今週末は2月11日の日曜日が「祝日」のため、月曜日が「振替休日」となり、学校や仕事が三連休となる人も少なくないだろう。正式には“国民の休日”と呼ばれる「祝日」が日曜日にあたると、それに最も近い平日を休みとするように決まっているからだ。
では来たる2月11日は何を記念した日なのだろうか?多くの人にとってはただの休日かもしれないが、それは「建国をしのび、国を愛する心を養う」(引用元:内閣府)ものとして定められた「建国記念の日」。そんな祝日に合わせ、とある展示が阿佐ヶ谷にあるギャラリーで開催される。
「建国記念の日」によせて、東大を拠点に「社会を指向する芸術」のためのアートマネジメント育成事業を行うAMSEAにより、こんなステートメントが公開された。
これらはかつての歴史を繰り返そうとするものなのか。トランプ大統領の誕生後、ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』やジョージ・オーウェルの『1984』への関心の高まりは何を意味するのか。
問いは続く。
個が “全体” に呑まれるとき、それは自ら進んでなのか。気付かぬままに呑まれるのか。それとも、そうした状況に気付き、抵抗するのか。
問いは続く。
“TOTALTOPIA” という言葉が境界付ける空間で生じるのは、”全体” に対する憧憬か諦念か、それとも抵抗か。
問いは続く。
芸術の自由と無責任はどこまで共有されるのか。
問いは続く。
彼らが話している「全体主義」を簡単に説明すると個に対し全体を優先し、国家の統治下に置こうとする政治体制や思想で、「表現の自由の抑制」や戦争を外交の手段とする「軍国主義」にも関連している。また「国家主義」とは“国家”を何よりも優位に考える立場のことだ。(参照元:コトバンク①, ②)
それらがまず思い起こさせるのが、日本でいえば特定秘密保護法や“共謀罪”などを強行的に成立させた安倍政権が目指している自衛隊をめぐる「憲法改正」。それから、シリアで起きた内戦により大量の難民が流れ込んだヨーロッパの国などで極右政党が勢力を増していることではないだろうか。
また、移民などのマイノリティを排除しようとするアメリカのトランプ大統領の政策も思い浮かぶだろう。同国で彼の政策に対して反発する人たちの関心が高まったのが、AMSEAが言及していた哲学者ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』や、作家ジョージ・オーウェルの『1984』という全体主義的未来や監視社会を描いた作品だ。
“国家主義/全体主義”がテーマのユニークな作品展に何を思うか?
ニュースで「特定機密保護法」や「テロ等準備罪」などの言葉を聞いても、どこか自分とは遠いところの話だと思っている人もいるかもしれない。だが、たとえば「建国記念の日」のように個人にとってはただの休みであっても、実は国家主義や全体主義などとの関連を思わせる日があることを知っていてほしい。“全体主義の楽園”のようにも読める「TOTALTOPA」という造語と展示作品から、あなたは何を考えるだろうか?
「TOTALTOPIA」
建国記念の日に現代美術が示す “国家/全体主義”
会期 : 2018年2月10日 (土)〜2月12日 (月・祝)13:00 – 20:00
Reception Party : 2月11日(日・建国記念の日)18:00 – 20:00
会場 : TAV GALLERY (東京都杉並区阿佐谷北1-31-2) [TEL:03-3330-6881]
参加作家 : 大木裕之、風間サチコ、潘逸舟、布施琳太郎、山田周平、和田昌宏
主催 : AMSEA : 東京大学 | 社会を指向する芸術のためのアートマネジメント育成事業 The University of Tokyo | Art Management of Socially Engaged Art
平成29年度 文化庁「大学を活用した文化芸術推進事業」
協力 : AISHO MIURA、URANO、無人島プロダクション 企画 : 島林秀行、鷹野健
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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。