3月11日、NEUTのラジオ番組「渋谷のニュートラル」の第三回目が放送されました。
メインパーソナリティを務めるのは、以前取材したヒップホップグループDos Monosのメンバーであり広告プランナーとしても活躍中のTAITAN MANとNEUT Magazine編集長のJUN。
第三回目の放送では「『男らしさ』をニュート」。NEUTでは3月8日の国際女性デーに合わせ、性別間の平等を考える第一歩として、“男性の女らしさ”に着目した特集「Oh Boy」を公開しました。この特集に合わせて、今回のラジオでは「男らしさ」についてトークしました。
ゲストとして招いたのは、本特集に企画から参加し、全フォトグラフィーを担当、また自らの作品のテーマとして「男性解放」を掲げるフォトグラファーの中里虎鉄(なかざと こてつ)さん。そんな彼と共に「男らしさ」について考えたNEUTのラジオ第三回目の内容をダイジェストでお送りします。
男らしさと女らしさを作る要素とは
「男らしさ」は、「たくましさ」や「力の強さ」。
これははじめにJUNが紹介した、昨年11月に大阪で開かれたNEUtalk vol.5で寄せられたアンケートの結果の一部だ。その他にも、「筋肉がある」や「体が大きい」などの意見があった。逆に女らしいところとして挙げられたのは「髪が長い」「ハイヒールを履いてる」「ハンカチを持ってる」「くびれ」などの意見。こうしてみると「女らしさ」のイメージに目立つのは外面的な部分であった。続けてJUNが中里さんに対し、「俺とTAITANだったらどっちが男らしいと思う?」と質問すると、TAITAN MANだと即答。これに対しTAITAN MANは「名前にMANがついてるからでしょ?(笑)」と指摘。JUNからは話すテンポや受け答えから中性的なイメージを感じるという。一方で、JUNとTAITAN MANは中里さんからは身振り手振り、話し方などから「女らしさ」を感じることがあるという。「男らしさ」や「女らしさ」を構成する要素として、見た目、言葉、話し方、動きなど様々な要素が挙げられた。
メイクをしても男らしい
堂々と口紅をつけて外に出るその行為にすごく男らしさを感じた。
中里さんは、以前交際していた男性がデートに口紅をつけてきたときにそう感じたという。このエピソードと共に挙がってきた名前がりゅうちぇるさんだ。りゅうちぇるさんはNEUTのSNSアカウントや中里さんのInstagramを通して事前に行ったアンケートで、「男らしい」と思う有名人として挙がった一人だった。実はアンケート前に中里さん、TAITAN MAN、JUNの3人も「男らしい」と思う有名人として、満場一致でりゅうちぇるさんを挙げていた。ケインコスギさんや山田孝之さんなどいわゆる無骨なイメージの男性の名と一緒に、りゅうちぇるさんの名が出たのはどうしてだろうか。TAITAN MANは話題になったりゅうちぇるさんのタトゥーの批判への対応を例に挙げ、「自分のモノサシに沿った考えを持っていて、それを隠さず発信する一連の態度がかっこいいとされているのでは」と考察。JUNも続けて「ファッションとかメイクとか関係ないんだよね」と述べ、「男らしさ」にあえて言及する場合には、外見に左右されない内面の魅力がより重視されるようになってきていると指摘した。
「男らしい」と「女々しい」
「その人」として評価されるべきだし、そこに性別っていうのは正直もう関係ないんじゃないかな。
これまでの話を踏まえて、「オープンに何かを言える人っていうのが男らしいってなった時に、女の人はそれができないみたいになっちゃうのかなって思ったんだけど」というJUNの投げかけに対してこう述べたのは中里さん。ここまで「男らしさ」について議論してきたが、中里さんは個人的には「男らしさとか女らしさみたいなことをあまり意識していない」と言い、「男らしさ」がポジティブな評価を得ることが多いのに対して、それに当てはまらない男性が「女々しい」とネガティブな評価を受ける問題を強調した。TAITAN MANはこれに賛同しつつ「男らしさとか女らしさっていう風にくくるのがもはやナンセンス、はっきり意見を言う人もいればもじもじする人もいて、それはパーソナリティの差でしかない」と述べた。性格や能力の違いを「男らしい」や「女らしい」に当てはめるのではなく、個々人の性質として評価するべきだ、ということでまとまった。
「男らしさ」にとらわれないために
世の中が考える「男らしさ」と自分がフィットしない部分を見つけて欲しい。
渋谷のニュートラルでは毎回、最後のまとめとしてゲストに「今日からできること」を提案してもらっている。今回、「男らしさ」をニュートラルに考えるために中里さんが挙げたのは「自分の男らしくない、あるいは女らしくない部分を見つけること」。自身が周りの求める「男らしさ」と自らのギャップに悩んだ経験を経て、そのギャップこそ個性であり、肯定するべき部分だということに気付いたという。社会の求める「男らしさ」や「女らしさ」から解放されることが自分をより好きになるための第一歩なのかもしれない。
以上、第三回「渋谷のニュートラル」をダイジェストで送りしました。
今回のジングル*1は、トラックメーカーのMAHBIEさんに作っていただきました。MAHBIEさんありがとうございました!
次回は、4月8日16:10から4月の特集に合わせて「セクシャリティ」をテーマに放送します。次回もお楽しみに!
(*1)ラジオ番組などで、番組の始まりやコマーシャル前後に入る短い音楽
中里虎鉄(なかざと こてつ)
1996年生まれ。東京都出身。
ソーシャル課題をテーマにフォトグラファー、アーティストとして活動している。ギャルみたいによく喋る人。
4月6日 (土)、7日(日)に、銀座ソニーパークにて現在開催中のTOKYO ART BOOK FAIR Ginza Editionに出展予定。
TAITAN MAN
1993年生まれ。3人組ヒップホップグループDos Monosのメンバーとして活動中。2017年には韓国・ソウルでのライブやSUMMER SONIC2017への出演を果たした。2018年には日本人として初めてアメリカ・LAのレーベル「Deathbomb Arc」との契約を結び、初の音源「Clean Ya Nerves」をリリースした。2019年3月20日にDos Monos の1st アルバム「Dos City」をリリース。
JUN
1992年生まれ。大学卒業後、社会派ウェブマガジン『Be inspired!』の編集長を経て、現在は2018年10月に『Be inspired!』からリニューアル創刊した『NEUT Magazine(ニュートマガジン)』で創刊編集長を務める。「既存の価値観に縛られずに生きるための選択肢」をコンセプトとする同誌で、消費の仕方や働き方、ジェンダー・セクシュアリティ・人種などのアイデンティティのあり方、環境問題などについて発信している。