この連載では、毎回、ユナイテッドピープルが届ける映画を少しずつ紹介しながら、世界で起きている問題に触れたり、そこから日本とのつながりを見つめたりするような記事をお届けしていきます。
2017年の始まり。新しい一年が少しでも明るくハッピーなニュースに包まれることを願うばかりだ。
さて、お正月といえば新春初売りや福袋のシーズン。もう少しすれば冬物最終セールも始まる。買い物に奔走する人も少なくないだろう。だが、レジに持っていく前にほんの一瞬でもいい。その「物」があなたの手元に届くまでの過程に思いを馳せてみてほしい。
「安い」のはラッキー?安さの理由に目を向ける
グローバル化が進むにつれ、企業は労働力が安い地域に生産場所を移動させている。その“おかげ”で私たちは、低価格(あるいはほぼ一定の価格)で物を手にすることができている。だが、「安く生産しよう」とする意識が過剰に働くと、それはときに「搾取」を招く。
数百円、数千円という手頃な価格が日本でも人気になっている「ファストファッション」。流行が変わったり、ちょっと劣化したら、すぐ買い換えればいい。そんな意識ももたらすほど。しかしその安価の背景には、不当に低賃金で働かされている人や、質の悪い化学染料の使用とその処理設備が整っていないために身体的被害を追っている人たちがいる。生産工場の建設や修復にお金をかけなかったために、大事故が起きて死者が出た事件もある。(参照元:International Business Times)
そんな、普段わたしたちが目をそらしている現実にカメラを向けたのが、映画『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』だ。
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私たちの血で作った服を着てほしくない
非常に重い言葉だが、買う側の責任としてきちんと耳を傾ける必要があるはずだ。もちろん、高価なものが必ずしも人や環境に優しいわけでもなければ、逆に、特段標榜してはいなくても、「当たり前」のこととしてフェアな労働環境を実現している企業もあるだろう。
見分けることは大変だが、まずは自分のお気に入りのブランドからでも、商品の「裏側」を調べてみてはどうだろうか。また、すでに自分がもっている衣服の「寿命」を長らえさせられるよう大切に着ることも、私たちひとりひとりが今すぐにできることだ。
『ザ・トゥルー・コスト』
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「善意」の寄付が誰かを傷つけているかもしれない
もうひとつ、私たちが普段意識しない「裏側」つながりで紹介したいのが『ポバティー・インク あなたの寄付の不都合な真実』だ。
寄付。誰もが金額や寄付先は異なれど、一度はしたことがあるのではないだろうか。困っている人を助けたいという「善意」から行う寄付。だがそれは時に、本当に届けたい人の元へ届いていなかったり、逆に助けようと思った相手を傷つけることさえある。そんな実情を、ハイチとケニアを主な舞台に追いかけたのが、この『ポバティー・インク』だ。
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たとえば、2010年に大地震と津波により街が壊滅状態になったハイチ。世界各国から援助と支援が集まり復興を遂げてきたが、3年以上経過してもなお、約1万のNGOが現地に残っている。そしてこれらの団体を通じて「支援」の名のもとに米やソーラーパネルなどの物資が無料で提供されている。しかしこうした支援物資が、実は現地の企業を圧迫し、産業の育成を阻んでいる。
あるいは孤児院。本来「親がいない」子供たちが入る場所だが、生きている親たちが自ら、子供たちを送る事態が生じている。孤児院のなかのほうが、食事や教育などの環境が整っているからだ。孤児院に入った子どもたちはその後、実の親が本当は生きているにもかかわらず、先進諸国の大人たちと養子縁組され引き取られていくこともある。
『ポバティー・インク』
▼映画『ポバティー・インク』
2/4(土)〜10(金)横浜シネマ・ジャック&ベティで上映!
http://www.jackandbetty.net/cinema/detail/1037/
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https://www.cinemo.info/jisyu.html?ck=43
お金そのものは善でも悪でもない。ただの「道具」だ。だがその使い道によって、誰かを幸せにも、不幸にもしうる。2017年、あなたが自分の力で稼いだ大切なお金が、社会を少しでもハッピーにするための小さなヒントに、この二作品はきっとなるはずだ。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。