあ…」。

対してまおりさんは、「今からセックスの話をしますね」と口火を切ってこう話した。

width=“100%"

工藤まおり(以下、まおり):「男性脳」「女性脳」という概念が本当に存在するのかはわかりませんが、「察することができないのが男性脳」と「説明しないけど察してほしいのが女性脳」という風に言われています。

これってセックスも同じだなあと思ってて。なかなか「こうしてほしい、ああしてほしい」って気持ちを言えない女性に対して、男性は結構ちゃんと言える、でも女性の気持ちは察せない、みたいな。まあ私はそういう説明ができないのが一つ“女らしさ”なのかなと思ったりします。

これ、いわゆる“奥ゆかしさ”と言われる態度にも思えるが、もう一方、察せない男と説明できない女の両者が真に歩み寄れていない不幸の形にも見える。

セックスレス大国でもある日本では、“なんで分かってくんないの!vs なんで怒ってんだろう…”のようなディスコミュニケーションが日夜繰り広げられている…のかも知れない。

width=“100%"

ちなみにアンケートの結果は、30%が身体的なこと――丸い/曲線/しなやかさ――、その他には「ハンカチを持っている」「AKB48」「ハイヒール」「コンサバ系の服」「感情の振れ幅が広い」などの回答があった。

width="100%"
NEUT Magazineが行った事前アンケートの結果①

これらの回答には、「ハンカチ持ったことないけどなあ(haru.)」「感情の振れ幅に関して男性は、『男の子なんだから泣いちゃダメでしょ』って教えられますからね、そこは私達の世代で変えたいですね(まおり)」といった反応に。

アンケートの回答と会場で出たさまざまな意見。その中に、あなたの頭の中に浮かんだ女らしさはあっただろうか。

男らしさって?

「じゃあ次、男らしさとは。これは女性に聞いてみましょうか」。

司会のJUNがマイクを会場に向ける。出てきた答えは、「ハグしたときの包容力」「肩幅、というか筋肉?」「強さ」とこんな感じに。

width=“100%"

そしてアンケートの結果は以下の通り、“身体的な強さ”という趣旨の回答がほとんどを占めているのだが、ここで話題となったのは「気前のよさ」。

width="100%"
NEUT Magazineが行った事前アンケートの結果②

haru.:「気前のよさ」はよくわからん(笑)。それをプレッシャーに感じたことがある人はいるよね?(会場の男性陣が頷く)だよね。でもさ、それっておかしいよね。たとえば初めてのデートでも、同じところに行って同じように楽しんだのに、男性の方が多く払うのっておかしくない?

まおり:何でもかんでも奢ってもらうのは嫌ですよねえ。でも、そういう人はいますよ。払ってくれないなら別の男に行く、みたいな(またもや会場の男性陣が頷く)。

haru.:えーほんとに!? でもそれってさあ…

width=“100%"

と、会場全体で「気前の良さ」という“男らしさ”について話が盛り上がったのだが、いかがだろうか。“奢らなきゃいけない”というプレッシャーを感じたことのある男性は多いと思うが(筆者もある)、あれは男性の“見栄”、要するに「よく思われたい」という下心があるパターンと、純粋な好意で「お金を出したい」と思っているパターンとに大別できる気がする。

または、今にも増して男性優位の社会で、現在よりも収入に男女差のあった時代の名残とも言えるかもしれない。

そんな頃には、「男は女に奢ってなんぼ。女は男に奢られてなんぼ」のような意識があって、それが今も影響しているのではないか…と想像してみたのだが、結局これはケースバイケースということで、ひとまず手を打たせてください。

“女らしさ”と“男らしさ”と“人間らしさ”

続いての質問は、「自分にあると感じる“男らしさ”と“女らしさ”の割合は?」というもの。会場からは「男が6、いや7割で女が3割かなあ(男性)」、「女が9割で男が1割です。でも女性特有の集団行動は苦手です(女性)」というような答えが。

width="100%"
NEUT Magazineが行った事前アンケートの結果③

アンケートの結果は、7割以上の解答が「どちらでもない」という趣旨のものに。どちらの“らしさ”も同様に持っているという人が多かった(繰り返すが、回答者の9割がストレート)。

これに対してharu.さんは、「たぶん男性像も女性像も多様化したんだろうね。メディアや広告を見てても、いろんなタイプの人がいるし。みんな“自分らしく”生きていいんだって思えるようになったんだと思う。環境の影響は大きいんじゃないかな」と話し、そこから話題がこう続いた。

haru.:わたしは育った環境が男性的というか、昔の写真を見てると髪が超短いの。両親が特に女らしく育てようという気がなかったからだと思うけど、自分で男の子っぽい服を選んでたかな、動きやすいから。今もその影響はあるなあ。

まおり:私も教育環境は大きいと思います。「女の子なんだから」「男の子なんだから」って言葉の影響はあると思う。私は「ピンクを着たら?」と母親から勧められていたから、「ああ、これが女らしさなんだ」って自然に思うようになったかも。そういう点で言えば、ランドセルの色を自分で選べる今の小学生たちはいい環境にいるのかも?

width=“100%"

環境についてはアンケートでも解答を募集しており、その結果は次のようになっている。

width="100%"
NEUT Magazineが行った事前アンケートの結果④

結果的にかなり顕著な傾向が見られた。これに対しては「生まれ持ったものを環境で変えられてしまってる(JUN)」「矯正しない環境を整えたら、自由にその子の個性を保つことができるから、良くも悪くも環境は大事なんだろうね(haru.)」という反応が。あなたはどう見るだろう。

“自分らしさ”を考える

というわけで、今回はこれにて閉幕。

width="100%"
笹塚ボウル特製の出張ボウリングセットで今回もボウリングが楽しめた

width="100%"
「NEUTSTAND」でNEUTグッズも販売。好評でした

width=“100%"

今回のトークで面白かったのが、育った環境で“らしさ”が作られると考えている人が多いというアンケートの結果。これは一つの事実――環境で“らしさ”の形は変わる――を指しているように思う。

であれば、「男の子なんだから」「女の子なんだから」という言葉が子どもにどんな影響を与えるか自覚的になること。あるいは今回のNEUtalkのように、“らしさ”についてみんなで議論するなど、それぞれの個性を守るために、変えるべきことは多々ある。

何か結論を見出したわけではない今回のNEUtalkだが、来場者の方々と一緒に、セクシュアリティや“らしさ”について考える場を設けられたのは有意義だったかなと思う。

また筆者の雑感は、「男らしさと女らしさというより、その人“らしさ”で考えるのが一番シンプル?」。

自分のこと、まわりの人のことを“男らしさ”と“女らしさ”ではなく、その人“らしさ”で考えるのことができれば、性差に関連づけられる固定観念は少しずつ消えていくのではないだろうか。

トークテーマにそのまま答えられているわけではないが、そう悪いアンサーでも無い気がする。

では、また次回。

width=“100%"

[Special thanks]

HOTEL SHE, OSAKA

WebsiteFacebookInstagram

width=“100%"

笹塚ボウル

WebsiteFacebookTwitterInstagram

width=“100%"

[Talk Guests]

工藤まおり

Twitter

width=“100%"

株式会社TENGA

WebsiteOnline shop

width=“100%"

haru.

Instagram

width=“100%"

[HIGH(er) magazine]

InstagramOnline shop

width=“100%"

 

Share
Tweet
★ここを分記する

series

Creative Village