男女平等が世界最低レベルのサウジよりも女性議員が少ない国、日本

Text: Seina Ikawa

2017.6.30

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過去最多の女性候補者が出馬する都議選が、7月2日に迫っている。とはいえ、2017年5月時点では、都議会議員の8割が「男性」だという。すなわち、女性議員は2割ほど。(参照元:東京都議会)これでも地方議会の女性議員の割合である12.1%(参照元:全地方議会女性議員の現状)を上回る数字だが、ジェンダーバランスが取れているとは言い難い状況だ。さらに憂慮すべきは、日本の衆議院の女性議員の比率が9.3%ということだろう。この数は国際的に見れば、193か国中164位という位置にあり(2017年6月時点)、なんと「女性に運転免許証を発給しないサウジアラビア」よりも低い値なのである。(参照元:The IPU

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異常に少ない日本の“女性”国会議員

日本の女性国会議員の比率は、衆議院で約9%、参議院で約20%である。(参照元:日テレNEWS24)一方、世界の女性議員の平均割合は、両院を合わせると22.8%だ。(参照元:朝日新聞DIGITAL

女性議員が少ない背景には、男性基準で行われる候補者の選出や、女性の場合には得られづらい傾向にある配偶者からのサポートなどがあるという。また上智大学教授の三浦まり氏は、男性優位の政治構造の問題点として「女性蔑視の政治文化の継続」を指摘。(参照元:WEBRONZA

さらに「女性だけではなく、過少代表は、多様な価値観や利益、ニーズが議会に反映されず、結果的に政策は偏り、社会的損失も大きい」とも主張している。(参照元:47NEWS

約120か国で導入中、女性議員を増やす秘策

それでは女性議員を増やすためには、どうすればいいのか。一定枠の議席を女性に割り当てる「クオータ制*1」を導入するのが一つの手だ。北欧や台湾などを含む約120の国で実施されており(参照元:NIKKEI STYLE)、場合によっては、男性と女性の両性に一定の配分率を下回らないようにという規定が設けられることもある。

*1補足:クオータ(quota)とは、英語で「割り当て」を意味する言葉で、4分の1を意味するクォーター(quarter)ではない。

この制度なくして女性議員の割合が3割を超える国は、自由民主主義ではない政治体制を採用する小さな国家や、女性参政権について約100年、あるいはそれ以上の歴史を持つ国などだ。そのため、日本がクオータ制なしで女性議員比率を3割まで伸ばすことは困難だと主張する声にもうなずけるのではないか。(参照元:47NEWS

しかし今国会(会期:2017年1月20日〜6月18日)では、クオータ制関連法案の成立が見送られた。このような状況を踏まえて、民進党は2017年6月20日、「FOR NEXT:すべては次世代のために」というキャンペーンの特設サイトをオープン。同サイトでは、クオータ制の紹介のほか、2020年をめどに、女性国会議員を30%まで伸ばすことを目指すクオータ制導入の推進を改めて表明した。(参照元:FOR NEXT

なお30%という数字は、「クリティカル・マス(決定的女性議員比率)」と呼ばれ、政治的少数派である女性が影響力を保つために必要なおおよその数値とされる。

もう聞き飽きた?でも、選挙に行こう

とはいえ、クオータ制は、性的マイノリティや男性でも女性でもない「第3の性」とされる人たちを排除してしまうかもしれない。上智大学の三浦まり教授は、「男性か女性かは、性的自認によって区別される。そのうえで、クオータの配分率を4割程度に抑え、『第3の性』とされる人たちが代表されるようにする案もある」と述べる。(参照元:47NEWS

さらに、スコットランドのクオータ推進については、その波及効果として、女性だけではなく、性的マイノリティやエスニック・マイノリティの政治代表を増加させた可能性が注目されているのだ。

国際的に見ても、女性議員が少ない国である日本。主権者である私たちにできることの一つとして、日本の現状を知り、投票所に行くことが挙げられる。もちろん、ある候補者に投票する理由を「女性だから」だけにしてしまうことは、短絡的だし無責任だろう。候補者の政策などを見極めながら、責任ある1票を投じたい

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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