「いや、日本生まれ日本育ちです」モデル&写真家のあめやが考える、“人種と出身地と外国人”の意味

Text: 雨夜

Photography: Ayumi Turnbull

2020.2.4

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こんにちは。あめやです。NEUT Magazineではたまにフォトグラファーをしています。今日は、自分について少し話させてください。

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「やほー、あめやです。22歳で、大学でマスコミと経済の勉強をしました。大学を卒業してからはモデルとカメラマンとして働いています。好きな食べ物はから揚げ。趣味は音楽を聞くこととドキュメンタリーを見ること」

私が自己紹介するなら多分こういう感じだと思います。

でも、このあと、色々な質問をされます。

よくある会話

「日本語上手ですね」

まずはここで何て言えばいいかなって思う。外国人だから日本語喋れるってみんなびっくりする。そこから3つのオプションがある。

「ありがとう」って返す。 
こうすると相手に自分が自信持ってるなと思われるかもしれない。でも「ありがとう」って答えたらだいたいそこで会話が終わる。急いでるときにこれが一番良いオプション。例えば焼きそばを作ってるときに、キャベツがないことに気がついて、スーパーに走って、レジで「ポイントカードありますか?」って聞かれて、「ありません」って答えたら、「え!日本語上手ですね」って言われ、いろんな質問が始まったので、とりあえず「ありがとう」って話を終わらせた。

「いいえ、全然。まだまだ勉強しなくちゃいけないです」って答える。
自分でも日本語まだ勉強しなくちゃいけないってわかってる。全然完璧じゃないし、こう答えると相手の期待も下がる。それで、もし文法や発音がおかしかったら許してくれるかも。敬語もあまり使わなくてもいい。漢字がわからなくても大丈夫。そこは“外人パス”。

「いや、日本生まれ日本育ちです」って答える。
これは事実なんだけど、でも逆に日本語喋れるのが当たり前って思われる。私が頑張って日本語を勉強したって他の人に分からない。そして敬語で話し始められる。深い話も始まる。それが怖くてあまりこのオプションは使わない。

「日本長いですか?」

これを答えるのも難しいです。

「東京で生まれて8歳まで日本に住んでいて、そして19歳のときにまた日本に戻ってきました」この答えも長いし、多分そんなに詳しく答えない方がいいかも。たまに「3年前に日本に来た」って答える。そうすると自分の人生を説明しなくても大丈夫。

「えーじゃ、日本のあとどこに行ったの?」

「インド2年、シンガポール2年、アメリカのLA4年、サンタクルーズ1年、でまた19歳のときに戻ってきました」
また長い答えになる。

「アメリカ」って答える。「じゃー英語話せますか?」うなずいて「うん」って答える。

「すごい!」ってみんな言う。だけど今まで住んでいた国ではみんな英語が喋れるって当たり前だった。インドでも学校に行った人は全員英語喋れる。私にとって全然褒められることじゃないと思う。

たまに出身はどこですかって聞かれる。それで「東京」って答える。

「え?じゃハーフですか?」

「いや、ハーフじゃないです。両親はインド人です」

「えーじゃ出身はインドってことなんですね」

これも変だなって思う。なんでわざわざインドって答えなくちゃいけないの?人の国籍、人の人種、そして出身って全部違うんだって思う。

‪ちなみに、出身って生まれた場所でしょう?私は東京で生まれたから私の出身はいつも東京って言うけどみんな「何言ってるの?」って顔をする。逆にみんな私が「出身」という日本語の意味がわからないって思ってるみたい。

人種と出身は違うんだよ。

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毎日が面接?

毎日結構知らない人から話しかけられる。まるでインタビューみたいな感じ。
別に悪いことじゃないけどたまに疲れる。家の近くにあるスーパーに行っても全く知らない人から話かけられる。最近どこに行っても話しかける人が多い。ちょっと落ち着かない。たまに変な質問もされる。「インド人ってアジア人じゃないよね」、「インド人だから毎日カレー食べてるよね」、「なんで日本で生まれたの?」。いや、ママのお腹にいたときに別に私が母に日本で生まれたい!!って言ったわけないでしょう。あと申し訳ないですが、私は毎日全然インドカレー食べてない。インドカレーの作り方もわからん。グーグル先生に相談しなきゃ。

外国人の意味

外国人っていう意味は、外から来た人だ。もし私が他の国から日本に引っ越したなら私は外国人だと思うけど、私はお母さんのお腹から日本に引っ越したと思う。

グーグル先生にも「外国人の意味」を聞いてみた。先生の答えは「その国の国籍を持ってない人」。この意味はちょっとわかりづらいと思う。例えば私が日本育ちの韓国人や中国人なら、そして日本人の名前も付けられたら、多分みんなが私が日本人って思うだろう。そして日系アメリカ人はもしアメリカで生まれて育ったら、国籍もアメリカになる。でも親から日本語学んで日本に引っ越す日系アメリカ人もいる。でもグーグル先生の外国人の意味でその日系アメリカ人は日本人じゃないよね。だって日本の国籍持ってないし、アメリカ国籍だよね、アメリカ人だよね。

どこ行っても外国人です

日本に人種的に2つのカテゴリーしかない。日本人そして外国人。私は日本人の血が入ってないし、ずっと日本に育ってないから、多分みんな私のこと外国人だと思ってる。

逆にアメリカに行くと私は外国人だと思う。でも周りのアメリカ人が私がアメリカ人じゃないって全然気がつかない。私も彼らと同じアメリカ人だと思ってる人が多い。英語喋れるから私が外国人ってわからない。でももっと仲良くなると、やっぱ私の考え方は違うって気づく。

シンガポールに行くと私は「アングモー」って呼ばれる。アングモーって大体は白人をさす外国人の呼び方。シンガポールには結構イギリスとアメリカの友達が多くて私の英語のアクセントもその感じだからかな。

インドに行くと私の外見がみんなと同じってわかるけど、何となくみんなから外国人の雰囲気がすると思われる。そして口から言葉がでた瞬間から「この子かなり海外で育った」って普通にわかる。インド人の英語も違うし、全然インド人の英語じゃないってバレる。

じゃあ何人なんですか?私は何人でもないし、何人でもある。

色んな国で育ったから、色んな世界を見て来たと思う。私は色んな世界から作られている。私はどこの国の人でもないのかも。

私はTCK(Third- Culture Kid「サードカルチャーキッズ」)だ。 TCKを表す言葉はまだ日本語にはないけど。つまり、両親の文化、生まれ育った国々の文化が混ざり合って独特の文化を持った子どものこと。しかも私は14歳から1人で暮らしているから、親や家族の影響も少ない。

どんな人にも偏見を持たないし、逆に盲目的にもならない。それで色んな国や文化の架け橋になれると思う。以前の私は、誰も私の世界がわからないと思って、すごく寂しかった。でも今は逆にそれがプラスになって私から他の人の世界に飛び込める。社交的でフレンドリーと言われる。色んな人に興味がある。だから言いたかったのは、みんながそれぞれのストーリーを持っているってこと(たまには何も持ってない人もいるけどね)。

私は何人でもないし、何人でもある。

あめや

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