人類と地球の未来に優しい「週4日勤務」

Text: Kenji Takeuchi

2016.11.28

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今、働き方の改革が世界でも話題となっているのをご存知だろうか。

新しい働き方のイメージとして、自宅や移動先での勤務に代表されるリモートワークやノマドワーク、複数の生業をかけ持つデュアルワークといったものをイメージする人も少なくないだろう。

しかし、アメリカでは“Labor Day”(労働者の日で、9月の第1月曜日と定められている)を、イギリスでは“Bank Holiday”(日曜以外に銀行が閉まる日で、月曜に多い)をきっかけに、「週4日勤務」の働き方の議論が熱を帯びている。

以前でも、Be inspiredでは「残業なんて時代遅れ、頑張らない美学」や「北欧では1日6時間しか働かない理由」などを紹介してきたが、今回はさらに働く時間を短くした「週4日勤務」という働き方についてご紹介する。今、世界各地で巻き起こる“働き方”に関する議論の波に、日本もうまく乗ることができるのか。

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(Photo by Fritz Bielmeier)

労働時間の短縮は、健康や生産性の向上だけではない

労働時間の短縮によってもたらされる効果は、これまでにも多くの研究で検証されてきた。

短時間労働のメリットとしては、家族との時間や地域コミュニティの活動、スポーツに参加する時間の増加による、心身面の健康やワークライフバランスの改善が期待されています。

ロンドン大学のウィリアムズ教授はそう話す。(参照元:treehugger

また、冒頭で紹介した北欧の事例が示すように、働く時間の短縮は、社員の集中力アップや意欲の向上、ストレス軽減による社内の雰囲気改善といった効果があると言われている。雇用主や企業サイドにとっても、そこまで悪い話しではないだろう。

しかし、従業員のメンタルや生産性の向上といったものの他に、もうひとつ「週4日勤務」の効果が、最近になって注目されはじめてきた。それが「環境」への影響だ。

労働時間と環境

週4日勤務こそが、経営や環境面でも負荷をかけない理想的な働き方といえます。1日だけでも通勤による渋滞の軽減、オフィスの節電・節水効果は非常に大きい。

そうウィリアムズ教授は強調する。

実際に、アメリカのユタ州では、2007年に州政府が週4日勤務(月曜〜木曜)を州内の労働者にむけて推奨するケースがあった。この取り組みにより、およそ180万ドルものランニングコストが抑えられ、12,000トンものCO2削減効果があったと言われている。

残念ながら、毎週金曜日に各種サービスを受けられないことへの不満から、2011年に同制度は廃止された。それでも、ユタ州の事例は、短時間労働による持続可能な暮らしへのヒントを投げかけてくれたのではないだろうか。

AI(人工知能)に浸食されつつある労働

さまざまな観点から効果が期待されている「週4日勤務」のワークスタイルだが、これからの世界的な労働環境の変化を考慮しても、短時間労働の必然性が見えてくる。

例えば近い将来、ロボットやAI(人口知能)の台頭によって、これまでの労働環境が劇的に変化することが予想されている。人が創造する仕事の価値は普遍的で、全ての労働がAIなどに取って代わられるとは信じ難いが、労働のIT化は、改めて働き方や労働時間のあり方を見直す時期に差しかかっていることを教えてくれる。ここに興味深いデータがある。

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(Photo by markusspiske)

ゼネラル・モーターズが、ピーク時の1979年に110億ドルの売上げを達成するのに投じた労働人口は、84万人。それに対し、2012年に140億ドルの売上げ達成には、その数が7万7千人にまで減っている。ちなみに、Googleが同金額の売上げ達成に投じた人員は、3万8千人。(参照元:treehugger

もちろん、時代背景や業界も異なるため、一概に断言することは難しいが、労働機会の減少を避けられない現実が目前に迫っているといえるのでは―。

100年先のレガシーを

自動車会社フォードの設立者、ヘンリー・フォードが「週休2日制」を導入したのは、1920年頃のこと。最良の従業員を雇い続け、作業効率を改善できるという認識が彼のなかにはあったと言われている。(参照元:Scientific American

それからおよそ100年。今こそ、これまで我々の脳内を巣食ってきた「週5日勤務」という常識を疑い、100年先のレガシーとなりうる働き方を模索する時期に来ているのではないだろうか。

日本でも、一部のIT企業のあいだでは、導入に向けた検討が始まった「週4日勤務」。導入に向け賛否両論はあるにせよ、一朝一夕に実現できるものではない。

是非、つぎの連休には、今後の働き方を考える時間を取ってみてはいかがだろうか?

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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