「書体は文脈なしには存在しない」。NEUTロゴの生みの親、ノエル・ロイに聞く<タイポグラフィの世界>

Text: Noemi Minami

2018.10.1

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2018年10月1日にリニューアルを迎え、『NEUT』として生まれ変わった『Be inspired!』。創刊ローンチにあたりロゴを作ってくれたのは、世界的に活躍するスイスのデザイナー、Noël Leu(ノエル・ロイ)。

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Eはイモリの尻尾をイメージしてもらいました!
©Grilli Type

ノエルが専門としているのが、“書体をデザインする”ことを指す、タイポグラフィ。書体を使ったデザインなら日常的に目にするが、書体自体をデザインするとはどういうことだろうか。

ノエルが創設した、書体のデザインを専門とする企業「Grilli Type」(グリリ・タイプ)のクライアントはGoogleやYoutubeなどの大手企業から、大学などの教育機関、欧米の人気ミュージックウェブマガジン「Pitchfork」や韓国のファッション雑誌などのカルチャー方面もと幅広い。

今回NEUTは現在ニューヨークに滞在中のノエルに、あまり知られていない、書体をデザインする「タイポグラフィ」についてEメールで話を聞いた。

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ノエル・ロイ氏

ーまずはノエル自身について少し教えてください。

僕の名前はノエル・ロイです。スイス出身のグラフィックデザイナーです。活字からロゴデザインまで、書体をデザインし販売しているGrilli Type(グリリ・タイプ)を同じくデザイナーのThierry Blancpain(ティエリー・ブランパン)と共に創設しました。グローバルなクライアントを相手に世界中を飛び回って仕事をしています。

ーNEUTのロゴの制作本当にありがとうございました。NEUTの自慢です。ノエルは文字をデザインする「タイポグラフィ」を専門とするタイポグラファーとして仕事をしているけれど、あまり知られていない仕事だと思うので、タイポグラファーとは何か教えてください。

タイポグラファーは、書体のデザインを専門とするデザイナーのことです。書体のデザインといっても、習字や看板書きまでいろいろあります。書体という領域のなかでは、タイポグラファーは職人やアーティストというよりは、デザイナーの要素が強いかな。

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GT Sectra typeface, design by Marc Kappeler, Dominik Huber, Noël Leu
©Grilli Type

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Reportagen magazine, design by Moiré
©Grilli Type

ーオンラインで、ロシアのメディアや建築、デザインを専門とするストレルカ学院でのノエルの講義を見ました。そこで「書体は文脈なしには存在しない」と言っていたのがとても興味深かったのですが、どういうことか簡単に説明をお願いします。

タイポグラフィはどんな文脈にあるかによって判断されるものです。書体はメッセンジャーであり、文脈に影響を与えると同時に、影響を受けている。書体の性格がメッセージに影響するんです。たとえば、もし真剣なメッセージを送りたかったら、堅い書体を使うことでメッセージに重みを持たせるができる。逆に、陽気な書体を使えば、真剣すぎないメッセージを伝えることができます。

ータイポグラフィの世界にはどうやって入ったのですか?

もともとは美大でのグラフィックデザイナーとしての勉強の一部でした。タイポグラフィをグラフィックデザインのツールとして理解することはとても大切なことでした。それで、僕には自分で作るのが、理解するのに一番の近道だと思ったんです。そしたら、とても奥深くて、今では僕の日常生活の視点をもかたどっています。

ーノエルは仕事で世界中を回っているようだけれど、普段はどんな仕事をしているのですか?

ほとんどはグリリ・タイプの仕事です。実際は管理やマネージメントの仕事も多い。あとは、フランスのアクセサリーブランドのアニメーションを作ったり、メキシコのコスメのブランドのパッケージデザインをしたり、旅の写真を撮ったりしています。

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Poster design by Otto Baumberger.1889-1961
©Grilli Type

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Poster design by Otto Baumberger.1889-1961
©Grilli Type

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Poster design by Otto Baumberger.1889-1961
©Grilli Type

ー仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか?

自分のデザインが世界中のクリエイティブシーンの一部となっていることにはとてもやりがいを感じます。たった今はニューヨークで仕事をしているのですが、ポスターや広告など自分のデザインを街中で見ない日はありません。

ー今後の展望は?

グリリ・タイプの仕事と自分のクリエイティビティの幅をもっと広めていきたいですね。アニメーションのディレクションとイラストレーションにもとても興味があるし、自分のビジネス面でも新しい戦略を生み出していきたいです。

Noël Leu(ノエル・ロイ)

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