あの高級ブランド「フェラガモ」が目をつけた。女子大生のときに世界初の「オレンジのゴミ」からできた服を作った女性起業家

Text: Noemi Minami

Photography: ©Orange Fiber

2017.5.30

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イタリアの女子大生二人が大学在学中に開発したのは、世界初の果物からできた生地だった。

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2012年、Adriana Santanocito(アドリアナ・サンタノチト)はファッションデザイン学科の卒業論文として、インターナショナルコミュニケーション&コーポレーレション学科で勉強をしていたEnrica Arena(エンリーカ・アレナ)と共に新しいサステイナブルな生地の開発を決意する。

その際に彼女たちが目につけたのが、柑橘類。イタリアでは毎年70万トン以上の柑橘系のゴミが捨てられているからだ。また、既存の植物性の生地によく使われる木や麻、竹などは自然にあるものを生地制作ために刈ってしまっているのが問題だった。柑橘系の植物の皮などの「捨ててしまう部分」をアップサイクルすれば、水、土地を無駄にすることなく、環境汚染にも加担しない環境に優しい生地が実現できる。

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努力を重ねて試行錯誤を繰り返し、2014年のミラノのVogue Fashion’s Night Outで彼女たちはついに柑橘類のゴミからできた生地を発表。その生地はシルクのように柔らかくて軽く、染めることもできる。

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そして同年、デザイナーや経理、弁護士などを含む5人で株式会社Orange Fiber(オレンジ・ファイバー)を立ち上げた。

これまでに環境、ファッション、起業などのあらゆる分野のコンテストで勝利し、個人投資も受け、集めた資金は総額約370万円。最近でも、112ヶ国からエントリーが行われ、2700プロジェクト以上が提出されたH&M基金のGlobal Change Awardで見事受賞。15,000ユーロ、日本円にして約185万円を獲得した。

さらになんといっても2017年4月にはイタリアのトップブランドSalvatore Ferragamo(サルヴァトーレフェラガモ)に目をつけられ、コラボレーションを実現。歴史と権威あるコンパッソ・ドーロ賞を2016年に受賞したマリオ・トリマルキがデザインを仕掛ける美しいコレクションをEarth Day 2017で発表した。

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彼女たちの原料から生産過程まで全て「メイド・イン・イタリー」にこだわる姿勢も魅力のひとつだろう。環境保護と透明性を徹底的に重視したイタリア初のファッション企業となることを目標としているそうだ。

ファッション業界は、長年「エシカル」という単語からは遠い存在だった。シーズンごとに変わるトレンド、それに伴いゴミとなるまだ着れる服たち。発展途上国で行われる児童労働、クオリティが低くすぐ着れられなくなるプラスチック製のファストファッション…。しかし、環境問題を考慮し、透明性を貫く強い信念を持ったフライターグパタゴニア、若手ではINHEELSEVERLANEなどのブランドを見てみれば、ファッション業界もゆっくりだが確実に変わってきていると言えるだろう。今後もOrange Fiberのような起業が増えていき、「サステイナブルではない服がおかしい」という新しい常識が生まれるよう、企業も消費者も一丸となって前に進めたらいい。

Orange Fiber

Website

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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