地球上のほとんどの女性が月に1回は苦しむ生理痛。個人差はあるものの、大多数の女性がその不快感や腹痛を経験したことがあるのではないだろうか。症状が重い人の場合だと、ベッドから起き上がるのもやっと。腹痛だけでなく、関節痛、頭痛、体全体にだるさを感じる人もいる。月に一回、生理痛が1番ひどい時に、職場を休めたらどれだけいいだろうか?そんなことを考えたことのある女性は少なくないだろう。
実はアフリカの国、ザンビアではそんな生理休みが認められているのだ。
ザンビアでは「マザーズ・デイ(母の日)」と呼ばれる、会社が認める生理のための休みが存在する。女性は月に1度、好きな時に電話を一本入れれば仕事を休むことができる。病院の診断書を見せる必要もなく、上司や同僚から詮索されることもない。(参照元:africanews)
生理に苦しむ女性としては、夢のようなこの制度。全世界で実地するべきだ!と言いたいところだが、懸念点もいくつかあげられる。まず第一に、生理痛には個人差があること。冒頭で述べた通り、起き上がるのも辛いほどの症状が出る女性もいれば、ほとんど何も変化を感じない人もいる。これに関して客観的な見極めは極めて難しい。
また、生理ではない日に参加したいイベントがあるなどの理由で、「マザーズ・デイ」を使って休む職員がいるという。これに関しては、現在ザンビアでは厳しく罰を与えている。実際に「マザーズ・デイ」を使って休んだ職員が家で農作業をしていると会社に連絡があり、その女性はクビになったそうだ。(参照元:BBC)しかしそれでも、完璧な管理は難しいだろう。
もちろん、仕事の生産性にも大きく影響する。管理側としては、女性職員が来ることを見込んで計画した仕事の流れが、急な「マザーズ・デイ」の欠席によって、大幅に崩れるリスクがあることは言うまでもない。また、運悪く社内の女性職員数名が同じ日に休んだとしたら、その打撃は倍増だ。
そして、ザンビアの「マザーズ・デイ」において考慮しなければならない重要な事実は、女性が家事洗濯をし子供を育てる、という男女の役割がはっきりと社会的に差別化されているからこそ、この法律が国民に受け入れられているという事実だ。
ここまで懸念点をあげてきたが、日本国内の生理への理解の乏しさや、生理による早退、欠席が社会の中で軽視されているという事実からも目を背けることもできない。
ただでさえ長時間労働や休日の少なさなど、劣悪な労働環境が問題となっている日本でこの制度を取り入れるのは、賛成意見が多かったとしても遠い未来の話ではある。しかしそれでも将来的に、女性の権利を考え取り入れるべきか、それともこれは贅沢すぎる注文なのか。みなさんはどう考えるだろうか?
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。