「難民」と聞くと日本に住んでいる私たちにはあまり関係のないように感じてしまいがち。それもそう、日本の難民受け入れ率は1パーセントにも及ばないのだ。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、2018年に紛争や迫害により家を追われた人の数は世界で約7,080万人を記録している。難民受け入れ数最多の国で、約370万人ほどを受け入れているトルコと比べ、2019年3月に法務省が発表した資料によると日本では、2018年度に難民と認定した外国人が42人だけだった。
そんな難民について理解を深めることができる映画祭がある。9月下旬から10月にかけて東京と名古屋で開催される、幅広い種類の難民をテーマにした映画を無料で上映する映画祭「UNHCR WILL2LIVE映画祭2019」だ。
今年で14回目の難民映画祭
同映画祭は「UNHCR 難民映画祭」として昨年までの13年間、UNHCR駐日事務所と日本におけるUNHCRの公式支援窓口である国連UNHCR協会が共催してきたが、今年からは国連UNHCR協会が主催となり、新名称「UNHCR WILL2LIVE映画祭2019」(第14回UNHCR 難民映画祭)に生まれ変わった。「WILL2LIVE(ウィル・トゥー・リブ)」というタイトルには厳しい境遇にあっても生き抜こうとする難民の意志(= Will to live)が示されている。
NEUTで取り上げた作品も一部上映
今回上映されるのは全部で7作品、うち2作品は日本初上映のもの。場所や時間によって観られるものが変わってくるのでご注意を。以下2作品はNEUTで以前取り上げたものなので、参考までに。
『ヒューマン・フロー 大地漂流』(原題:Human Flow)
中国当局に追放された現代美術家アイ・ウェイウェイが、2時間にも及ぶ「難民映画」に詰め込んだもの『ヒューマン・フロー 大地漂流』|GOOD CINEMA PICKS #019
2011年米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出され中国の現代美術家であり社会運動家としても活躍するアイ・ウェイウェイが23カ国40カ所もの難民キャンプを巡って、祖国を追われ地球上を逃げる人々の日常をカメラに収める。淡々と映される難民たちと迫力のある世界各地の光景が送る、衝撃のドキュメンタリー。
※動画が見られない方はこちら
『判決、ふたつの希望』(原題:L’insulte)
「自分たちと逆の立場の人物を描いた」。憎しみの歴史をどう乗り越えるかという普遍的な問いを投げかける映画『判決、ふたつの希望』
住宅の補修作業を行っていたパレスチナ人の現場監督ヤーセルと、キリスト教徒のレバノン人男性トニーが、アパートのバルコニーからの水漏れをめぐった小さな口論から始まった事件は、やがて法廷へ持ち込まれる。両者の弁護士が激烈な論戦を繰り広げるなか、この裁判に飛びついたメディアが両陣営の衝突を大々的に報じたことから裁判は巨大な政治問題を引き起こしてしまう。
※動画が見られない方はこちら
今回観ることができる作品で、日本初上映のものや2019年に入って公開されたものもいくつかここで紹介したい。
『イージー・レッスン ― 児童婚を逃れて』(原題:Easy Lessons)
〜日本初上映〜
アフリカの東側に位置するソマリアで生まれ育ったカフィアは児童婚から逃れるために最愛の母を残して15歳の時に単身でハンガリーに。順調な日々を送っているようにも見えたが、文化の違いで苦戦する。そんな彼女はヨーロッパでどう生きているのか。
※動画が見られない方はこちら
『ミッドナイト・トラベラー』(原題:Midnight Travler)
故郷アフガニスタンから逃げることを余儀なくされた映画監督のハッサン、その妻と2人の娘たちは携帯電話だけを手に、タジキスタン、トルコ、ブルガリアを経て、安全な場所を求めてさまよう。難民の視点から撮られた、等身大で緊迫感のあるドキュメンタリー。
※動画が見られない方はこちら
この映画祭には事前申込みの必要はなく、会場に行くだけで映画を無料で観ることができる。整理券は各作品の上映時間45分前に先着順で配布されるが、混雑が予想されるので早めに会場を訪れるのが望ましい。
今回のチャンスを逃せば、次いつ日本で見られるか分からない作品もあるかもしれない。東京・名古屋周辺にお住まいの方にはぜひとも「UNHCR WILL2LIVE映画祭2019」に足を運んでいただきたい。
UNHCR WILL2LIVE 映画祭 2019
Website|Facebook|Twitter|Instagram
スケジュール:
東京
2019 年 9 月 21 日(土)、22 日(日)、23 日(月・祝)イタリア文化会館
2019 年 9 月 28 日(土)グローバルフェスタ JAPAN2019
2019 年 10 月 4 日(金)、5 日(土)文京シビックホール 小ホール
名古屋
2019年10月13日(日)、14日(月・祝)名古屋国際センター
主催:
特定非営利活動法人 国連 UNHCR 協会
協力・監修:
国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所
パートナー:
独立行政法人 国際協力機構(JICA)