「男が赤リップ塗っても、よくない別に?」メイクやネイルを楽しむ彼の“男らしさ”|Oh Boy vol.3

Text: Noemi Minami

Photography: KOTETSU NAKAZATO unless otherwise stated.

Artwork: miriishii

2019.3.11

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Oh Boy

NEUTの3月の特集は「Oh Boy」。

世の中で“男らしさ”や“女らしさ”といわれるものは、生まれてきた体に関係なく誰の中にも共存しているものではないでしょうか?

今回の特集では、そんな“男らしさ”や“女らしさ”に対してニュートラルな考えを持つ複数の20代男性の“女らしさ”に焦点を当てて、彼らの等身大の視点を届けます。

▶︎プロローグ

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都内の人気美容室で働く22歳の時男(ときお)。赤リップが印象的な彼は日常的にメイクをし、“女らしい”服も楽しむ。そんな彼にはInstagramなどで、同じような格好を楽しみたい男性たちから相談がくるそうである。

言うことは決まってる。「やりたいならやれよ」って。

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時男

よくない別に?

「男性の“女らしさ”」に焦点を当てた3月の特集「Oh Boy」。同特集の第三弾としてNEUTが話を聞いたのは、誰よりも“男らしく”、“女らしいスタイル”を楽しむ時男。正確には、当の本人には「“女らしい”という意識は全くない」。

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リップをしたり、まつげエクステをしたり、ネイルをしたり。そういったことは一般的に“女らしい”こと、とされているのは周知の事実であろう。時男が初めて赤リップをつけ始めた頃は、周りもびっくりしていたと振り返る。

「男なのにそういうのつけるの?」みたいな。「つけるの?」っていうか、なんなら「つけていいの?」みたいな。「よくない別に?」って。

もともとは「ザ・モテ系」だったという彼が、いわゆる女らしい格好をするようになったのに、特に理由はない。ある日赤リップをつけてみたら「しっくりきたから」、だから続けている。

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興味深いのは、リップやネイルといったものが社会的に“女らしい”とされていることを彼が認識はしているが、それらを“女らしい”と意識しているわけではないこと。現に「自分の“女らしい”と思うところは?」と聞くと、「ない。普通の男より男」と返事が返ってきた。

自分が女らしいと思うところはない。けど、やっぱりみんなからは、仕草、歩き方、姿勢とか、喋り方とかは言われますね。それはもう自分でね、意識してやってることじゃないから、正直わかんない。客観視したらそうらしい。

綺麗になりたい

既存の社会の中で“男らしい”とされることや“女らしい”とされることを今回の特集では軸に考えてきたが、時男の場合はそもそもそれらに対する意識が世間と少し違う。

メイクをしたり、レディースの服を楽しむことが、彼の中で、彼の“男らしさ”と衝突することはない。単純に美を追求した結果、たまたまそこにたどり着いただけだった。

常に意識してるのは、綺麗でありたいってこと。男の人だと多分「綺麗になりたい」って人が少ないのかな。まあ、別にそれは全然悪いことじゃないんですけど、僕は意識してる。そしたら勝手にこうなっちゃったっていう。

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もともと「綺麗になりたい」という思いも「女の子にモテたい」というところから始まったと話す彼。今の自身について「モテたいって思ってるけど、多分モテない、これだと(笑)」と話していたが、学生の頃から付き合っていた過去の彼女は、“女らしい”彼が好みではなく、その彼女のために自分を変えようとしたときもあったという。

「さすがに女の子っぽすぎる」「さすがに無理」って当時の彼女に言われたんですよ。彼女ことめちゃくちゃ好きだったから、髪をバッサリ切って、マツエクも全部外して、ネイルも外して。でも結局別れちゃって。でもそのときに僕思ったんですけど、やっぱり、自分がなりたい姿でいないと自信を持てないし、そりゃ彼女のこと愛してたけど、自分を変えるのは絶対違うなって。

時男がこの時強調していたのは、これはあくまでも好みの問題で、「“男らしい見た目の男の子”が好きな女の子が無理に理解しようとする必要は全くない」ということ。ただ、自分が好きではないからといって相手の存在を否定する人がいたとしたらそれはよくない、という話にもなった。

「そういうのもあるんだ」ぐらいのスタンスでいいと思う。こういうのって「違う、違わない」の話じゃない。「やりたい、やりたくない」の話だと思うから。

人を傷つけない限りやりたいことはやっていい

「人を傷つけない限りやりたいことはやっていい」。彼は取材の中で繰り返しそう言っていた。時男の場合はたまたま彼のやりたいことが「外面的な美」に表現されているが、「自分の好きなことを自由にやる」ということに関しては、全てに同じことが言えるとも話していた。

僕の場合ファッションだったってのはたまたまですね。見た目もそうですけど、スキルとかも、「自分にしかできない」とか「これなら自信あるな」とか絶対自分でわかってあげるべき。じゃないと自分を好きになれない。

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今回の取材を通して、“男らしさ”や“女らしさ”とはなんなのかを改めて考えさせられた。社会の中で一般的な定義はあったとしても、それらは個人の認識によって多種多様である。

vol.1で取材したRyoのように、それらを明確に意識して両立している人もいれば、時男のようにその境界線が一般的な定義と違う人もいる。“男らしさ”や“女らしさ”は、社会的に構築されたものでしかなく、そもそもそういった概念から自由になるべき、という人もいるかもしれない。

世の中には、性別を理由にいわゆる“男らしさ”や“女らしさ”を期待され、窮屈な思いをしている人も少なくないであろう。まず個人が「世間の普通」に流されずに自分にとっての“男らしさ”や“女らしさ”考えてみることから始めるべきなのかもしれない。そしてそれがなんにせよ自分で見つけ出したその答えを尊重すると同時に、他者に押し付けないように心がけるのも忘れてはいけない。

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