ニューヨークという街を歩いているとありとあらゆるサイズや犬種の可愛い犬達に行く先々で出会える。街中にドッグランがあるし、ドッグウォーカーや託児所、訓練所などのサービスも充実していて、ペットOKのお店も難無く探せる。世界にはもっとドッグフレンドリーな都市が幾つも存在するだろうけど、少なくとも東京と比べると犬を飼いやすい街だと行く度につくづく感じている。犬を飼うというのは大きな責任を伴うことだけれど、一人暮らしの若者でも犬を飼っている人を普通に見るし、ここなら自分のライフスタイルを変えずとも無理なく犬を飼えそうだという希望が湧く。犬がいる生活が当たり前に近いのかもしれない。
Photography: jolie m-a
そんなニューヨークで、全ての犬と犬好きのためのポップアップイベントが開催されていることを知り、大の犬狂いであるフォトグラファー松藤美里（まつふじ みり）が見学して参りました！
全ての犬と犬好きのためのポップアップ、Human’s Best Friend！
ポップアップイベント「Human’s Best Friend」（ヒューマンズ・ベスト・フレンド）は、犬たちはおもちゃ天国、飼い主は可愛いインスタ映え写真が撮れて、更に保護犬の役にも立てる皆が楽しめる犬イベント。
会場に入ると7つのテーマに分かれた部屋があり、子ども用のボールプールみたいな要領で犬用のおもちゃプールがあったり、無料のおやつ等も用意されている中を犬達はリード無しで自由に遊び回れるようになっている。そして、そこら中にインスタ映えを狙って用意された撮影スポットがあり飼い主達も可愛い愛犬の写真を撮ることに熱中して楽しんでいる。もちろん犬を飼っていない人もウェルカムで犬と戯れることができる。一番人気の部屋は、里親募集中の保護犬と触れ合える部屋で成犬からまだヨチヨチ歩きの子犬達まで様々な犬が未来の家族を待っている。気に入った子がいれば保護団体を通して家族に迎え入れることも可能だ。
犬も人間も一緒に楽しめる夢のようなイベントだが、このイベントの大事な目的は動物保護団体をサポートすること。保護犬と触れ合える部屋は地元の保護団体と組んで運営されており週替わりで各団体が犬を連れてやってくる。更に、全ての収益の10％が各団体に行くようになっている。インスタ映えの空間がある理由はソーシャルメディアを利用して少しでも多くの人に保護犬の存在に目を向けてもらうこと。犬も人も楽しめて、しかも保護犬を助けるお手伝いができるのだ。
犬が与えてくれる多くの幸せに対して、少しでもお返しを
主催のBrian Tavor（ブライアン・テイヴァー）とJason Sherwood（ジェイソン・シャーウッド）は数々の賞を受賞する照明デザイナーで、2人とも大の犬好きであり「自分達の力を愛する犬のために利用できないか」と考えてこのイベントが誕生したと言う。
日本では殺処分されるペットが数多くいる中、まだまだペットショップでペットを買うことが主流で里親になるという選択肢は浸透していない。ペットショップで販売されている生き物達は劣悪な環境で繁殖／飼育されていることも珍しくなく、飼い主側も簡単に買えてしまう分簡単に放棄してしまうケースも多くある。ペットを迎えることを考える時、里親になるということはそうしたペットショップのシステムをサポートしないという選択であり、家を必要としている生き物を助ける行為です。
もちろんどこで出会ったかにかかわらず、全ての人が飼い主としての覚悟と責任をしっかり持って動物の命を預かるようになる事が重要ではある。それでも飼い主を失ってしまい保健所に行かざるをえなくなったペット達にセカンドチャンスが与えられるよう、余生を少しでも幸せに生きてもらえるように私たちに出来る事はいくらでもあるだろう。こういった活動が日本の少しでも多くの人に届いて欲しいと思う。
Human’s Best Friendを訪れた犬達はとても楽しそうで飼い主に「良かったね、沢山お友達ができたね」と言われながら幸せそうに帰って行く。きっとその夜は今日の事を思い出しながら暖かく安全な家で眠りにつくだろう。そんな幸せを全ての犬達が得られるように努めることが私たち人間、特に犬好きの人間の役割で、犬が与えてくれる多くの幸せに対して少しでもお返ししていかなければならないと改めて考えさせられました。
