海外のクラブ文化はホットだ。日本と比べものにならないくらい大きな箱が用意され、踊ることが生活の一部にもなっている。
例えばヨーロッパ。ゴージャスなLEDスクリーンを備え世界中から人々が訪れるご存じイビザ島や、テクノ発祥の地として名高いベルリン。ダンス好きなら誰もが一度は行ってみたい、クールで個性的なクラブスポットが多数存在する。
大サウンドやきらびやかな照明で包まれた建物内のテンションはもう最高!しかし、そこに大量のエネルギーが使われていることも忘れはならない。
クラブは、エコとはかけ離れた空間である。だが、そんなクラブの存在を一気にクールにエコを作り出す場にしてしまった会社がオランダに誕生した。
踊れば踊るほど環境に優しい、ナイトクラブ?
クラブで踊ったことがある人ならだれもが経験しているだろう。そう、疲れるのだ。体力を使うのだ。要するにここでは大量のエネルギーが生み出されている。
このエネルギーをなにかに使えないか。そうオランダにある会社『エナジーフロアーズ』は考えた。
その会社がプロデュースしたクラブ「SUSTAINABLE DANCE CLUB」がこちら。
どう見てもよくあるクラブの風景。華やかなライトに照らされ、激しく踊る観客を見ると、音楽も大音量でかかっているに違いない。
しかし、このクラブで使用されているエネルギー。実は、ここにいる彼ら自身が作りだしているのだ。
秘密はこのフロア。人気クラブにふさわしいLEDライトに照らされたフロアだが、踊れば踊るほど発電するダンスフロアなのだ。
仕組みはこう。
ガラスパネルの上で踊ると、垂直方向に1cm上下運動→これによって発電したエネルギーが小型発電機の作動し、電力が出力されるというわけだ。ちなみに、もしあなたがこのフロアで踊ったら体重と運動の強弱で違いはあるものの、15~20ワットもの電力を生成できる。
あなたが踊れば踊るほど電力を生み出すことができるのだ。
楽しいことに対する創造力は無限大!
このフロアの可能性は瞬く間に世界に広がり、ヨーロッパ各国はもちろん、アメリカ、カナダからも発注の依頼が相次いだ。さらに驚くべきことは、この発電するフロアをきっかけに、各々のクラブが、さらにできるエコ活動を考えだしたことだ。
例えば、「世界を救うために踊ろう!(Dance to save the world)」とフロアに投影されたロンドンにある「Club 4 Climate」では、この発電するフロアの導入に伴いさらなるエコへの意識を高めた。
オーナーが他事業で使っているガラスやプラスティックの製品をバーで使用するようにし、また余った電力は地域住民に無料で配布している。
なぜこんなにも彼らの事業に興味を持った人々が多かったのか。それは、環境に悪影響を与えるから自粛するのでなく、環境に悪影響を与えるものをポジティブな存在に変えるという試みに賛同した人が多いことが大きなポイントではないだろうか。
求める側であるオーディエンスと受け入れる側であるクラブが同じ方向を向いているということは、パーティーのクオリティーの違いがでる。この両者の一体感こそが、成功の秘訣であるのではないだろうか。
ただ家にいるだけでも環境破壊している私たち
踊って、電力を作り出すって最高にクール!もしかしたら、クラブで踊ることが、家にいるよりも十分なエコ活動になっているのかもしれない。
私たちが現在、普通に生活をしているだけで使用している電力は「約10キロワット」と言われている。そして、その消費電力は1970年の3倍以上にもなる。
自宅で過ごせば、電気を点け、テレビを点け、スマートフォンを片手にパソコンを操作…。こんな時間を過ごすよりも外に出て、思いっきり踊って、電力を作るほうがよっぽど環境のためになるのでは?
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。