「国がやらないなら個人が立ち上がれ」。難民認定率1%以下の日本から、日本や世界の難民を助ける取り組みとは #難民とともに|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会 #039

2017.7.25

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日本に住んでいて「難民」に関するニュースを聞くことがどのくらいあるだろうか?日本での難民の状況よりも、シリアの内戦などの影響でヨーロッパに避難してきた人々についての報道のほうが多いかもしれない。2016年に日本で難民の申請をした10,901人のうち、たった28人(わずか0.6%)しか「難民」と認定されておらず、その数は同じG7(主要7カ国)の国のなかでも圧倒的に少ない。

ちなみに、G7で日本の次に受け入れた人数の少ないイタリアでは3,573人(申請人数に対して5%)、一方最も多いドイツでは138,666人(申請人数に対して59%)を同年に受け入れている。(参照元:難民支援協会

日本の状況については、政府が難民の受け入れに積極的な姿勢をとっていないことが原因かもしれないが、あなたもなんとなく事実を知っていながらも身近に感じられず、問題を政府や専門機関に任せきりになってしまっていないだろうか。そんな人々にも簡単に参加できるツイッターのキャンペーンが2016年の「世界難民の日」に合わせて大きく動き出し、現在も続けられている。

▶︎ハッシュタグ・アクティビズムについてはこちら

Photo by UNHCR

#難民とともに #WithRefugeesのハッシュタグを用いたキャンペーンは、「世界難民の日」(毎年6月20日)に合わせて企画された。そして2018年9月の国連総会で難民に関する国際的な取り決めが行われる場へ世界500万人の署名を届けることを目標とし、日本や世界各地で行われている。

本キャンペーンでは署名を募っているだけではなく、ツイッターで「#難民とともに」「#WithRefugees」のハッシュタグをつけた投稿をしてもらうことで、周囲の人にも難民の問題を考えてもらう狙いがあるのだ。

2016年末の時点で世界人口のうち6560万人が家を追われて、誰かの保護を必要としているという。

そのうち2250万人が、紛争や迫害から身を守ろうと他国へ逃げざるを得なかった難民で、その人数は過去最悪となっている。そして4030万人は似たような状況に置かれているが国境内の場所へ避難しているため、難民としては保護されない国内避難民。残りの280万人は、国外に逃れて「難民」としての保護を望む庇護難民だ。(参照元:UNHCR駐日事務所, 国連UNHCR協会

同キャンペーンを運営しているUNHCR(国連の難民問題に関する機関)は、「難民が身の危険を感じることなく、安心して暮らす権利」を信じており、集められた署名と以下の3つの提案を来年の9月の国連総会に提出する。

すべての難民の子どもたちが教育を受けられること
すべての難民の家族が身の安全を確保できること
すべての難民が仕事や新しい技術を学ぶ機会を通して、社会に積極的に貢献できるような環境を整えること
(引用元:国連UNHCR

キャンペーンに賛同した静岡県知事

キャンペーンに賛同した東京都文京区長

私たちは難民問題について何をすればいいのだろうか。政府や専門機関に問題を任せきりにするのではなく、日本や世界の難民の現状を知り、市民一人ひとりが立ち上がることが大切だ。このキャンペーンを通してなら、日本の枠組みを越えた世界市民としての意思表示をしたり、まわりの人に難民問題に対して「何ができるか」を考えさせたりできる。

日本政府が難民の受け入れに積極的でないため、地域自治体に対しても同様な印象を持つ人も多いかもしれないが、同キャンペーンには自治体のリーダーらも賛同しているようだ。私たちの思っている以上に、難民問題を真剣に考えている人はいるのかもしれないのだ。そんな人たちとともに声をあげてみてもいいかもしれない。キャンペーンへの参加はこちらから。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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