ニャんてこった。猫の手を借りて「平等な社会」を勝ち取るアーティスト

2017.6.2

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「猫は英語で何と言いますか」と聞かれたら「cat」と答えるだろうか?「cat」以外にも、子猫を意味する「kitten」、猫科の動物を意味する「feline」、猫ちゃんというようなニュアンスの「pussy」など「猫を表す言葉」はたくさんあるのだ。

Photo by HOMOCATS

これらの言葉に共通するのは、“女性的”なイメージで、例えば人気キャラクターのハローキティから連想できるように「kitten」は彼女やおてんばな女の子を意味し、「pussy」は若い女性の意味だけでなく、女性器や“弱々しい男性”のスラングとして使われている。

このように下品な意味も持つ猫だが、飼い主に散歩へ連れて行ってもらうのではなく、自分で自由気ままに動き回る姿に惹かれる人は多いのではないだろうか?ニューヨークで活動するビジュアルアーティストのJ.Morrison(J.モリソン)もその1人だ。

Photo by HOMOCATS

スクリーンプリント「Free Butt Sex!(アナルセックスに自由を!)」
Image by HOMOCATS

HOMOCATS」(ホモキャッツ)は、ニューヨークのブルックリンを拠点に活動するアーティストのJ.モリソンのビジュアルアートプロジェクト。同プロジェクトはホモフォビア*1等のあらゆるフォビア(嫌悪)と闘って平等を求め、社会の規範やステレオタイプに挑戦する目的を持つが、なぜ「猫のモチーフ」を多用しているのか理由を尋ねてみた。

彼は猫の独立性、頭の良さ、ユニークな感性が大好きで、一般的に“女性的”だとされている猫と、ゲイの男性が“女性的”であるというステレオタイプの類似性を組み合わせたら面白いと考えたのだという。そして、彼にとってHOMOCATSは「現代アメリカの抱える難問」を表したものなのだそうだ。

(*1)同性愛者などセクシュアルマイノリティに対する嫌悪

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スクリーンプリント「We are tired of homophobia(もうホモフォビアはたくさん)」
Image by HOMOCATS

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ZINE「Modern Problems(現代の問題)」
Image by HOMOCATS

彼がアートプロジェクトを通じて実現したいのは、自分の「社会や政治に対するコメントを発信する猫のミーム*1を作ることで、今までもそんな内容のZINEやスクリーンプリントの作品を発表している。

最近ではジョン・レノンとオノ・ヨーコのベトナム戦争への反戦歌『Happy Christmas』の歌詞「WAR IS OVER (IF YOU WANT IT)」(戦争は終わった、あなたが望むなら)を文字った「TRUMP IS OVER (IF YOU WANT IT)」(トランプ政権は終わった、あなたが望むなら)のデザインで、多様性に寛容でないトランプ大統領政権に反対するメッセージを発信している。同デザインのTシャツを着て、反トランプデモに参加する人々もいるようだ。

(*1)人から人へ広がっていく情報や行動、コンセプト、メディアのこと

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アーティストJ.Morrison本人

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世の中には理不尽なことが多く存在する。例えば、どうしてゲイの男性は、ゲイであることで差別を受けるなど異性愛者の男性と同じ権利が享受できないのだろうか。そんな問題を解決するため、現在まで多くの人が活動してきている。

そのなかでも、J.Morrisonの作品は目を引くデザインで視覚に強く訴えてくるのが特徴だ。彼のメッセージが込められているTシャツを着たりバッグを持ったりするだけでも、自分がどんな考えなのか、何を問題だと感じているのかまわりの人に発信することができる。このようにアートには、堅苦しくない「ソフトパワー」として社会を動かす力があるかもしれない。

HOMOCATS

WebsiteInstagram

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Image by HOMOCATS

J. MORRISON

Website

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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