フェアトレード、ダイレクトトレード、オーガニック、ベジタリアン、ビーガン、ゼロウェイスト、昆虫食、未来食…。東京の街に日々増えていく、お腹をただ満たすだけではない「思想の詰まった飲食店」。
「ビーガンの友達と、ビーガンメニューのあるレストランにいきたい」、「サードウェーブの先を行くコーヒーが飲みたい」、「フードロスのないレストランに行きたい」、「無農薬野菜が食べたい」、「友達や恋人と健康的な食事をしたい」、「ストーリーのある食材で作られたものを食べたい」「地元の食材を食べたい」などなど。そんなニーズに答える連載。
「食べることはお腹を満たすだけじゃない。思想も一緒にいただきます」、その名も『TOKYO GOOD FOOD』。フーディーなBe inspired!編集部が東京で出会える、社会に、環境に、健康に、あなたに、兎に角「GOODなFOOD」を気まぐれでお届け!
第19回目の『TOKYO GOOD FOOD』は、米カリフォルニア州サンラファレル発のアイスクリームブランド、「Three Twins Ice Cream(スリーツインズ アイスクリーム)」を紹介する。
WHERE IN TOKYO
2005年にアメリカのカリフォルニア州、サンラファレル(サンフランシスコのノースベイに位置する)で誕生した100%オーガニックなアイスクリーム「Three Twins Ice Cream」(以下、スリーツインズ)。オーガニック*1ブランドのパイントサイズ*2では全米1位でシェアの48%を占めるなど、安全志向の消費者の支持を集めている。
ブランド名は創業者のニール氏自身が双子で、彼がアパートメントを双子の兄弟と、その妻(双子の姉妹がいた)とシェアしており、3人の双子が住んでいたことから「スリーツインズ」という愛称で呼んでいたのに由来。
日本には1号店が、2018年3月2日に東京・代官山の駅を出てすぐにある、ナチュラル &オーガニックコスメのセレクトショップCosme Kitchenの併設店としてオープンした。店頭でのテイクアウト販売だけではなく、家でスクープすることを想定した持ち帰り用のパイントサイズと、その場で食べられるワッフルコーンやカップ入りのアイスクリームも販売する。
(*1)農薬や化学肥料に頼らない生産方法、加工方法
(*2)アメリカの家庭にあるアイスクリームの容量として一般的なサイズ(473ml)
WHAT’S GOOD
フレーバーは、ビタースイートチョコレート、マダガスカルバニラ、ミント、シーソルトキャラメル、モカが代表的。そのほかにも、一番人気の「レモンクッキー」や、チャイに入っているスパイスとして知られるカルダモンが入った「カルダモン」など、オリジナルの味わいが楽しめる。
さらにスリーツインズで特徴的なのが、アイスクリームに不純物、保存料、人工的な原材料(具体的には遺伝子組換え果糖ぶどう糖液、人工香料、人工着色料、増粘剤、安定剤、カラギーナン不使用)などを一切使用しないで作られていることだ。
「人工着色料」を使っていないため、アイスクリームの色は派手ではないが、トッピングを加えてポップに見せる工夫も可能。追加できるトッピングには、抗酸化作用がありビタミンCが豊富なラズベリークリスプや、食物繊維やタンパク質を含むキヌアパフなどスーパーフードが揃う。店頭でスクープしてもらうときは、カップ以外に有機小麦粉、有機きび砂糖、有機バニラエッセンスを使用したホームメイドのワッフルコーンも選べる。
また多くのアイスクリームを使用されている「増粘剤」を使用していないため、口にねっとりしたものが残らない。また、「安定剤」を使用しておらず比較的溶けやすいため、インスタグラムのための写真を撮る前に食べてしまうという声もあったそうだ。
CONCEPT&PHILOSOPHY
「信頼する生産者の原材料のみを使用する」のがアイスクリームを作るうえでのコンセプト。また、「hard to find storefront=メインストリートではなく、あえて一本路地裏に入ったロケーション探しに行くお店」としてオープンし、店舗だけでなく人目を引くグリーンのトラックでの移動販売が噂となり、宣伝のコストを抑えていたもののカリフォルニア内から次第に勢力を広げて行った。
日本へ進出するにあたっては、日本国内では一般的でない「パイントサイズのアイスクリーム」を広め、それをわけて食べる時間にコミュニケーションが生まれるように、との思いが込められている。
CHANGE SOCIETY
世界では規制の動きが拡大している「トランス脂肪酸」に対する規制がない日本。そんな社会的な状況もあり、添加物に対する認識がまだ低い傾向にある日本の人たちに、製品を通してオーガニックの良さを見せることで、口に入れるものに対する意識を変えるきっかけになるかもしれないのがスリーツインズのアイスクリーム。
ヒッピーだった創始者が森林保護など環境活動にも思い入れがあったことから「森林保護プログラム」を行っており、売り上げの1%以上を環境保護団体に寄付する非営利団体「1% for the earth」に参加し、パイントサイズのアイスクリームを購入するごとに、0.6平方メートルの森林保護活動への寄付につながる支援をしている。
スリーツインズが日本に進出した理由には、「今後日本にはオーガニックアイスクリームが広まる可能性が高い」からだと、創始者のニール氏が話していた。スリーツインズのような、新しい製品を外から入れて売り出すことで新しい考え方を広めるという方法もある。
彼らのアイスクリームの自然な口どけと味わいに、従来の製品にどれだけ添加物が入れられていたのか、ということにも気づくかもしれない。必要のない物質は体内に入れたくない、と考えたときの選択肢に、そしてもちろんおいしさで選ぶときにもスリーツインズがあるようだ。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。