アパレル企業が「ゴミ野菜」に手を出した。フードロスを減らす、“着る野菜”とは|GOOD GOODS CATALOG #020

Text: Ayane Kumagai

Photography: ©FOODTEXTILE

2017.12.19

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食料廃棄は、私たち人類が抱える大きな社会問題だ。大きすぎて、少し距離を感じてしまうかもしれない。だがそれを社会問題と捉えず、新しい製品が生まれるチャンスと捉えたら、どんな世界が広がるのだろう。身近で、かっこよく食料廃棄を減らしているFOODTEXTILE(フードテキスタイル)の取り組みを取り上げたい。

あなたは、買い物するときどんな基準で商品を選んでいるだろうか。もしあなたの気に入っている商品を販売する企業が、不正を働いたり環境に悪影響を及ぼす事業に資金提供したりしていたらどうするだろう。

企業や商品作りにおける考え方に賛同できない場合、その企業やブランドの商品を「ボイコット(不買運動)」するという方法がある。これは買い物が「投票」に例えられるように、消費者の力で信頼や賛同のできない企業の商品にお金を出すのをやめ(票を入れるのをやめ)、企業の経営を成り立たなくさせ社会をより良くする(より良い企業に投票する)というもの。

そこであなたがボイコットしたいとき、またはボイコットとは関係なく単純に人や環境に良い商品が欲しいときに、参考となる商品カタログをBe inspired!が作成することを決意。その名も「GOOD GOODS CATALOG(グッド グッズ カタログ)」。

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日本で問題視される食料廃棄の問題

農林水産省によると、日本では年間約1,700万トンの食品廃棄物を排出しており(参照元:農林水産省)、これはお茶碗一杯150gに換算すると、年間約1億杯ほどに当たる。そのなかでもまだ食べられる食物は「食品ロス」と呼ばれ、全体の廃棄のうち年間約500~800万トンだと言われているが、これは世界全体の食料援助量の約2倍だ。また、それ以外の家庭からの廃棄やスーパーマーケットなどでの賞味期限切れの食物が捨てられることも多く、レストラン、スーパーマーケット、食品加工会社、家庭等それぞれの立場からできることを考える必要がある。

食料廃棄問題に立ち向かったアパレル

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今回紹介する食料廃棄に対する新しい取り組みは、廃棄される食物を「染料」の原料と捉えて洋服の色付けをするというものだ。

古来から日本には、「草木染」という天然の植物を染料とする染色技法がある。FOODTEXTILEではその草木染の原料に、廃棄される食物を使用しているのだ。

さらに、様々な大手食品メーカーと組み、インパクトを大きなものにしている。例えば、カフェチェーンTully’sのコーヒー豆を使用し「茶色」、飲料メーカーKAGOMEのトマトを使用した「赤」、調味料を製造するキューピーの紫キャベツやレタスなどを使用し「紫」や「黄緑」の色をつくり出している。

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キャベツを使用したグリーンのエプロン

フードロスの、アパレル業界への広がり

FOODTEXTILEによって染色された洋服は、現在様々な店やイベントで取り扱われている。メゾンキツネ、URBAN RESEARCH DOORS、ABCクッキングスタジオ、三越伊勢丹 ✖︎SkinAware、音楽フェスKNOCKING ON THE DOORS TINY GARDEN FESTIVALなどだ。

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コーヒーで染色したメゾンキツネのエコバック

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URBAN RESEARCH DOORS OYASAI BAG

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三越伊勢丹 ✖︎SkinAware 「グローバルクリーンキャンペーン」

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ABCクッキングスタジオ エコバッグ

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音楽フェスKNOCKING ON THE DOORS TINY GARDEN FESTIVAL Tシャツ、バッグ、バンダナ

世界に溢れる大きな社会問題は、個人の切り取り方次第

これまで「食料廃棄」というと、食品業界だけが取り組むべき課題として認識されていたかもしれない。しかし、自分が「着れるもの」が食料廃棄を減らしていると知ったらどうだろう。身近なことのようには感じないだろうか。地球に住む私たちが地球人として今必要なのは、どんな問題にも「他人の畑」と突き放すのではなく、自分ごととして捉え、広げていくことなのではないだろうか。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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