ドルチェ &ガッバーナ(以下D&G)は、日本でも人気なイタリアのハイファッションブランド。そのデザイナーの一人ドメニコ・ドルチェ氏は、2015年に自身のインスタグラムで「母親と父親のもとに人間は生まれるべき。体外受精生まれてくる子どもは人工的だ」などと発言し、それに激怒したアメリカ人歌手のエルトン・ジョン氏(ゲイだと公言している)によってD&G商品のボイコットを呼びかけられた。
今回は、6月17日に開かれたミラノファッションウィークでのD&Gのファッションショーに出演したモデルがランウェイ中、大胆にボイコットを呼びかけたのだが、それはどういうことだろうか。
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多くのハイファッションブランドが、反移民政策を掲げたり女性を蔑む発言をしたりしているアメリカのトランプ大統領を信任しない立場を表明しているなか、D&Gは彼のメラニア夫人に衣装の提供をしており、市民から非難されていた。
だが、その非難を受けたD&Gがとった行動は、人々の予想を反した。なんと「#BoycottDolce&Gabbana(D&Gをボイコットせよ)」と書かれた245ドル(約27,427円、6月27日現在)のTシャツを販売したのだ。これを宣伝するCMには、Tシャツを着た人たちがボイコットの真似をして楽しんでいる様子が映っている。(参照元:VOGUE)
D&Gのドメニコ・ドルチェ氏はこれを「皮肉・ジョーク」だと説明したが、人々は黙っていなかった。そのなかでも最も注目を集める行動に出たのは、アメリカ人シンガーソングライターのRaury(ロウリー)。
彼はモデルとして出演したD&Gの2018年春のメンズウェアファッションショーで、突然上半身に身につけていた服を脱ぎ、ボイコットを呼びかけたのだ。体には「抗議」「D&G、私に自由を」「あなたのスケープゴート*1ではない」とペイントされていた。写真を見るとわかるが、まわりにいたモデルも彼に倣ってポーズをとっている。
彼はこの行動について、「人生であれほど孤独だったことはない」「D&Gがボイコットという行為を馬鹿にしていて許せなかった」「黒人解放運動で、ボイコットをやってなかったら、私は存在しなかったかもしれない」「何もしないのは(自分の支持していない)トランプを支持しているのと同じ」などと話している。そして世界は彼の行動を賞賛し、本当の#BoycottDolceGabbanaを行っているのだ。(参照元:GQ, Business Insider)
(*1)身代わり、生贄などの意。
@highsnobietyに載ってる記事を読んで。これは本当にメンズファッションウィークで一番アイコニックな瞬間だった。#protestdolceandgabbana(D&Gにプロテストせよ)
「ボイコット」は、消費に関するものの場合、個人や団体などが集団的にある商品やサービスの購入をせず、それを販売する企業が行なった「企業の社会倫理に反する行動」について釈明する責任を負わせたり経営を成り立たなくさせたりする抗議の方法だ。(参照元:BusinessDictionary, NHK)
日本では「ボイコット」という言葉をあまり耳にしないかもしれないが、自分の使ったお金がどんな考えを持つ企業のもとへ行ったのか気にならないだろうか?この機会に消費者が団結して社会を変える「ボイコット」という方法について改めて考えてみてもいいかもしれない。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。