日本ではまだまだネガティブな印象が強いタトゥー。そんなタトゥーという存在が病気を乗り越える一つの手段になり得ることを知っているだろうか。タトゥーを施すことで精神的な回復をし、それによって自信を取り戻した人々がいる。
年々増加する乳がん患者
女性にとって乳がんはもっとも罹患率の高いがんである。 2015年、日本における乳がん罹患数は89,400人、死亡数は13,800人(参照元:乳がん治療と乳房再建の情報ファイル)。乳がんの患者数は年々増加しており、関心を向けざるをえないものとなっている。そしてこの乳がんという病気に対して、特に女性にはある心配事を抱かせるかもしれない。乳房を摘出することだ。乳がんを患い、胸のふくらみがなくなったり、人工的な胸に変わったりすることは体にも心にも大きな変化をもたらす。しかし、そんなその後の生活にも大きな影響を与える乳房摘出をタトゥーというアートを利用して自分の魅力に生まれ変わらせた人々が存在している。
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摘出手術後に傷をタトゥーでカバーした女性たち
タトゥーが施された胸を披露した元乳がん患者たちがタトゥー雑誌Inkedでとりあげられた。胸のタトゥーをさらした女性たちは皆、長い期間乳がんと闘い、病気を克服している。また#inkedforacauseというハッシュタグを用いて、そんな女性たちの姿は世界中に広がっている。
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乳がんを患った場合、病気を克服できたとしても手術後の胸の傷や全摘出という不安、また胸を失った後の精神的ダメージがとても強いものだということを特に女性たちは共感するだろう。がんという病気自体の身体的ダメージに加え、女性らしさを表す胸をとってしまうことで精神的なダメージも伴う。意識しないようにしたとしても傷がある胸を見ないで生活していくことは不可能だ。これは本人とって精神的なダメージを長引かせてしまうかもしれない。
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しかし、そのようなダメージに対し、彼女たちは思考を変え、タトゥーを加えるという行動によって体をアートで着飾り、自分の体を美しく作り直した。また、タトゥーによって胸の傷を隠すことができ、デザインされた胸のおかげで、鏡の前で自分の姿を見るのが楽しくなったり自信が持てたりすることができるだろう。この胸のタトゥーは病気と闘い克服したという事実と、その事実を受け入れてより魅力的になったことを象徴している。
彼女たちは病気というネガティブな経験をそのままにせず、また左右されることなく、その傷さえもポジティブで美しいものへと変えてしまった。そんな強さを持った彼女たちから、その発想と勇気ある行動を見習うべきだ。そして、彼女たちのような元乳がん患者の存在は現在乳がんを患っている人々、将来乳がんにかかってしまうかもしれないという不安をもつ人々を勇気付けている。タトゥーによって自分の体と心に自信を取り戻した彼女たちはとてもかっこよく魅力的だ。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。