世界人口の約半数は女性の体を持って生まれている。そして女性の体を持つと、個人差はあるものの10代から50代の間の毎月「生理」という現象と付き合うこととなる。最近、スコットランドで公的な貧困層へ生理用品の無料配布が試験的に始まったが、それ以外の国では基本的に生理期間に必要不可欠な「生理用品」を自分でお金を払って手に入れなければならない。
「生理がある人にとって、生理用品に平等にアクセスできるのは基本的な権利」だと、現ハーバード大生のNadya Okamoto(ナディア・オカモト)が強く感じたのは、母親が失業して彼女を含む家族がホームレスになったとき。
彼女はホームレスの人々が生理用品の支給を受けることは少なく、その場合トイレットペーパーや靴下、床に敷くマット、紙袋などで代用しなければならないことを彼らと会話するなかで知った。しかしながら、それらを代わりに使おうとすると経血が吸収しきれないだけでなく、感染症にかかったり毒素が体内に入ってショック症状を起こしたりする危険性があるのだ。
このような危険から身体を守るためにも、生理用品は生理期間に必要不可欠。そこでホームレス状態を抜け出したナディアは金銭的な理由で生理用品にアクセスできない人に無料で配る活動「PERIOD.」(ピリオド、英語で生理の意)を他の高校生たちとポートランドを拠点に始め、#MenstrualMovement(生理ムーブメント)というハッシュタグを使って世界に広めている。
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では、当事者の金銭的な理由の他にホームレスの人たちを生理用品へのアクセスから遠ざけている根本的な原因はなんだろうか。それは生理用品の必要性が支援者側や社会的に認知されてない事実、そして「生理のタブー視」かもしれない。
生理がタブー視されているからこそ、支援者のなかにも「生理用品の必要性」を認識していない人が多く、当事者も生理用品が必要であっても自分からは欲しいと言い出しにくい人が少なくないと考えられる。そこでナディアたちは学校で生理についてオープンに話す啓発活動も同時に行っているという。
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東北や熊本で震災が起きたときにも、被災者が生理用品に十分にアクセスできなかったという情報があるが、「生理用品が必要だと当然のように言いにくい」「生理用品の必要性を理解していない」人がいるのは日本だけではない。
アメリカの多くの州やヨーロッパの数カ国では、コンドームを含む衛生用品が非課税になっているにもかかわらず、生理用品には消費税が課せられていることも不平等だと問題になっている。したがって、生理ムーブメントは世界規模で行なっていくべきものではないだろうか。
人口の半分が避けては通れない生理現象についてオープンに話すことができないなら、人々の平等を実現させることはおろか、避けられる感染症を防ぐこともできないのだから。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。