セクシーな写真に惹かれてこの記事に辿り着いたあなたは「SEX SELLS」という手法に引っかかった証拠だ。
「SEX SELLS(セックスで売れる)」とは、列記としたビジネス用語で、企業など広告のプロモーションに、女性のセクシーなイメージを使用して注目を集めること。そう、この記事の「セクシーな写真」についつい誘われたあなたはその罠にまんまとはまったわけだ。
しかし、最近の研究やデータによると、セクシーな女性などを起用した広告は“時代遅れ”なのだとか。
残念ながら「御社の商品」は覚えていません。
2015年に「セクシーな広告は無駄」ということがオハイオ州立大学の研究で判明した。
その研究とは、約8500人の被験者に「セクシーではない広告」と「セクシーな広告」を見てもらうというもの。その結果、被験者は「セクシーな広告」を見た時に、体が温まったり、心拍数が上がったりする反応を見せたが、「セクシーではない広告」より「セクシーな広告」で宣伝されている商品は覚えにくいことがわかったのだ。
この現象を研究者は「注意狭窄」によるものだと結論付けている。注意狭窄とは、人間の限られた注意深さの中で、「ある一つのもの」に注目してしまうと、「他のもの」の印象が薄れてしまうという現象のこと。今回の場合、セクシーな広告を見たとき、覚えてもらいたい商品よりも、セクシーなモデルに注目してしまったということだ。つまり、長年愛されてきた「SEX SELLS」という手法は、消費者に商品を覚えてもらうのには向いていないことが判明した。(参照元:SCIENCE OF US、VAVVEN)
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セクシーよりも、タフがトレンド
さらに、世界最大級のデジタルコンテンツカンパニー「ゲッティイメージズ」のビッグデータから導き出したビジュアルトレンドも「セクシーな女性」を起用した広告の終焉を示唆している。
それは、同社が発表した2017年の広告写真におけるビジュアルトレンドを、前年の検索キーワードやダウンロード数、実際の広告を分析してまとめた「Creative In Focus 2017」で「グリティ・ウーマン」が打ち出されたからだ。
グリティ・ウーマンとは、2017年の新しい女性の美しさの傾向として、慣例や壁を打ち壊す、タフで粘り強く、真っ直ぐで、苦しい場面も積極的に関わっていく女性を指しているゲティイメージズが考案したトレンドキーワード。自分がどのように見えるかよりも、自分が何をするベきかを考えている、そんな女性のビジュアルが注目を集めていることをゲッティイメージズは予測したのだ。
「セクシーな広告」の終焉
今回紹介した研究やデータからもわかるように、「セクシーな女性を起用した広告」は今の時代にそぐわないと言えるだろう。
先日トランプ大統領当選後に世界各国で行われた「ウーマンズ・マーチ」や、昨日の「国際女性デー」の盛り上がりをみると、自分がどのように見えるかよりも、自分が何をするベきかを考えている女性が社会に増えてきていることを実感するのはそう難しくはない。「セクシーな女性の広告」の終焉を肌で感じとることができるのは筆者だけではないはずだ。
フォトコンテストTOKYO WOMAN開催!
ゲッティイメージズ ジャパン株式会社は、CREATIVE IN FOCUS 2017で発表された「Gritty Woman」を起点に、東京で活躍する様々な女性を切り取った写真コンペティションを開催。
今回のコンテストテーマは、“TOKYO WOMAN”。
本コンテストは、東京で活躍する様々な女性にフォーカスし、女性の持つ「屈強さ」「たくましさ」「エネルギッシュ」「勇気」「美しさ」「前向き」といったコンセプトをビジュアル化した写真を”TOKYO WOMAN”をテーマに募集中。
詳しくはこちら。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。