地域の中学生から大人、外国人まで。コロナ禍を経験している私たちは未来に何を描くのか。私的な祈りを拾いあげ未来像を描くインタビュープロジェクト「くぐる」

Text: Seijiro

2020.7.6

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小さい頃、家にかかってくる電話を親がなんで出ないのか不思議だった
今思うとあれは、お金の催促の電話だったんだろう
運悪く破産して、弁護士と聞くとしかめ面したあの時の父と、うつの病状リストが見事なまでに一致する

そんな中でも笑顔はあったが、間違いなく紙一重だった
もうひとつ何かが起こっていたら、どうなっていたんだろう

今僕らは、そんな状況にあるんじゃないか。

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みんなの厄年、2020年も半分を過ぎました。いかがお過ごしでしょうか。

Sējiroです。演技と共同体を使って作品を作っています。
重い話で始まりましたが、僕はわりに元気です。

NEUTでは、「F/Actory」というアートスペースを取材してもらいました。
昨年の夏からは国外で、似たようなコミュニティや場所のリサーチをしていましたが、先日帰国しました。

今日は、今やっている映像プロジェクトのステートメントを寄稿します。

僕が今から書くことは、僕がたった今、大事にしようとしていることで、自分に言い聞かせ続けなきゃいつ忘れてしまってもおかしくないものです、それがとても怖いので、書きます。

6月23日、友人がやっているシェアハウスで1人の内定が決まった。飛び交う「おめでとー!」の声。この会社はこうで、あの会社はこうでという話。なんか心底興味を持てなかった。「ライオンと目が合うといいことある」ってまじで信じてるどこかの少数民族とぐらいかけ離れていた。僕が彼らが。

幸せそうだから別になんでもいいんだけど、僕と彼らを1つの場所に押し込めることはやめようと思った。と同時に、押し込まれにいってるのは僕なんじゃないかとも。

限りある地球で、同時代に生きる僕らは、いかに共存できるのかをもっともっともっともっともっともっと考える必要がある。

やってきたことじゃ全然足りなかったんだから、何か別の方法を編み出す必要がある。

それをやるのは誰だろうか。政治家か、NPOか、デモの参加者たちとかなのか。もし彼らに任せたとして、僕しか知らない大事なものが、隅に追いやられてしまったっとき、僕には何も言えないのだろうな。

このままじゃまずいって。戻ったらだめだって気づいている。

「ステイホームで人の命を救う」その大義名分も空中分解してきていて、何をしたらいいのだろう。

1人で考える分にはなんでもいいんだけれど、会話やにらめっこ、何かしらのコミュニュケーションが生まれた時点で、”影響し合う”ということからは逃れられない。

ヘイトはじわりと伝播する。でもそれは、ラブでも同じことなのだ。
何を自分から発信する。何が自分から発信されている。
まずはそこだけ意識を向けて、一縷の望みがあったなら、とりあえずそこに賭けてみる。祈りに近い、絶望的なまでの賭けをしてみる。

わたしを、あいつを、アフターコロナなどと形容される、雑で、自己中心的で、陳腐な物語に回収させない。

口ならなんとでも言える今。ウソをついてもバレる今。
行動、かけた時間のみが証明になってきている。
たまに怖気付いてしまいそうになるけれど、1人で声を上げることもれっきとしたデモだから、それをやる。

ノストラダムスはもうgood night

今、F/Actoryとして、インタビューのプロジェクトをやっています。

「これからどうありたいですか?ご自身として」といったことを、地元神楽坂にゆかりある人に聞いています。その一部を下で紹介します。

場所は神社で撮りました。祈るのが恥ずかしくない場所だと思ったからです。
古来より疫病から身を守るために行われてきた神事「茅(ち)の輪くぐり」を通していろいろな人の声を聞きました。

いろんなことがあったけど、僕らはいつかは歩き出さないといけないから。まずは、未来を想像してみる。選挙以外にもできることたくさんあります。
皆さんの声も聞かせてください!!

山谷頼子

神楽坂でBAR燐光を営む山谷頼子(やまやよりこ)。お酒を飲めない人のため、「ノンアル禁煙タイム」を設けるなど、彼女が作る空間には多様な人々への想像力と気配りが散りばめられている。彼女は、”夜の街”が煽りを受けたこの時期にどう過ごし、今後どうありたいと望むのか。

松浦はな

神楽坂・本田横丁を少し下った場所にオープンした、アラビックカフェ&デリ「アブ・イサーム」。
母が営むそのお店を、英語を交えた接客で手伝っていた松浦はな(まつうら はな)は、今年の6月に中学1年生になった。
幼少期から、イスラエル、パレスチナ、パキスタンなど、多様な文化に触れて育った彼女は、現在の”転換期”と言ってもいい状況にどんな眼差しを向けているのか。

團上祐志

画家の團上祐志(だんが みゆうし)。
大学在学中より国内外で展覧会が開催されてきた彼は現在、愛媛県大洲市で古民家の再生事業を行っている。
アーティスト・起業家として世界を睨みながら、あえて農村での暮らしを選んだ彼の目に、今回の疫病の蔓延はどう映ったのか。

BATACO

Human BeatboxerのBATACO(バタコ)。人間の身体の可能性を、ビートボックスという切り口から更新し続けている彼。
この4月1日に、siriにラップさせるなど、挑戦的なメッセージを含んだEPをリリースした彼は、何を言葉で語るのか。

F/Actory

TwitterInstagramfactory.info39@gmail.com

F/Actory(ファクトリー)は新宿区神楽坂にある文化芸術施設(人が住んでいる)。選択肢の多い世界が居心地いいから、ささやかながらブラックホース。チームで作品も作りますが、その境界は曖昧です。気軽に連絡ください。

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