今から50年程前、インターネットが運用され始めた。そして30年近く前には商用のネットワークが普及し始め、現在となっては誰もがスマホをもち、インターネットを通じて人と繋がらないことの方が珍しくなった。
そんなインターネットの普及は、ネット依存、SNS中毒、そして陰湿なネットいじめなど、さまざまな負の側面をこの社会に生み出してきている。
しかし、インターネットを通じて多くの人とつながれたおかげでいじめから救われたという10歳の少女がアメリカ・ロサンゼルスにいた。
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まだ10歳だけど気高いの。#FlexinInHerComplexion
その少女の名前はKheris Rogers(ケリス・ロジャーズ)。彼女がアフリカ系の生徒が4人しかいない小学校に通っていたとき、「肌の色」を理由に他の生徒や先生からいじめられていた。
それを見かねた母親は、より多様なバックグラウンドの生徒が通う学校へ彼女を転校させる。だが、転校先では驚くべきことに、彼女と同じアフリカ系の生徒たちから「細い体」と「肌の色」を理由にいじめにあったのだ。それを知った少女の姉は、ツイッターにある写真を載せることにした。
私の妹はまだ10歳だけど、気高いの。#FlexinInHerComplexion
22歳の姉テイラーが、妹ケリスの写真を載せ#FlexinInHerComplexion(彼女の肌の色を見せつける)のハッシュタグをつけたツイートをしたところ、3万1千件を超えるリツイート、8万4千件以上のお気に入り追加、そして「彼女は美しい」や「彼女の肌の色はゴージャス」など、たくさんの温かいコメントを受けたという。
いじめにより自尊心を大きく傷つけられ、自分の肌の色を嫌っていたケリスだが、このようなインターネットを介した多くの肯定的な反応を姉に見せられ、自分の自信を取り戻すことができたのだ。(参照元:Buzz Feed News, Konbini, Independent)
それからケリスは姉や母親の管理のもとで自分のツイッターやインスタグラムのアカウントを作り、自分の写真を投稿している。そこでは姉が使ったハッシュタグに倣った#FlexinInMyComplexion(私の肌の色を見せつける)のハッシュタグをよく使っているようだ。
ケリスが作る「世界一ポジティブなTシャツ」
ケリスはまた、自分に自信を持たせてくれた#FlexinInMyComplexionに込められたメッセージを、他の同じような苦しみを感じたことのある人々にも届けようと、Tシャツを作って販売するようになった。「Flexin’ In My Complexion」と名付けられた彼女のブランドのTシャツにはすべて 「FLEXIN IN MY COMPLEXION」の文字がプリントされている。Tシャツは15ドル(1662円、5月31日現在)から買え、売り上げはケリスの大学進学時の学費に当てられるという。
彼女のTシャツを着た人々の写真は以下。
ケリスのストーリーにみる「インターネットの利点」
ケリスのストーリーを読んで、何を考えただろうか?インターネットやSNSには、良い面も悪い面もあるが、彼女はその「良い面」を教えてくれる。たとえ自分の居場所が学校(狭い世界)になくても、インターネットを通じてつながれる広い世界では、居場所を見つけられるかもしれないのだ。
10歳でSNSアカウントを持つのは早すぎると言う意見もある(実際のところ、姉や母親がほぼ管理している)が、インターネットのある時代に生きているのだから、広い世界とつながれる利点を生かすのは良いことではないか。
Photography: Kheris Rogers
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。