Google創業者が「アイデアに価値はない」と言い切るワケ

2016.8.29

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Googleの創業者のラリー・ペイジは言う。

「アイデアに価値はない」。

これは、世の中を変えるポテンシャルのある人全てが感じていることだった。

「些細なきっかけ」は「貴重なきっかけ」

海に大量に捨てられているペットボトルなどのプラスチックのゴミ。プラスチックは自然へと分解できないため、環境を傷つけるとてもやっかいなものなのだ。このゴミ問題をなんとかしなくてはと立ち上がったのは、オランダの高校生ボイヤン・スラット。

彼が考え出したシステムは、海に巨大な「浮き」を設置し、プラスチックゴミをかき集めるというものである。メンテナンス費用は、回収したゴミをリサイクルに回すことによって賄うことが可能。コスト面の心配もない。

また、その浮きにはもちろんエンジンなども備えられていないため、生態系を傷つけることもないのだ。大変シンプルなつくりだが、これによって年間725万トンものゴミを回収できるという。

今、多くの企業を巻き込んで行われているこのプロジェクトであるが、ボイヤンがこの問題に取り組もうと思ったのはとても些細な出来事がきっかけである。

ある日、彼は旅行でギリシャを訪れていた。ギリシャといえば青々とした澄んだ海が象徴的なのだが、そこで彼が目にしたものは、魚の数よりも多いプラスチックのゴミであったという。彼は元々自然や科学に興味があったわけではないが、この状況にショックを受け、疑問を持った。

どうやったらこのゴミの回収ができるか。すぐに実験に取りかかったそうだ。

すぐに行動できないことは「無意味」

日本にも、思い立って即行動に移した異端児がいる。『NejiLaw』という会社の社長、道脇裕(みちわき ひろし)がその人だ。

現在37歳の道脇氏は米航空宇宙規格の試験にも合格した、「緩まないネジ」を開発した人物である。これを聞くと道脇氏は英才教育を受けたサラブレッドではないかと想像できるが、実はその真逆。

彼は子どもの頃から勉強は大嫌い。10歳にして学校の無意味さを感じ、自主的に退学した。そこからというもの中学、高校にはほとんど行かず、今に至るという。しかし、彼は研究が好きであった。何かを生み出すことが大好きで、学校に行かずに来る日も来る日も研究に没頭していたという。当時を振り返り、彼はこう語る。

「日本の教育システムに疑問を感じたので自分の足で歩む決断をした」。

ひらめきが生まれた瞬間に、学校があるせいで研究に取り掛かれないのを無駄に感じたそうだ。

「アイデア」には全く「価値がなかった」

思い立ったらすぐ行動し、それを成功へと導いている彼らたち。Googleの創業者であるラリー・ペイジがそんな彼らを象徴するかのようなスピーチを母校である「ミシガン大学」の卒業式で行った。多くの学生が次のステップに進む、まさに晴れの舞台。そこでラリーは彼ら一人ひとりの目を見ながらこう伝えた。

「素晴らしいことを思い付いたらすぐに行動すること。アイデアに価値はなにもない。実行することが大事だ」。
「ものすごく大きく、バカみたいな夢を見ることは成功のキーワード。夢は非現実的であればあるほど素晴らしい」。

ラリー自身も、突然夜中に、のちに「Google」となる膨大な検索エンジンができたらいいなと思いついたという。そして、そのアイデアをすぐに教授に話し、そこから膨大な時間をその制作に費やした。そうして「Google」が完成したのだ。これから成功に向けて旅立っていく彼らに向けてラリーが語ったことは卒業生の心に響いたに違いない。

「普通」と「天才」の小さな差

多くの人は自分なりの考えがあっても、発言できずにいたり一歩を踏み出せずにいたりしてしまうだろう。もしかしたらそのアイデアは世界を変えるほどのアイデアかもしれないのに、動き出さなければ何の意味もなさない。「考える」だけではなにもやっていないことと同じなのだ。何かを成し遂げる人は皆、思い立ったら先のことを考えることなく行動している。それが成功しようとも失敗しようとも、まずは「アイデア」を実行してみることが大事なのだ。

多くの発明者が高学歴を持っているわけではない。むしろ、学歴が通用するのはほんのわずかな部分だけで、それ以上にひらめきをすぐに行動に移せる人のほうが強いようだ。「普通」の人が「天才」になるかどうかはこの「アイデア」を実行できるかどうかにかかっているのかもしれない。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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