「今月は全身ピンクの服着て、街を滑ります」。スケーターが「乳がんの啓発」する時代

Text: Shiori Kirigaya

Photography: Gabe Morford and Christian Alexander

2017.10.1

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日本では1990年代頃からストリートファッションとともに人気が拡大した「スケートボードカルチャー」。彼らスケーターのコミュニティは未だ“男性的”で排他的なところがあり、特に女性やクィアにとっては入りにくい。

だがサンフランシスコに住む若者たちは、そんなコミュニティを構成するスケーターたちに向けた、女性がかかる割合の高い「乳がん」のDIY啓発イベントを2015年から開催しているという。

Photo by Pushing For Pink

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ニューヨークの公園、サンフランシスコやロサンゼルスの海辺の道を、ピンクの装いでスケートボードに乗って走り抜ける大勢の若者たち。彼らが集まったのは、「Pushing For Pink*1と名付けられた乳がんの啓発イベントのためだ。何千人と集まって技を競ったり、長距離を走り抜けたりと、思いっきりスケボーを楽しめる。

イベントではスケボーのブランドの卸売りを行なう「DLX Dist」とコラボレーションした、乳がんを啓発する「ピンクリボン」があしらわれたウィール(車輪)やピンズを販売。

その売り上げはすべて、乳がんの啓発教育を行なう機関「The Keep A Breast Foundation」へ寄付される。同機関は、若者に向けたフェス会場での啓発イベントやアートを使った患者のサポートなどクリエイティビティの溢れる活動を行なうことで有名なのだ。

(*1)「Push」には、「主張する」、またスケボー用語で「スケボーを蹴る」という意味がある

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そんな革新的なイベントを始めたのは、サンフランシスコに住む23歳のグラッフィックデザイナーMathew Matthews(マシュー・マシューズ)と、彼の友人のGary Rogers(ゲリー・ロジャーズ)。

「クリエイティブに社会をよくしたい人たちと何かをしたい」と考ていたマシューがゲリーに声をかけたが、当時はあまり乗り気ではなかった。しかし彼の母親ががんで亡くなったことがきっかけで、乳がんの啓発をするスケボー大会を開催する意欲がわいたという。(参照元:Spitfire Wheels

彼らによると、イベントでは「グッズはいらないけど寄付してもいい?」と言ってくる若者も多く、2016年には1万ドル(約1,126,100円、2017年9月29日現在)もの資金が集まり、先ほどの乳がんの啓発機関に送っている。このように、若者たちが「乳がんの啓発」に積極的になれるイベントの存在価値は大きい。

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左がマシュー、右がゲリー

※動画が見られない方はこちら

日本でも毎年乳がんの啓発のキャンペーンが行われる、10月の「ピンクリボン月間」。このために開かれるイベントには、ウォーキングやシンポジウムなど既存のスタイルのものが多い。

こういった取り組みも大切だが、若者の興味を引くのは残念ながら難しそうだ。原因は若い世代が主体となって運営しているものが少ないことかもしれない。

Pushing For Pinkの取り組みを参考に、「かっこいいこと」が好きな日本の若者たちがDIYでもっと社会貢献を始めていけば、若者の社会貢献に対するイメージを変えることにつながり、興味を持たせることにもつながるのではないだろうか。

Pushing For Pin

10月8日12時〜 @ニューヨーク マッカレンパーク

10月15日12時〜 @サンフランシスコ オーシャンビーチ

10月22日12時〜 @ロサンゼルス ザ・ベリックス

詳細はこちら

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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