人に優しくすることの大切さは多くの人が分かっているが、実行するのは難しい。しかしそれを「テディベアを作る」という形で行動に移し、たくさんの人の笑顔を作った13歳の少年がいる。なぜ彼は何の見返りも求めず誰かのために優しくできたのだろうか。その答えに私たちはハッとさせられるだろう。
「9歳の少年」の運命を変えた、イブの夜
現在13歳になるキャンベル君が自身の人生を変えるきっかけとなったのは、彼が9歳のときのクリスマスイブだ。この歳の少年なら、たいていの場合、サンタさんを待ちわび両親からのプレゼントにも胸を躍らせることであろう。しかしキャンベル君は違った。自分がプレゼントされることよりも、“プレゼントすること”に興味をそそられたのである。
病気で苦しむ子どもたちのために何かをプレゼントしたい。(引用元:YouTube)
クリスマスイブの夜、キャンベル君は両親にこう告げた。しかし彼の両親は彼の言葉に理解を示しつつも費用の面から反対。ならば自分で何かを作ってプレゼントをしようと、キャンベル君はテディベア作りに励むことを決心した。テディベアをつくるための資金は、お小遣いとゲーム機を売って工面したという。(参照元:Project365byCampbell公式Facebookページ)もちろんミシンの使い方なんて分からなかったため、インターネットで調べて一から独学でスキルを身に付けたそうだ。最初は1体作るのに5時間もかかっていたが、ミシンを使いこなせるようになってからは、1時間で1体のテディベアを仕上げられるという。(参照元:The Feed)
テディベア制作のノルマは、「1日1体」
キャンベル君はこれを『プロジェクト365』と名付け、1日1体のテディベアを作って、病院にいる子どもたちにプレゼントすることを目標にした。9歳から現在の13歳になるまで毎日ミシンに向かい、これまでに贈ったテディベアの数は、800体を越える。(参照元:TheTelegraph)
毎週木曜日に病院にテディベアを手渡しにいくんだけど、その時にみんなが笑顔になって僕をハグしてくれる瞬間が一番幸せなんだ。(引用元:boredpanda)
キャンベル君はそう語る。しかし、いつまでも自分のお小遣いが資金として続いていくわけではない。そこで彼はSNSを使って寄付金を集めたり、リボンや布などの材料を恵んでくれる人を募ることにした。
テディベアを作っている合間に、いつも5分だけ離れてSNSに書き込みをするんだ。(引用元:ABC NEWS)
その効果は抜群で、彼の活動は瞬く間に広がり多くのメディアにも取り上げられた。多くの寄付が集まったが、それでもキャンベル君は自身のお小遣いのほとんどをテディベア作りに費やし、テディベア作りを辞めることはなかった。
僕は僕がやりたいと思ったことをやるだけさ。(引用元:ABC NEWS)
どんなに資金が集まろうと彼がやろうとしていることは決してブレない。
売り上げ全て「寄付」。
資金に少しだけ余裕が出てきた現在は、Webサイトでテディベアを欲しいという人を募りさらに活動の幅を広げている。キャンベル君の母は、宿題もきちんとこなしながら、9歳の時以来、毎日ミシンに向かう彼に関心していると話す。
「きっと彼はXboxよりも縫うことが好きなのね。24時間365日テディベア作りができるのなら、きっとやると思うわ」という母の言葉に対しキャンベル君はあっけらかんとこう答える。(引用元:DailyMail)
スケートボードが好きな友達がいるように、僕は家に帰って縫うのが好きなんだよ。(参照元:DailyMail)
彼の活動はこれだけにとどまらず、さらには自分で作ったテディベアをインターネットオークションサイトebayで販売し、その売上金をチャリティ活動「Relay For Life」に寄付することも開始した。(参照元:Mashable)キャンベル君の作ったテディベアはユニークで個性があり、販売も好調なようだ。
世界に必要なのは、「意地悪」ではなく「優しく」すること
「2日に1回はメディアのインタビューを受けている」と母のソニアさんが明かすように、すでにキャンベル君は地元でちょっとした有名人になっていて、彼の周りも少しずつ彼に対する目が変わってきているが、キャンベル君は変わらない。毎日黙々と次の笑顔に出会うためにテディベア作りに励んでいるのだ。(参照元:DailyMail)しかしなぜ彼は何の見返りも求めず、自分の時間とお金を費やすことができるのだろうか。それは単純に、病院で悲しい気持ちになっている人たちを笑顔にしたいから。
入院中のネガティブな感情をポジティブなものに変えてあげたいんだ。意地悪をするのではなく、みんなが誰かに優しくしたらきっと世界は変わるよね。(引用元:The Feed)
13歳のその言葉を聞いて、大人はハッとさせられるだろう。今、世の中は自分のことだけを考える人が増えてきて、それによって嫌な事件が起こっている。そればかりではなく、自分の国のことだけを考えるがあまり、新たな憎しみを生んでしまっているかもしれない状況でもあるのだ。しかしそんな“意地悪”な心を捨てることができれば、少しだけねじれ始めた世界を変えることができるのではないだろうか。キャンベル君が教えてくれたように、世界のみんなが優しさを持って行動できれば、きっと世界はいい方向に向かうはずだ。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。