「一緒にいること」そのものが癒やし。FUJI ROCK FESTIVAL ’26で存在感を放った韓国の3人組バンド・Bongjeinganが信じる“自分たちの音”

Photography: Yejin Cho unless otherwise stated.

Text: Kaya Mitsuhashi
Edit: Jun Hirayama

2026.9.2

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2024年に続き、2026年も「FUJI ROCK FESTIVAL」に出演した韓国・ソウル発のオルタナティブ・ロック・バンド、Bongjeingan。チ・ユネ(ヴォーカル/ベース)、HYUKOHのメンバーでもあるイム・ヒョンジェ(ギター)、チョン・イルジュン(ドラム)の3人によって結成された彼らは、それぞれ異なるバンドで活動してきた経験を持ちながら、Bongjeinganでは既存のジャンルや枠組みにとらわれない音楽を追求している。

変則的なリズムや複雑な展開のなかに、どこか懐かしさや温かさを感じさせる彼らの音楽。その背景にあるのは、「お互いを癒すために始めた」という3人の関係性と、その場で生まれる音に耳を澄ませながら曲を形にしていく独自の制作方法だ。

本インタビューでは「FUJI ROCK FESTIVAL」 のステージを振り返りながら、日本とのつながりやBongjeinganの音楽、3人の関係性について話を聞いた。

width=“100%左からイム・ヒョンジェ、チ・ユネ、チョン・イルジュン

次はもっと大きなステージへ。2度のFUJI ROCK出演で見えた景色

NEUT:「FUJI ROCK FESTIVAL ’26」への出演、お疲れ様でした。2024年以来、2度目の出演となりましたが、今回のステージはいかがでしたか? また、前回の出演と比べて印象の変化や、新たに感じたことがあれば教えてください。
チョン・イルジュン(以下イルジュン):前回よりも大きなステージで、たくさんの人の前で演奏できて嬉しかったです!次はもっと大きなステージに立ってみたいと思いました。

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NEUT:「FUJI ROCK FESTIVAL」はもちろん、これまでに何度か日本を訪れていますが、日本の文化や音楽、人との出会いなどを通して影響を受けたことはありますか?

イム・ヒョンジェ(以下ヒョンジェ):具体的な芸術という意味では、日本の文化や音楽から大小さまざまな影響を受けた部分があると思います。
それ以上に、人と人との関係において、相手に負担を感じさせない距離感について、日本の人たちはすごく考えながら過ごしているんだな、と感じたことが印象に残っています。そこが面白かったです。

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NEUT:『BABY』のミュージックビデオは、日本の居酒屋で撮影されたのでしょうか? 生活感とレトロな雰囲気が印象的でしたが、あの場所を選んだ理由と、ミュージックビデオを通して表現したかったことについて教えてください。

チ・ユネ(以下ユネ):実は、あの場所は日本ではなく、ソウルにある「지유켄(ジユケン)」という居酒屋なんです。Bongjeinganの映像作品のほとんどを手がけている「모래내거동수상자들(モレネゴドン・スサンジャドゥル)」という映像チームがいるのですが、アルバム制作当時、「12曲すべてのミュージックビデオを作ってみよう」という話になり、彼らが快く引き受けてくれました。

「BABY」に関しては、出演する俳優のキャスティングからロケーションの手配まで、すべて彼らがやってくれました。完成した映像を見て、とても嬉しく思ったのを覚えています。

1stフルアルバム『12 Languages』収録曲『BABY』ミュージックビデオ

楽譜も計画もない。日々の変化と即興から生まれる「Bongjeinganらしさ」

NEUT:日本では、今回の「FUJI ROCK」をきっかけにBongjeinganを知った方も多いと思います。日本の読者に向けて、まずはメンバーそれぞれ自己紹介をお願いします。あわせて、自分以外のメンバーを一言で紹介するとしたら、どんな人ですか?
ヒョンジェ:こんにちは、イム・ヒョンジェです! 目が澄んでいるユネを紹介します。

ユネ:こんにちは、チ・ユネです。イルジュンは「温かい石ころ」。オンドルの床みたいな感じです。

イルジュン:こんにちは、チョン・イルジュンです。ヒョンジェは、これまで自分が考えてこなかったことに気づかせてくれた友人です。人生にはたくさんの先生がいるけれど、そのうちの一人、といったところでしょうか。

width=“100%左からチ・ユネ、イム・ヒョンジェ、チョン・イルジュン

NEUT:過去のインタビューで、Bongjeinganというプロジェクトは「お互いを癒すために始めた」と話されていました。その「癒し」とは、音楽的な意味、あるいは人間関係において、どのような意味を持っているのでしょうか? また、それは現在の活動にどのようにつながっていますか?

イルジュン:これまでも友人として付き合っていましたが、一緒に演奏したことはありませんでした。コロナで大変だった時期に、たまたま一緒に集まっていろいろな話をしたり、演奏したりして遊んでいるうちに、なんとなくお互いに癒されているような感覚がありました。

今振り返ってみると、音楽的においても、人間関係においても、「一緒にいること」そのものが癒しなのではないかと思います。これからも、そういう関係でいられたらと思います。

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NEUT:Bongjeinganは「誰か一人が曲を書いて、それを編曲する」という方法ではなく、その場で生まれたフレーズを起点に曲を作っていくと伺いました。こうした制作方法だからこそ生まれる「Bongjeinganらしさ」や、3人が大切にしている感覚について教えてください。

ヒョンジェ:ずっと一緒に音を出していると、あるパターンが聞こえたり、見えてきたりします。でも、そのパターンの形は、メンバーそれぞれが最近聴いている音楽の変化や、日常の変化によって、その時々で変わっていくものだと思います。

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NEUT:意見が分かれたときは、どのように一つの曲へと形をまとめていくのでしょうか?

ヒョンジェ:メンバーそれぞれの変化をきちんと察知しようとしたり、ほかの人の演奏に敏感に反応しようとしたり。そういう、少し能動的な気持ちを持って演奏していると、ある瞬間に気持ちが一つに集まるような、心地よい瞬間が訪れます。その瞬間が、とても大切です。

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NEUT:Bongjeinganの音楽には、複雑なリズム予測できない展開がありながらも、どこか懐かしさや温かさを感じます。みなさん自身は、自分たちの音楽を特定の感情や風景と結びつけて捉えていますか?

ユネ:あまり、感情や風景と結びつけて捉えてはいないと思います。考えてみると、音楽を演奏している瞬間は、お互いが出している音に集中しながら、同時にお互いの感情を感じ取っているという感覚に近いですね。

1stフルアルバム『12 Languages』CD限定のシークレットトラック『발소리(足音)』

3人の音を信じ、やりたいことをやる。Bongjeinganが描く未来

NEUT:Bongjeinganとして、これからどのようなプロジェクトになっていきたいと考えていますか? 3人が描いている未来について教えてください。

ヒョンジェ:これからも3人で出したい音を、自信を持って出し続けられたらいいなと思います!

ユネ:「やりたいことをやる」という、シンプルだけど一番大切な指針を見失わずにいたいです。その中で自分たちが楽しめるのであれば、何をやっても「Bongjeinganらしく」いられるんじゃないかと思います。

イルジュン:これからも一緒に、本当に良い音楽を作っていきたいです。

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NEUT:最後に、日本のファンのみなさんへメッセージをお願いします。

ユネ:2024年と今年、「FUJI ROCK FESTIVAL」やクラブでの公演を通して、日本のみなさんに会いに来ました。これからも時々、日本でお会いできたら嬉しいです。次に日本で公演するときには、僕たちも新しいアルバムを携えて来られるようにしたいと思います。

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봉제인간(Bongjeingan/ボンジェインガン)

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チ・ユネ(ヴォーカル/ベース)、イム・ヒョンジェ(ギター)、チョン・イルジュン(ドラム)からなるオルタナティブ・ロック・バンド。
2022年初頭にソウルで結成。音源デビュー前から韓国を代表する夏フェス「仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル」に出演し、注目を集める。同年12月に初のデジタル・シングル『GAEKKUM / GOOD』をリリースし、2023年10月には12曲を収録した1stフルアルバム『12 Languages』を発表した。
「音楽でお互いを癒すこと」をきっかけに活動を始めた彼らは、特定のジャンルに自らを当てはめることなく、既存の境界線にとらわれない自由な音楽を生み出している。HYUKOHParasolSultan Of The DiscoKiha & The Facesなど、それぞれがこれまで所属してきたバンドとは異なる、Bongjeinganという3人だからこその表現を追求。これまで見せてこなかった新たな一面を覗かせながら、自由にその音楽性を広げている。

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