メディアが伝えない、世界一豊かな大陸、アフリカ

2017.1.10

Share
Tweet

アフリカというと、何を想像するだろうか。ニュースや新聞などのメディアを見ると、内戦、犯罪、疫病、貧困などのネガティブなイメージが、どうしてもいつも付きまとう。

しかしそれは本当であろうか。もう一度真の豊かさを考えた時、私たちはアフリカが世界で一番豊かな大陸だということに気が付くだろう。

width="100%"
Photo by バンベニ桃

植民地支配された悲しい歴史

まずアフリカを語る時に、決して避けては通れないのは、欧米人の植民地支配の歴史だ。15世紀から17世紀にかけての大航海時代をきっかけに、アフリカ大陸をイギリスやフランス、ポルトガル、ドイツ、ベルギーなどが挙って植民地にした。

欧米人の狙いはその豊富な資源と気候のいい土地であった。そして先住民を劣等な民族と見なし、巧みな戦術で奴隷化していったのである。それはアフリカだけに留まらず、アメリカ大陸、アジア諸国、オセアニア諸国と世界中に広がっていき、世界中が欧米人のために存在するという哲学が当たり前のように通ってきた時代があったのである。植民地撤退後も、その哲学は色濃く残り、現在でも第三世界と呼ばれる国は、先進国と呼ばれる国に安値で資源を搾取され、貧しいというレッテルを貼られているのは目を反らせない事実であるだろう。

真の豊かさとは何か。

width="100%"
Photo by バンベニ桃

では、アフリカは本当に貧しい大陸なのであろうか。そもそも私たちが「豊か」だとか「貧しい」だとか言う基準はどこにあるのだろうか。豊かさを測るのに使われるGDP(国内総生産)。ではこの数値が高ければ豊かな国なのだろうか。そうであれば、それは「豊かさとは経済次第である」と公言しているわけである。先進国は豊かで、第三世界は貧しいという、なんとも単純で不可思議な方程式がまかり通っているのだ。

当然であるが、この地球にはたくさんの民族が多様な文化を持ち暮らしている。その暮らしに優劣は付けられない。アフリカ中部に位置するカメルーンという国。筆者は2007年、この国の奥地の村を旅したことがある。電気も水道もない、売店もない村々。そこに住むアフリカ人はその土地で採れる土と木で家を作り、狩りをし、野菜を育てたり、山菜を収穫したりして生活していた。学校にいかない子供もいた。

アフリカの教育は植民地時代の欧米式であるために、民族衣装では学校へ通えない。子供たちは民族衣装を脱ぎ、民族的に意味のある装飾を外し学校へ行く。当然であるが彼らがその後、民族衣装に戻ることはないし、装飾品を日常的につけることもなくなる。

その村を暮らし見て、多くの人は援助が必要だと言うであろう。学校が必要だ。水道が必要だ。電気が必要だ。病院が必要だ。トイレが必要だ。そしてその後、ボランティアがその地を訪れ、それまでの長い歴史の中で作られてきた、先住民の生活を変えてゆくのだ。

世界一豊かな大陸、アフリカ。

width="100%"
Photo by バンベニ桃

さてこのカメルーンの村人たちの暮らし。実は彼らは驚くほどにとても豊かな暮らしを営んでいる。その土地には豊富な食べ物があり、季節ごとに彼らのお腹を満たす。子供は小さいころから、狩りの仕方や、薬草の見分け方、哲学などの知恵、自分より小さい子供の世話などを学ぶ。家を建てるのも、その土地から採れる資源で、同じ村に住む村人の助けを借りながら建てる。当然ローンなどはない。他の人が家を建てる時に、自分も助けに行くだけだ。

彼らは大自然の中で上手に自然と循環しながらも、慎ましくも、満たされた生活を送っているのだ。その暮らしを誰が貧しいと言えるのだろう。彼らの社会には、このグローバル化がもたらした環境問題や、経済問題や、雇用問題や、少子化問題などを始めとする社会問題はないのだ。その暮らしは私たちの暮らしとは全く違う。それは彼らの社会形式が私たちのそれとは違うだけで、彼らの生活が劣っているということでは決してないのだ。学校に行かなくても生きていける人たちがいるということ。お金をほとんど使わずに生きている人たちがいること。自給自足の生活をしている人たちがいるということ。病院がなくても伝統的な薬草で十分癒されている人たちがいること。

そんな生活を貧しいと決めつけてしまっては、この地球から多様な民族の暮らしは今まで以上に消えて行き、今まで以上に貧しい人たちが増えるだろう。本当の貧しさとは、それまでの暮らしの価値観や哲学や誇りを捨て、持ってない物を求めて彷徨うことにあるのではないだろうか。アフリカを貧しくしている一番大きな理由は、植民地支配が持ち込んだこの社会の仕組みにあり、その仕組みはアフリカを貧しいままにし、資源をこれまで通りに搾取するという目的がある。皮肉なことにアフリカは世界一豊かな資源を持つために、その搾取の対象とされてしまったのだ。

今日もたくさんの資源がアフリカから採掘され世界中に渡っている。それを掘っているのはアフリカ人で、その多くを所有しているのは欧米人ということに、今も変わりはない。

アフリカの豊かさから日本が学ぶこと

width="100%"
Photo by Rita Willaert

アフリカは世界一豊かな大陸だ。もちろんそれは資源だけの問題ではない。それは人々の暮らしのあり方である。人間のルーツとも呼ばれるアフリカは、その言葉に似つかわしく、人間らしい暮らしをしている。知恵ある年寄りを尊敬し、子供は子供同士で社会を作り、年上が年下の世話をしながら、大自然の中で育つ。その姿は生命力で溢れ、力強く逞しい。

そしてまだまだ多様な民族がその土地と循環した伝統的な暮らしをしている。アフリカの暮らしを見て、日本の暮らしを振り返る。そういえば、私たちにももっと地球と循環できていた暮らしがあったのだ。日本人が日本人らしく暮らしていた頃。

いつの日からかその暮らしを断ち、便利、便利だと言いながら遥か遠くまで来てしまった。気がつけば環境汚染は拍車をかけ、少子化は深刻で、多くの食べ物には農薬や添加物が使われた不自然な物になってしまった。アフリカの豊かさは経済的なそれとは違い、シンプルで、根っこがある。そしてその姿は日本人が忘れかけていた、何か大切なものを思い出させてくれるのだ

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

Share
Tweet
★ここを分記する

series

Creative Village