皆さん、こんにちは。もう2016年も終わりが近づいてきましたね。今年の世界の動きを思い返してみると、多数派が少数派を締め出す動きが強まった一年だったように思えます。そんなわけで、今回はアジア系が少数派の地域で行なわれたハッシュタグ・アクティビズムをご紹介します。「アジア系だから」という理由で嫌な思いをしたことがある方はいるでしょうか?
アジア系が少数派の国、例えばアメリカに行くと、アジア系に見える人は「アジア系」というひとくくりにされてしまう傾向があります。そして差別や偏見の目で見られることは少なくありません。これは2016年の今も、残念ながら続いているのです。
ニューヨークタイムズで働くアジア系アメリカ人の編集者が家族とニューヨークのアッパーイーストサイドを歩いていたとき、綺麗に着飾った中年女性に「中国に帰れ、そのくそったれな国に帰れ」と叫ばれました。(参照元:NYTimes.com)これには「アジア系=中国人」という偏見と差別が隠れています。それを受けて彼は、その女性の発言に#ThisIs2016(もう2016年だよ)というハッシュタグをつけ、ツイートとニューヨークタイムズのウェブサイトへの投稿をしたのです。その投稿はニューヨークタイムズ誌にも掲載されました。それを発端として、他のアジア系アメリカ人によって自分が体験したアジア系差別の経験談に#ThisIs2016をつけたツイートが盛んにつぶやかれたのです。
photos courtesy of Bowdoin Asian Students Association. #thisis2016 pic.twitter.com/lMiPdZddTY
— Fem 4 All 🏳️🌈 (@projectFem4All) November 29, 2016
彼らのツイートのなかには、アジア系アメリカ人が言われる差別的な発言がたくさん紹介されています。アジア系はアメリカ生まれではないというステレオタイプからくる「どこから来たの?」や、アジア系は英語が話せないという偏見からくる「君の英語は本当に上手だね!」というような“定番”のものからさまざまです。少し離れた例となってしまいますが、「“ゲイシャ”や“出っ歯に眼鏡でカメラをぶら下げている”のが日本人でしょ」と言われたら快く思いませんよね?
しかし、アメリカにおけるアジア系の問題も複雑です。「アジア系=東アジア系」という構図とパワーバランスがあり、南アジア系や太平洋系(フィリピン系など)の人々が“アジア系”から除外されがちだということです。(参照元:Mic.)本メディアNEUT Magazineでは、ポリティカル・コレクトネスに関する連載も行なっていますが、人を傷つけてしまうことのないような言葉の選び方がますます重要になっていきそうですね。次回の連載もお楽しみに!
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。