「これ以上、日本の素敵な文化を絶やしたくありません」新型コロナ危機で打撃を受けるアーティスト5人に聞いた胸の内|Stay home but Not aloneプロジェクト #004

2020.4.30

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この記事は、アートコレクティブ「(THE)LIVING ROOM STUDIO」とのコラボレーション記事です。

新型ウイルスの蔓延により、日本の文化、芸能は危機に陥っている。

毎日のように流れてくる閉館、閉店のツイートやアーティストたちの苦しみ。しかし同時に#SaveOurSpaceや #SaveTheCinemaなど、この危機に対して当事者自らが行動を起こすなど新たなムーヴメントを作っている。

Stay home but Not aloneもその一つだ。

主にフリーランスのアーティストと数十種類のTシャツの製作をし、売り上げをアーティストの支援に使うというプロジェクトだ。本プロジェクトに参加するアーティストたちにメールインタビューを行い、この現状をどう打破しているのか(できているのか)アーティストたちの胸の内を聞いた。

#004:新道トモカ、SENDA HANA、井崎竜太朗、巻嶋翔、aimai

新道トモカ

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ーお名前、肩書き、Instagramアカウントを教えてください。

新道トモカ、photographer/dancer、@tomokarintou3

ー新型コロナウイルスの発症が各国で報道された当初の心境はいかがでしたか?

追い詰められる感覚でした。気持ちも空間も。 3月15日から21日まで、撮影でロサンゼルスにいました。
事の深刻さは肌で感じていましたが、ロサンゼルスで各国の報道を見て今自分が置かれてる状況に気持ちも頭も追いついていなかったと思います。
19日の時点では外出禁止令が出てまして、スーパーマーケットには、ゴム手袋をしないと入れない。
各ファーストフード店にセキュリティーのガードマンが立ち、見張られるなど、日に日に恐怖が増していったのを覚えています。
そんな中でSNSや友人からの連絡で知る日本の姿は数週間前のロサンゼルスのように見えて、日本の今後を想像してしまいました。
予知夢を見ている感じですかね。いつもは楽観的な私でも外出禁止令が出た事で、当初の帰国予定日より2日早く帰国しました。
同時期に留学や撮影で来ていた仲間も慌てて帰国の準備をしていたので、これは、まずいのかも。と思った気がします。
日本に帰国した3月21日の成田空港は、出国した時とはまるで違い、海外から緊急帰国している日本人で溢れていました。
この先何が起きるか予想がつかない。まずは状況把握をしていこう。と強く思いました。

ーコロナウイルスの感染が広がっていますが、生活や製作に影響は出ましたか?

普段は、写真家としてだけでなく、ダンサーやMCのお仕事もいただいているのですが、どの分野に関しても新しい仕事の撮影依頼はほぼ0に近く、決まっていたものはリスケジュールになりました。
音楽やダンス関連のLiveやツアーの撮影はいち早く自粛が始まり、影響は大きいです。個人の製作活動としては昨年から撮り収めているFloristの筧奈鶴氏との共同プロジェクトである写真展を春先に準備していました。
また、女優の秋吉織栄氏の写真集発売と同時に写真展も夏に予定してましたが、開催の時期や方法を考え直して、今は WEBで先に展開させようかなと検討しているところです。生活においては、ロサンゼルスから帰国後、できる限り家で過ごすようにしています。
今までの家にいる時間がほとんどないライフスタイルが一変して、気持ちが落ち着きませんでしたが、すぐに慣れて平気になってしまって。
習慣って怖いなーと思ったりしています。笑
私の場合はこの生活の変化によって、いい影響もあります。
Stay homeの時間によって新しいアイディアが生まれたり、社会との関わり方を考える時間になったりもしています。 こうなってから気づく事は多く、中途半端になっていた作業も進められ、自分の事をもっと深く考えられています。

ーそれをふまえ、日本の新型コロナウイルスに対する政策をどう思いますか?

助成金に関してですが、中小企業の経営者の方々も、事業や従業員の雇用を守る為に大変な状況だと思いますが、自分や、身近な仲間のような個人事業主やフリーランスの人も、本当に厳しい状況です。
今回のプロジェクトの核となるフレーズに「フリーランスのアーティストに、 少しでも協力したい。」 が本当に嬉しかったんです。
このプロジェクトがあるように力を貸してくれる団体がある事を忘れてはいけないと思いました。
今回、政府の政策に持続化給付金というのがあります。安倍首相の総額6兆円を超える現金給付を行う。という名言にも期待をしています。
これはアーティストへの休業補償で500億ユーロ(約6兆円弱)を拠出したドイツに並ぶ給付金額です。 今ある支援策をフル活用し、前を向いてピンチをチャンスに変える発想を持ちたいと思いました。
ソーシャルディスタンスはあくまでも身体が離れているだけで気持ちが離れる事ではない事。
離れてみてより人との関わり方の大切さを感じています。
離れていてもできることを考えていきたいです。

ー各地で日本のカルチャーを守るため様々な動きが起きていますが、あなたはそれをどう思いますか?

「コロナの先の社会」へ。
レディー・ガガさんの呼びかけで、「One World: Together at Home (一つの世界。家で一緒に)」というイベントが実現しました。
大勢のミュージシャンが自宅などから映像で出演し歌と演奏を披露しました。
日本もアーティストはバーチャルイベントへと活動の場を移したり、最近では 新日本フィルハーモニー交響楽団の有志たちでそれぞれのパートを自宅で演奏して遠隔にて映像を作り配信していました。
私たちは「こんな世界にしたいな」「このカルチャーを大切にしたいな」と思う気持ちを形にして発信していく事が今できる事なのではないかと思います。

ー今回のプロジェクトの作品についてお聞かせください(作品の意図や思い)

桜の写真です。
今年って、あったはずの春を感じれなかった人が多いのではないかと思い、桜の写真をお届けしたかったんです。
プロジェクトのコンセプトに’自宅で待つ時間を少しでも素敵にしたい。’ ’自宅で待つ人たちの気分が、少しでもハッピーになれたら’ というのがあります。
冬の終わりかけって「もうすぐ春だね!」って言うことあるじゃないですか。あの気持ちでワクワクしながらstay homeしてたら、もしかしたらハッピーかなって!
私はTシャツを受け取るあなたの顔を想像してワクワクとドキドキでハッピーなのです。 買ってくれた人が喜んでくれるかな?って。

ー1人のアーティストとして、あなたが今できることはなんだと思いますか?

健康と発信。
自粛生活での発見や喜びを発信する事ですね。
そして健康でいる事。活動を楽しみにしてくれているファンの方や応援してくれてる仲間や家族のためにも自分の健康管理は徹底することが最優先かと思います。
写真やダンス以外でも声を使っての発信も試みています。インターネットラジオにて電話を使いゲストをお呼びして収録しています。
今の生活で生まれた喜びや、考え方のシェアや、私というツールを活かして様々なジャンルの方に出て いただいています。
私の活動の発信はフリーWi-Fiです。皆さんが好きに自由にピックアップして欲しいてですね。

ー収束したら、何がしたいですか?

マスクを外して面と向かって会話をしたいですね。 家族の顔も見たいですしね。 欲を言えば、被写体に寄り寄りの撮影もしたいところです。

新道トモカ

フォトグラファー/ダンサー

Instagram

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SENDA HANA 、イラストレーター

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ーお名前、肩書き、Instagramアカウントを教えてください。

SENDA HANA 、イラストレーター、 @noname_

ー新型コロナウイルスの発症が各国で報道された当初の心境はいかがでしたか?

中国でコロナが発症した当初は、まさかこんな未来が待っているなんて想像もしていませんでした。すぐに収まるだろうと思っていたので、たのしい未来の約束を、当たり前に、色々な方としていました。まさか、それが全部なくなるとは…って感じです。

ーコロナウイルスの感染が広がっていますが、生活や製作に影響は出ましたか?

もともと自宅で作業しているので、日常生活にそこまで影響はありません。
しかし、参加予定だったイベントが相次いで中止になってしまい収入が激減してしまいました。なので、節約生活を強いられてはいます。

あとは、コーヒー屋さんに行って、談笑するという癒しの日課がなくなりなり、若干のストレスを感じてはいます。その代わりに、自宅でコーヒーを淹れるようになりました。しかし、その新たな日課から私は気づいたのです。私はコーヒー屋さんという空間、カルチャー、色んなものを含め「コーヒー」が好きなんだなと。単なるカフェイン中毒ではないんだなと。…はやく、人に淹れて貰ったおいしいコーヒーが飲みたいです。

ーそれをふまえ、日本の新型コロナウイルスに対する政策をどう思いますか?

よくわからない。と言ったら無責任かもしれませんが。
コロナが収束した社会の未来、自分の未来をしっかり見据え、今まで以上に政治と真剣に向き合い、考えていかなければならないなと思いました。

ー各地で日本のカルチャーを守るため様々な動きが起きていますが、あなたはそれをどう思いますか?

すぐに考え行動に移せる人たちを尊敬します。自分はそれに乗っかって協力することしか今はしていません。ただ、自分にしか出来ないこともあると思うのでもう少し考えてみようと思います。

話が少し逸れますが、大好きな喫茶店や町の中華屋さん、銭湯など古き良きSNSなど無知な小さなお店のいまの現状が心配でなりません。そういうカルチャー、誰か守ってくれませんか。

ー今回のプロジェクトの作品についてお聞かせください(作品の意図や思い)

ここに描かれている顔は、実際に街で見かけた実在するおじさんだったりします。そのおじさん達に、コロナが収束したらまた会いたいな~!というそんな思いで、今回このをTシャツにしました。生きてまた会いましょう。って感じです。

ー1人のアーティストとして、あなたが今できることはなんだと思いますか?

アーティストとして、人として。まずは『自分が感染しているかもしれない』という意識をしっかり持ち、家にいること、人と接触しないことが大事だと思っています。
なので、そういう環境だからこそ楽しめる、自分にしか出来ない何かをいま模索中です。

あと、未来がどうなるか分かりませんが個展開催の予定もあるので、そこでたくさんの方にハッピーを配ることができればと考えています。そこで皆さんに会うために今は家にいます。いましょう。

ー収束したら、何がしたいですか?

日常にあった小さな喜びを再発見する(程よい人混みの)散歩にでたいです。

SENDA HANA

イラストレーター

Instagram

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井崎竜太朗 、フォトグラファー

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ーお名前、肩書き、Instagramアカウントを教えてください。

井崎竜太朗 、フォトグラファー、@izryu

ー新型コロナウイルスの発症が各国で報道された当初の心境はいかがでしたか?

当初では、今の状況で感じられるような危機を覚えてはいなかった。どこか自分とはかけ離れた問題だと認識してしまっていたと思う。

ーコロナウイルスの感染が広がっていますが、生活や製作に影響は出ましたか?

4月以降の撮影案件はキャンセルが続き、5月に予定していた展示は延期になった。今は自宅で行えるプロダクト製作や問題の収束後に実行できるように企画を考えている。

ーそれをふまえ、日本の新型コロナウイルスに対する政策をどう思いますか?

海外と比べると後手に回り、それに付随する様々な問題が毎日更新されていると感じるのでややこしく、不安になる。

ー各地で日本のカルチャーを守るため様々な動きが起きていますが、あなたはそれ をどう思いますか?

とても大事で誇らしい行為だと思う。

ー今回のプロジェクトの作品についてお聞かせください(作品の意図や思い)

ステイホームしていても開放感をもってほしいという願いをもとに、作品の中からセレクトした。家で観葉植物を育てている人が、それを見て良い気分になったり落ち着いたりできるように。同じ効力があれば幸いです。

ー1人のアーティストとして、あなたが今できることはなんだと思いますか?

考えることを止めず、このような状況でも新しいことに取り組むこと。作り続けること。

ー収束したら、何がしたいですか?

友人と会って他愛もない話をしたり、まだ行ったことのない場所へ旅行に行ったりしたい。

井崎竜太朗

フォトグラファー

Instagram

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巻嶋翔

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ーお名前、肩書き、Instagramアカウントを教えてください。

巻嶋翔、@sho_makishima

ー新型コロナウイルスの発症が各国で報道された当初の心境はいかがでしたか?

当初は危機感を持っておらず、単純な流行風邪としての印象でした。

ーコロナウイルスの感染が広がっていますが、生活や製作に影響は出ましたか?

影響は出ています。現場がキャンセルになったり、延期になったり。
その状況を受け入れつつも、今自分ができることに取り組んでいます。

ーそれをふまえ、日本の新型コロナウイルスに対する政策をどう思いますか?

様々なフラストレーションが溜まる状況は多いと思います。しかし、それはどの場所においても同じなんだと考え自分と向き合っています。

ー各地で日本のカルチャーを守るため様々な動きが起きていますが、あなたはそれ をどう思いますか?

アクションを起こすことが最重要だと感じているので、とてもいいことだと思っています。

ー今回のプロジェクトの作品についてお聞かせください(作品の意図や思い)

日常に潜む光の軌跡や陰影に惹かれて撮影しているのですが、今回の作品もプリズムを通して見る暗闇を写しており、自宅での時間が増える今、こうした些細な瞬間や風景に価値を感じて欲しいと思い制作しました。

ー1人のアーティストとして、あなたが今できることはなんだと思いますか?

いまは実際にお会いして仕事ができないので、どうすれば対面できない状況下で写真・映像の価値を訴求できるかを考えています。

ー収束したら、何がしたいですか?

大切な友達や家族へ感謝の気持ちを直接会って伝えたいです。

巻嶋翔

Instagram

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aimai、グラフィックアート、グラフィックデザイン、アートディレクション

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-お名前、肩書き、Instagramアカウントを教えてください。

aimai、グラフィックアート、グラフィックデザイン、アートディレクション、@aimaia

-新型コロナウイルスの発症が各国で報道された当初の心境はいかがでしたか?

中国での発生当初は正直ここまで世界中に、大流行するとは思っていませんでした。私は今年の5月からドイツに一年間住む予定だったので、どうかこれ以上ウイルスが世界に広まらないことを願っていました。

ーコロナウイルスの感染が広がっていますが、生活や製作に影響は出ましたか?

生活の面では、外出はスーパーかコンビニに食べ物を買いに行くのみで、ほぼ毎日家にいます。もともと家からあまり出ないので、そこまで苦痛ではありませんでした。でも、陽に当たらなすぎると気分が落ち込んでしまうので、たまにお昼ご飯をベランダで食べたりしています。
お仕事の面ではコロナの影響もあり、おそらく来月からメインとしているお仕事が無くなります。どうやって生きていくか、また考え直さなければなりません。普段からパソコンを使って制作しているので、作業は変わらずできています。
プラスの影響としては、今だからこそ作れるもの、作りたいものが、どんどん頭に浮かんできて、創作意欲がより湧いてきました。

-それをふまえ、日本の新型コロナウイルスに対する政策をどう思いますか?

日本人として日本に住んでいる以上、打ち出された政策の中で、どうやって生きていくかを自分で決めるしかないと思います。今の政策を受け止めて、ただこれからも生きていく。という事だけかなと思います。
正直、テレビから得る情報、インターネットから得る情報、何が正しくて何が正しくないのか。情報が溢れすぎていて混乱しそうになります。結局は、自分で得た情報で、自分が信じた情報で、自分が納得のいく候補者に投票する。今の政策に納得がいかないのであれば、実際に行動を起こす。そうするしかないと思います。
こういった状況の中でも、自分達で何か少しでも問題解決できないか、疲れ切った人々の心を豊かにできるものを作れないか、前向きに考えていきたいです。そういった点でも、今回のプロジェクトはすごく素敵だと思いました。

-各地で日本のカルチャーを守るため様々な動きが起きていますが、あなたはそれをどう思いますか?

声を上げて実際に行動に移すことは、とても大切なことだと思います。
ただ、じっとしている。誰かが助けてくれるのを待っているだけじゃ、誰も助けてはくれないことを、改めて感じたと思います。誰でも声を上げていいし、自分が少しでもその人の助けになるなら協力したいです。これ以上、日本の素敵な文化を絶やしたくありません。

ー今回のプロジェクトの作品についてお聞かせください(作品の意図や思い)

今回、私はプロジェクトのロゴを制作させていただきました。
お声かけいただきありがとうございます。
様々な作品と共に使用されるとのことで、どのようなテイストにも馴染みやすく、シンプルなデザインを心がけました。このプロジェクトの「誰かを想うと、独りじゃなくなる。」というメッセージの温かみを、ロゴからも感じていただけるよう、文字の角にやや丸みをつけ、少しやわらかい印象にしました。
新型コロナウイルスの収束後も、このメッセージが誰かの心に寄り添い続けたらいいなと思います。

-1人のアーティストとして、あなたが今できることはなんだと思いますか?

アーティストとして、人としても今はとにかく、自分がコロナウイルスに感染して人に移さないように、手洗いうがいを丁寧にして家にいること。
そして、私は何かを作ったり描いたりする事が出来るので、アートやデザインを通して心が豊かになるもの、ワクワクするものを作り続けたい。
いつも私が思っていることは、「自分の作ったものを、誰かがお部屋の一部に飾ってくれたり、眺めるだけで幸せな気持ちになってくれたらいいなぁ。」ということ。
家にいる事が多くなった今、家の中で楽しめるようなものを作ろうと計画しています。

-収束したら、何がしたいですか?

もともと今年からドイツに行くつもりだったので、早くドイツにいきたいです!

aimai

グラフィックアート、グラフィックデザイン、アートディレクション

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