偏見やテロを、「ハッシュタグ」でシニカルに非難する人々 #YouAintNoMuslimBruv |「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会 #002

Text: NEUT編集部

Artwork: madoka

2016.9.24

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皆さん、こんにちは!今日は前回とはずいぶん毛色の違うハッシュタグ・アクティビズムを紹介しますよ。

アメリカのニュージャージー州やニューヨーク州で手製の爆弾を仕掛けて爆発させた容疑者が捕まりましたね。彼はアフガニスタン出身の米国人で、パキスタンとアフガニスタンへの渡航歴があると報道されています。こういったことがあると、テロとの関連がないか、とニュースがすぐさま騒ぐと思いませんか?これが続いていくと、どうなってしまうのでしょう?

イスラム過激派組織ISISが起こしたテロ事件が世界で相次いでいます。この組織は、「イスラム教」の名目で残虐行為を繰り返しているのです。彼らの犯行が大々的に報道されていて目立ちますが、「イスラム教徒の容疑者が捕まりました。ISISと関連はあるでしょうか〜?」という報道が多いと、聞いている人がイスラム教を信仰する人や中東に多い顔立ちの人をみんな“テロリスト”だと思い込むようになってしまうような気がしませんか?

#YouAintNoMuslimBruvというハッシュタグ・アクティビズムがあります。

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これのもととなったのは、昨年12月にロンドン北東部の地下鉄で起きた刺傷テロ事件の現場に居合わせた通行人が発した言葉です。文字通りに読むと「お前はムスリム(イスラム教徒)だ」という意味になってしまいますが、これは労働者階級特有の言葉使いで、否定する言葉を2度使うことで“否定”を意味しています。

例えば、日本語なら“お前はムスリムじゃなくない?”のようなイメージ。つまり、「お前なんてムスリムじゃない」という意味です!階級の低い人の言葉使いを用いたこのハッシュタグは、多かれ少なかれ皮肉の意味も込められているのでしょう。(参照元:The Guardian, BBCニュース, CNN.com)実際の映像は以下のツイートで見られます。

イスラム教を代表しているかのように装っているISISに向かって、それは本来のイスラム教徒とは違うと言っているこのツイート。「イスラム教徒はテロを起こす人々ではない」ということを、人々に改めて伝えたということで意味があったのです。そして、イスラム教徒といえば中東に多い顔立ちの人々を思い浮かべるかもしれませんが、イスラム教徒がみんな中東にルーツがある人ではないし、中東にルーツがある人々がみんなイスラム教徒ではありません!

多様な人種や宗教の人々が暮らすことで知られるイギリスのロンドン。そんな都市で拡散された偏見によるヘイトやテロのどちらも許さない姿勢を見せ、嘲笑しているこのツイート。こんなに的確に人々の思いを代弁した言葉はないと評価され、すごく「ロンドンらしい」と言われてツイッターではこのハッシュタグのツイートが多くつぶやかれました。

無罪の人々を襲撃するの?君は不名誉だし、イスラムは君を認めないよ。 #YouAintNoMuslimBruv

#YouAintNoMuslimBruvー言葉の力。一文だけで過激派を追いやり、他の皆を団結できる。これが私たちの今の姿勢だ。素晴らしい。

#YouAintNoMuslimBruv このハッシュタグは、私がロンドンが好きな理由の一つだ。

さらには、キャメロン首相もスピーチで引用し賞賛しています!気になる方は下の動画をご覧ください。

※動画が見られない方はこちら

皆さんは、「アフガニスタン系の男が起こした事件にテロとの関係性がないか調査しています〜」「イスラム教徒の容疑者が捕まりました。ISISと関連はあるでしょうか〜?」というような報道を見たとしても、このハッシュタグ・アクティビズム#YouAintNoMuslimBruvを思い出して偏見の目を持たないようにしてくださいね!ISISの犯行は目に付きますが、多くの人はそのような組織には関連していません。

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それでは、次回の連載をお楽しみに!

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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