“リターンを求められないクリエイター支援”が生む「新しい価値」。市原えつこ × クマ財団6期生座談会<Sponsored>

Text: Moe Nakata

Photography: 橋本美花 unless otherwise stated.

2023.3.17

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 「クリエーションが新しい価値を生み出している」そう信じ、若手クリエイターの活動を総合的にサポートし続けているのが、「クマ財団」だ。クマ財団の活動で特に特徴的なのが、25歳以下の学生クリエイターを対象にした、<返済義務を問わない給付型>の「クリエイター奨学金」という制度。奨学生は毎月10万円、つまり年間120万円支給され、使途は自由。制作の経費に費やしてもいいし、生活費に充ててもいい。この制度は、過去にNEUTでも取り上げた現代アーティスト・スクリプカリウ落合安奈や、映像作家・UMMMI.をはじめとする多くの実力派クリエイターを輩出してきた。
 アート品は贅沢なもの、クリエイターへの支援は贅沢ーーそんなイメージを持っている人もいるのではないだろうか。しかし、本当にそうなのだろうか?

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左から、ささきなつみ、池部ヒロト、市原えつこ、マブチユウミ、山名琢翔

 今回、クマ財団で実際に本年度支援を受けた6期生4名・ささきなつみ、山名琢翔、マブチユウミ、池部ヒロトと、アーティスト・妄想インベンターとして活躍する市原えつこをお迎えし、「若手のクリエイターが支援を受けることの大切さ」について話し合ってもらった。見えてきたのは、アートやクリエーションへのハードルが高い日本の現状と、支援が生むことのできる未知の可能性だった。

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市原えつこ

Website / Twitter / Instagram

アーティスト、妄想インベンター。1988年、愛知県生まれ。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系卒業。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性と日本文化に対する独特のデザインから、国内外の新聞・テレビ・ラジオ・雑誌等、世界中の多様なメディアに取り上げられている。

(作品)

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ささきなつみ

Website / Instagram

1999年岩手県生まれ。「別の生き物としてありたい」という自身の欲求から、人間の在り方は私たちが想像する異星人のように多種多様であってもよいのではと考えるようになった。そこで、動植物や虫の特徴と人体が融合した未知生物を革や陶・植物を用い‟生物としての人間の在り方を解放する”ことを目的に制作している。

(作品)

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(左)作品タイトル リンジンの標本「開」(右)「リンジンスーツ」素材:陶、顔料、皮
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山名琢翔

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メイカー。「趣味とものづくり」と「ものづくりの民主化」というテーマで気の向くままにものを作る。ものづくりを通して趣味の新たな側面を発見することを好む。ものづくりへの無駄な障壁をなくし、好きな人が、好きなときに、好きなだけ、ものを作れる社会を目指す。代表作品は立体パズルロボット、オセロAI。

(作品)

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マブチユウミ

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1998年大阪生まれ。演劇と音楽を軸にパフォーミングアーツやアートプロジェクトの分野で「出来事」をまちや生活空間のなかへ持ち出していく活動をおこなう。2021年、東京藝術大学音楽環境創造科卒業。現在、大阪大学大学院人文学研究科芸術学専攻アートメディア論コース所属。

(3/26イベント参加作品のキービジュアル)

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池部ヒロト

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多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻。日本を含めた世界各地に存在する民族の内包する文化、習慣、信仰などの蓄積された記憶からインスピレーションを受け、「土に還るアート」をテーマに日本に古来から存在する素材・技法とテクノロジーを組み合わせたテキスタイルアートの制作を行う。

(作品)

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「アートは高尚」と敬遠されるのに、アーティストへのリスペクトが欠けるという矛盾のある日本

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座談会はクマ財団のオフィスで行われた

ー6期生の4名はクマ財団から本年度支援を受けたと思うのですが、クリエイターとして活躍されてきた市原さんも含め、アーティストやクリエイターとして支援を受けることに対する周りの捉え方や日本の社会的風潮について皆さんはどう感じていますか。

市原:日本ってエンタメが充実しきっているので相対的にアートに関心のある人が少ない気がします。あと、ヨーロッパ圏に行くとアーティストがリスペクトされているので単純に生きやすいなと。逆に日本ではインディペンデントの女性アーティストとして「舐められているな」と感じるときもあります。例えば企業の方と話すときに「どうやって食ってんの?」って見下し気味に言ってくる人もいる。「舐められないように実績を作ろう」と思うんですけど、その努力って無駄じゃないですか。制作や作家活動の本質ではない。「そんなことでストレスを貯めずにのびのびとやれたらいいな」って思います。

あと、日本って「専業じゃないと本物じゃない」っていう考え方が強いと思う。これは海外での活動が多い作家仲間から聞いた話ですが、海外では「僕はアーティストだよ、Googleでも働いてるけどね」という感じで作家にいろんなライフスタイルが柔軟に許容されていると聞くので、そこにも違いは感じます。

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市原えつこ

山名:私が技術専門だったとき感じていた「なんかアート難しそう」という印象も関係するかもと思いました。「もっと身近でその辺にあるもの」という認識になれば変わるのかもしれないですね。

市原:確かにソシャゲとか漫画とか、身近なエンタメとちょっと違う世界にあるものっていう距離感はありますよね。そのうえでアーティストへのリスペクトもないという。普通の市民の人でも興味を持って展示に来てくれる人がヨーロッパ圏には多いなと感じました。

マブチ:でもそれはヨーロッパの文化だから日本にそのまま当てはめてもしょうがないって気もします。考えるべきは「土地に根付いた文化なのでは?」って。もちろん日本でアートが高尚なものという印象は崩したい。支援が足りないと思ったことは私はあまりないです。知り合いのベトナムのアーティストの話を聞く限り、日本と違ってベトナムには検閲もあるのでアーティストは政府に期待していないんです。一方で彼と同時に出会ったポーランドやウクライナのアーティストはアクティビィズム的な表現をしていて、ベトナムのアーティストも政治のことを語っているんだけど全然質感が違う。それはヨーロッパ系の人たちは表現の先に行政や政府が動くという期待があって、ベトナムの彼は生活者、実際にそこで生活している人にベクトルを向けているからだと思う。

そう考えるとアーティストの支援も似ているなと思います。欧米的な制度化された社会構造のなかではアーティストも支援の対象になり得る。ただ現在の私の生活は制度的なものとすこしずつ距離ができていってる。だからアーティストへの支援が足りないとは思わないというだけなんです。日本は中途半端だから自分でどっちも選択できるなと思います。周りの人の考えも両方あるなと感じていて、支援を受けている私たちを受け入れられない人もいれば肯定的に受けとめてくれている人もいるんだと思います。

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マブチユウミ

ささき:私は東北出身で、また皆さんとちょっと違うかもしれないです。東北の中だと「好きなことでお金をもらえるのは恵まれているからだ」と言われることも未だにあります。「恵まれた環境にいるからあなたはそんなことできるんだ」という意味でのマイナスなイメージで。絵を描いているとは言いづらいところもあります。

市原:私も東北と2拠点で生活していた時期がありましたが、漁師さんなど実直に生活に直結するお仕事をしている方が多いなかで「アーティストです」とは堂々と言いづらい空気感はあったかもしれません。でも先日話題になっていた「EAST EAST_Tokyo」という新しいアートフェアに行ったら、アート、ファッション、音楽、カルチャーがごちゃ混ぜになって多分野の人々の熱気で盛り上がって、作品もたくさん買われていた。そんな感じでいろんなカルチャーを巻き込んでもいいのかなと希望がわきました。

池部:そうですね、アートに興味がない人でも見に行く機会や関わる機会があれば変わっていくんじゃないかなって思います。自分の作品作りでは田舎の工場のおじいちゃんに協力してもらうことがあるんですけど、そのうちの一人が僕の展示を見に来てくれたことがありました。「アーティストは食っていけない」というイメージを持っていた人だったのですが、展示を見に来てもらったことでその認識がアップデートされたと感じました。

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池部ヒロト

ー「アートは高尚なもの」というイメージがあり、近寄りがたい人がいるというお話が出ましたが、それを壊すために私たちが日常生活から変えていけるようなことはあるのでしょうか。

山名:アーティストに限らずみんな何かしら作ってみて、作り手の難しさや面白さを感じてみることが大事だと思います。こういった考えもあり、私は現在「ものづくりの民主化」を掲げて活動しています。

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山名琢翔

市原:鑑賞する立場で見るとダメ出ししたくなるけど、一回自分でやってみるといかにそれが難しいかが分かったり、楽しめるポイントも増えますよね。

マブチ:私の学部の先生は、「鑑賞するよりも作る方が楽しいからみんな作った方がいい」と言っていました。そのなかでプロになるか趣味にするかは分かれていくはずだと。

市原:「教育」というと上から目線かもしれませんが、市民教育の観点からも良いことですよね。アーティストがやるワークショップもすごく需要があると思います。創作のツールを知ってもいいし、アーティストの脳内を探検してもいい、そういうプログラムをクマ財団でやれると面白そう。

マブチ:「作る」って権利があるわけじゃないからみんな簡単にできる。作るっていう行為自体はアーティストだけのものではないなって思います。

ささき:同感です。東北は職人が多いので作るというところから理解を広げていけそう。

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ささきなつみ

市原:日本人って手先が器用だったり没入するタイプが多い気がするので、潜在的にものづくりの適性はあるでしょうね。世界中のメイカーフェアをたくさん見ている知人が「日本のメイカーコミュニティではたとえお金にならなくても、すごい熱量で圧倒的にクオリティの高いものを作っている人が多い」と言っていました。

そういう意味でも日本のものづくりがより盛り上がったらいいなと思います。それと同時にアートを買う人も。海外の富裕層は家が大きいから壁の余白を埋めるために大きい作品を購入するけれど、日本はそもそも土地が狭いという構造上の不利さはあるかも。また、税制上もアート購入に投じたお金が税控除の対象になるなど、お金をアートに投じるメリットがあるといいですね。投資や節税用に買うみたいな。どんな目的であれアートを買う人が増えて市場が盛り上がるのはありがたいことだと思う。

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ー日本の一般的なアートやクリエイター支援について何か問題点を感じたことはありますか。

池部:海外から日本の文化に興味持って来てくれた方のためのアーティストビザの基準が高いと思うことが多いです。ヨーロッパ圏だと国籍関係なくその国内で活動していればお金を提供してくれたりするので、基準の厳しさは感じます。

市原:でも「きっとみんなお金をたくさんもらっているんだろう」と思い、ヨーロッパ圏のアーティストに尋ねたら、「助成もたくさんあるけど、意外と狭き門だ」と言っていました。支援の数も多いけど、その分アーティストの数も多いので「すごい楽!」というわけではないんだなと。ただ日本はやっぱり、アート支援の数と種類が少ないと思います。メディアアートの分野も助成がかなり限られていますし。それと比べると海外の募集は多岐に広がっている感じがします。最近、文化庁の海外アーティスト招聘の条件に「SNS等で発信し、その発信数や閲覧数を成果目標とする」といった要件が追加され、文化芸術業界の方々がざわついていました。単純にアーティストを支援するというよりは「日本をアピールしてほしい」「インフルエンサーとして即物的メリットをもたらせ」みたいなきな臭い感じが出てしまってますね。民間企業の取り組みならまだ分かるけど、行政、ましては文化庁は最後の砦として文化支援の純度を守ってほしかったなと。

マブチ:5年に1回出る日本の『今後5年間の文化芸術政策に係る 評価指標について(案)』も読んだらそんなことばかりが書いてありました。

市原:「文化庁がなんでそんなことを…」とは思います。あと、これはしかたないけれど国のオフィシャルな支援って事務作業がとても多い。制作中はただでさえ忙しいのにその事務作業に時間を割かなきゃいけなくて年度末が大忙しになりがち。国の支援は用途がしっかり決められてて、例えば機材はレンタルのみで買ってはいけないとか。資金の使い道が限定的で使いづらいなと思うことはあります。

マブチ:その点クマ財団は事務作業が少ない。親の収入とかも記入する必要はなかったし、お金の用途も決められていないので自由に使うことができました。

基盤となるお金があるから安心して挑戦できる

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ーここまで日本のクリエイターへの支援への風潮や問題点について話してもらいましたが、皆さんは実際にクマ財団からの奨学金を使用して1年活動されたと思います。参加前と参加後ではどのような変化を感じましたか

山名:明確にありました。私はもともと技術界隈の人間だったので全然アートと関わりがなかったんです。「よく分からないものを作っている」という印象があったんですけれど、いろいろな人と関わることによって「難しく考える必要はなくて作者と話しながら気楽に楽しんでいいんだ」と気付きました。そして、次はオセロAIを通して人間と技術の関わりを考えてみようかなと思うようになりました。

市原:他のジャンルの同期との関わりでテーマも拡張していったんですね。

山名:そうですね、「ただ楽しいから作っている」というだけだった理由から変化しました。クマ財団からお金をいただくこともできたので高スペックのパソコンでオセロAIを作れました。

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マブチ:私は生活の活路を見出せたというのがすごく大きいです。3年前くらいから人の家に居候することが楽しいと感じ、そこで数々のことを学びました。私生活が単純に苦手だったので、収納方法とか洗濯頻度の違いとか、そういうレベルの気付きが楽しかったです。その頃から「人の家のお風呂で踊る」っていう活動をしています。

市原:面白いですね!居候先では他に何かにコミットしていたんですか?

マブチ:何かプロジェクトがあるところに居候することが多いです。最近も1ヶ月半くらい人手不足に困っていたアートスペースのようなところに住み込んで働きながら生活しました。それもクマ財団から一番最初にお金をいただいて生活の基盤がちゃんとしていたからできたと思います。そのおかげでいろんな話が舞い込んできました。「自分のやりたいことやるために何ができるか」を考えて行動に移す生活スタイルができたのはお金があったからだと思います。

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Dance in the Bathroom
マブチユウミ 今井あこ (3時)

市原:生活にゆとりができることでもっとアドバンスに考えたり、社会のことを考える余裕ができたんですね。

マブチ:日銭を稼がなきゃっていうプレッシャーがないし、貯金もできるようになって次のプロジェクトの予算を組み立てられ、海外にも行けました。ありがたかったです。

池部:僕は現代アートが自分の領域と違うという認識をもって活動していました。しかし、仲間と話していくうちに現代アートとの関連性についての意見があったり、身体科学とテクノロジーを結び付けている人から共感できる部分があったりして、自分の領域が違う分野の人と繋がれると気付きました。あと、地方の工場から素材提供をしてもらう際に「六本木で展示したアーティスト」(クマ財団のギャラリーが六本木にある)っていうと簡単に協力してもらえたり(笑)。そこは分かりやすく変わりましたね。

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KUMA experiment vol.08「生を読む」展示会場
©︎公益財団法人クマ財団
撮影 : 苅部太郎

ささき:私の場合は東北から出ていなかったので、関東圏の人を「エリート」だと認識していました。最初のミーティングも緊張しながら出席したのですが、話していくと「あれ、私みたいなのがいてもいいじゃん」と思えました。前向きな気持ちになりました。

市原:東北から東京に来ると受け手も全然違う人になりますよね。

ささき:東北では私の周りは知っている人ばかりで多様な意見をもらいにくいんです。そういう意味で東京での展示はすごく良かったです。

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ー最後に、皆さんにとってクリエーションとはどのようなもの/存在ですか。

マブチ:全ての大前提で一番楽しいこと。何をするにしてもそこからかけ離れたことは違う。

市原:いろいろなものをみる尺度みたいなことでしょうか?

マブチ:例えば福祉施設で働くとしてもそれだけだと働けないと思います。でもアートと関わっていたら働ける。窓口としてのアートであり、何かしらの大前提。

山名:私の一番古い記憶はハサミで紙を切っている場面というほどなので生活の一部だと思っています。人が作っているものを見ることもその作品の意図を知ることで楽しいなと感じます。

池部:自分は言語と近いと思います。世の中を理解するための窓みたいな認識があって、作る過程でもそうだし、鑑賞もそう。それまでと違う考え方とかが生まれるきっかけになると思っています。田舎の工場の近くで60mくらいの布を織って染めました。その布を工場のおじいちゃんたちと外で乾かしていたんです。すると長い布が空中を浮遊しているという異常事態にたくさんの人が集まってきたことがありました。そこで出会った人々にとって長い布は何かを考えるきっかけになったのではないかなと思います。シンプルなことから物事を知るきっかけになるのがアートなのかなと。

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ささき:私もコミュニケーションに近いです。「世界にこういうものがあってもいいんじゃないか」というものをのせやすいものっていう感じ。そして、誰もが作れて誰もが見れるもの。

市原:自分にとってアートはカルマみたいな感じです。ものづくりを一生続けるのは大変だと思って離れようとしたことがあります。でもやらなければ「しんどい」って思うことが結構あって。ものを作らないと精神的に辛い人って結構いて、それはもう業のようなものなので、やらないよりはやったほうがいいし、やり切るしかない。カルマって言っても楽しいカルマなので。あと、ささきさんと近いんですけど、現実の世界にないものや虚構を作れるツールだと思うので、現実に働きかけて社会の一部に異物を入れていくものっていう認識でやってますね。

聞いていると、みなさんはコミュニケーションが大事なテーマなんですね。

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山名:何をやっている人か分からなくても、作品が隣にあると分かるというか。

市原:ものづくりって自分の脳内を分かりやすく取り出す作業だから確かに他人から理解されやすくなるかも。

ささき:自分のなかにあるものを作品として外に出すけれど、その作品がまたそれを見た人のなかにあるものだったりする。その時点でコミュニケーションが生まれている感じはありますね。

市原:みなさんはソーシャルメディアが小さい頃から身近にあった世代だから、作ったものを発表して人と繋がることが自然なのかもしれないですね。

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 各々のアートの考え方という話題まで広がり幕を下ろした座談会。6期生の4名はこの1年で、お金の心配をしなくて良くなったからこそ挑戦できる創作活動が増えたり、クマ財団のコミュニティを通して新しい視点をもらい、自分の作品をも再解釈できる機会をもらえたりしたと話していた。
 自身もクリエイターのクマ財団の創設者馬場功淳は過去にインタビューで「クリエイターは、誰からも求められたり、評価されたりしなくても、創りたいものを創るというエネルギーが大切」と話していた。その思いを体現しているのが「クリエイター奨学金」だ。 テクノロジー・AI・建築・音楽・現代アート…。パッションを持ったクリエーションなら、ジャンルは問わないという。創作に熱い思いを持っている人は応募してみてはどうだろうか。そこには魅力的な出会いや無限の可能性が待っているかもしれない。

7期生募集要項

現在、クマ財団ではクリエイター奨学金第七期生を募集している。後期応募締め切りは2023年3月26日(日)まで。詳しくはこちら

募集資格
①2023年 4月に、高専4年生以上及び専攻科、専門学校、短期大学、4年制大学、大学院に在籍する学生
②2023年 4月1日時点で25歳以下の者
③クリエイターを目指し創作活動をしている者。未開発な領域に挑戦し、新しい価値を創造しようとしている者。伝統から新たな価値を創ろうとしている者

選考基準
【ビジョン】
次なる未来を探求し、新たな価値を生み出す 創造性。
【チャレンジ】
自らの専門領域を拡張・更新し、未開発な領域を切り開く 挑戦心。
【パッション】
情熱を持って創作に取り組み、高いレベルで結実させる強い 創作意欲。
【アクション】
創作機会、評価の機会を逃さず、自らの作品を世の中へ送り出す 行動力。
【インフルエンス】
自らの創作活動、創作意義を、世の中へ伝達する 発信力。

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6期生今後のイベント情報

​​KUMA experiment event
music, performance, and movie live exhibition
日時:2023年3月26日(日)16:00〜20:00
場所:Spiral Hall(Spiral 3F)
料金:無料(要予約)

U25若手クリエイターの創作活動を支援し、社会とつながることを目的に、実験的な発表の場を開いています。
数名で構成する10のチームがそれぞれのテーマを導き出し、掲げるテーマを通じて既存の枠組みに囚われず、奨学生それぞれの視点で現代の社会を見つめます。
6期生全55名の活動ジャンルは22種類に及び、22年10月から23年3月までの9会期にわたり、六本木のクマ財団ギャラリーにて開催するグループ展では、アート、テクノロジー、デザインなど多領域の作品を発表しています。
本企画は、音楽・演劇などのパフォーマンスを軸としたクリエイターが集う10会期目(final)にあたります。

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