「わたしたちは自然と共存している」オフィス街・神田で、未来を共に育てる方法を教えてくれる Sustainable Kitchen ROSY|Fork and Pen #001

Text: yae

2020.3.20

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こんにちは、yaeです。
この連載「Fork and Pen」では、私が日頃感じてきた食や環境に対する疑問をもとに、その答えやヒントが見つかりそうなレストランを訪れ、身近にある“食の選択肢”について学んでいきたいと思っています。

▶︎この連載を始めたきっかけについてはこちら

「サスティナブル」という言葉を、お店の名前に使っているのが気になり、一回目は、2018年に、千代田区・神田にオープンした「Sustainable Kitchen ROSY(サスティナブルキッチン ロージー)」を訪れました。「わたしたちが自然と共生していることを、Farm to Table(農家から食卓へ)の食材を使ったお料理で表現しています」そう話すオーナーの森敏(もり さとし)さんが、どんな思いでお店を作り上げているのか、お話を伺いました!

※動画が見られない方はこちら

「シャッターの奥に、わたしたちの世界観が描けるのではないか?」

yae:Sustainable Kitchen ROSYのコンセプトはなんですか?

Sustainable Kitchen ROSY(以下、ROSY):わたしたちは、「未来をともに育てる」というミッションを掲げています。わたしたちのレストランによって、農家さんの暮らしを支え、未来が育ち、ここで働くスタッフを育てることで、スタッフたちの未来を育てる。そして、この街で働く人や、子どもたち、お客さまの健康な未来をつくる。農家さん、お客さま、みんなが繋がることで、未来を育てられるようなお店です。

Farm to Table (農家から食卓へ)という、契約農家の食材を使うことで、農家さんをサポートし、その食材を使ったお料理で、お客様の健康をサポートしています。

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yae
Photography: Shiori Kirigaya

yae:なぜオフィス街の神田にある、この場所を選んだのですか?

ROSY:この建物は昭和20年代からあって、元々はお布団屋さんでした。わたしが初めて見たときにはシャッターが閉まっていて壊れそうな一軒家だったんですけれど、「あ、ここにしよう」と。「このシャッターの奥に、わたしたちの世界観を描けるのではないか?」と思ったんです。

yae:千代田区は家賃が高いイメージがありますが…。

ROSY:立派なビルに入れば家賃が高くなり、売り上げを重視しなければ持続可能でなくなります。そんな中でここは、比較的費用を抑えてお借りすることができたので、この場所でなら、理想を実現させることができると思いました。

そして、この街で働く忙しい人にも、いい食事からきちんと栄養を取ってもらいたいという思いを込めながら、わたしたちが自然と共生していることを、Farm to Tableの食材を使ったお料理で表現しています。

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Photography: Reo Takahashi

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店内にはオーガニックワインが多数揃う
Photography: Reo Takahashi

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Photography: Reo Takahashi

あたりまえに自然環境、未来のことを考える

yae:実はわたしがサスティナブル(持続性・持続可能性)という言葉を身近に感じるようになったのは、最近のことです。お店では、どんな風にサスティナブルな取り組みをしていますか?

ROSY:まず、サスティナブル、エシカル、オーガニックなどを押し付けるようなことはせず、ごく自然に取り組むことを心がけています。お客様が美味しく、楽しい時間を過ごしている中に、あたりまえに自然環境や未来のことを配慮した動きが行われるようにしています。

yae:ビニールに包まれたおしぼりが、必ずと言っていいほどでてきますが、ROSYはおしぼりを出していないですよね。

ROSY:そうですね。おしぼりは日本特有のものと言われることが多いですよね。「おもてなし」が過剰にならないよう、シンプルにサービスを考え、お客さま同士が交わる機会が多くなるよう心がけています。

yae:お客さまの目に入るものの中で、環境を配慮した取り組みは他にありますか?

ROSY:例えば、わたしたちの身につけている、このエプロンは農薬を使わずに栽培した、オーガニックコットンのエプロンです。そして、食品ロスの削減に取り組むプロジェクト「フードテキスタイル」で、捨てられてしまう野菜から染めています。同じようにして、エコバックも作っています。他には、冷たい飲み物を提供するときにはプラスチックストローではなく、ステンレスストローを使用しています。

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捨てられる小松菜などで染められたエコバックが店内で販売されている
Illustration: yae

yae:…捨てられる野菜で染められるんですね!
お客さまに見えないところでは、どんな環境に対する取り組みをしていますか?

ROSY:使い捨てのラップは極力使用せず、蜂が巣をつくる際の材料となるワックスでできた「みつろうラップ」や、麻のたわしを使用しています。

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厨房で使われている「みつろうラップ」
Illustration: yae

ROSY:プラスチックゴミを出さないようにし、その他のゴミは極力、土に還せるように工夫しています。食べ残しや食品のゴミも活用できるよう、コンポストプログラムも導入しました。オーガニックコーヒー、紅茶、ハーブティーのかすを、契約農家さんに戻し、堆肥として使ってもらったりもしています。揚げ油の廃油をリサイクルしてもらっていたり、キッチンにある調味料もオーガニックのものを使用しています。

yae:ROSYのこだわりの一品を教えていただけますか?

ROSY:農産物は、農家の作品です。「サスティナブル野菜のディップサラダ」は、素材のつくり手が、シンプルにわかります。

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こだわりの一品「サスティナブル野菜のディップサラダ」
Photography: Shiori Kirigaya

ROSY:カットしてあるお野菜の、赤カブ、ビーツ、きいろ人参、人参、紫人参、紅くるり大根は、手前の紫人参と玉ねぎのムースをディップして、葉もののお野菜の、赤からし水菜、グリーンカール、サニーレタス、パクチーは、ディルと玉ねぎのドレッシングをかけてどうぞ。

yae:このサラダのサスティナブルな部分はどこですか?

ROSY:ROSYでは2つの農家さんと契約していて、ひとつは栃木にある渡良瀬エコビレッジさんと、茨城にあるソルズファームさんです。生産者さんの顔がわかるお野菜を使ったこのサラダでは、そちらで採れたお野菜の味を、そのまま楽しむことができます。農家さんとお客さまと我々とが繋がって未来を育てていけるような一品なんです。

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サラダの他に森さんにおすすめしてもらった「保美豚のロースグリル」
Photography: ©︎YUMCH

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同じくおすすめしてもらった「平飼い卵のプリン」
Photography: ©︎YUMCH

Sustainable Kitchen ROSYを訪れて

「アスファルトや建物に囲まれた中でも、わたしたちは自然と共存していることを、農家さんの野菜を通して表現しています」

森さんのこの言葉が、ディップサラダを食べているときに、よくわかった。美味しいものを食べながら、飲みながら、時間を過ごしているだけで、大事に育てられた食材が、自分の口にたどり着く。そのことが嬉しく、ゆっくりと一口ひとくちを味わった。

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Illustration & Photography: yae

少し緊張していたわたしの質問にも、オーナーの森さんは、丁寧に答えてくれた。ゆっくりとしたペースで、リードしてお話しをしてくださり、その優しさは、ROSYそのものに反映されているように感じた。

「おいしい」や「この店いいね」など、入口はどこからでも、自然環境のことなどを考えるきっかけを作れるといい、というのがSustainable Kitchen ROSYだった。けっして押し付けることはせず、行くだけで、知らなかったことを学ぶことができた。

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yaeが飲んでいるのはオーガニックブラッドオレンジソーダ
Photography: Shiori Kirigaya

ポートランドの想いを繋ぐROSY

お客さま、生産者、スタッフ、食材、植物、すべてを尊重する、RESPECT ALL LIFE(リスペクト オール ライフ)の考え方は、アメリカ・オレゴン州のポートランドで学んだと森さんは語る。以前、わたしがポートランドを訪れ、街やお店に出かけた時に感じた、さりげない優しさの中にある居心地の良さは、ROSYで過ごす時間も同じ感覚だった。

「レストランはコミュニティであるべき」その森さんの言葉からも、ポートランドの町とROSYが頭の中で、すぐにリンクした。人がこのお店に集まり、食を通じて笑顔が生まれ、交わることで作り出される空気が、この街の一部となっている。そして未来に繋がっているように感じた。過剰なことはせず、リスペクトフルで自然体の思いやりが、温かい空気となって広がっていた。

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日本とポートランド、ROSYをイメージして描かれたお店の壁画
Photography: Shiori Kirigaya

環境汚染や後継者不足により作物を作り続けることが難しくなり、農家さんがいなくなってしまうような時代が、近づいてきている。すべての命を大切に思うROSYは、農家さん、お客さん、そして、お店が、お互いを支え合うことでサイクルが循環するように、積極的な取り組みをし、未来のために動き出していた。

あたりまえに率先して、未来のために行動し、それを続けていくことの大事さ。そしてシンプルに、日々楽しんで取り組むことを忘れはならないということを教えてくれた。そんなお店を知ることができて、気持ちもお腹もいっぱいになり、ポジティブに未来のことを考えられた。

▶︎YUMCHでの記事はこちら:3/28公開予定

Sustainable Kitchen ROSY(サスティナブルキッチン ロージー)

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住所:東京都千代田区神田北乗物町11
電話番号:03-6262-9038
営業時間:平日11:30~15:00(LO14:30)
17:00~23:00(LO22:30)
土曜17:00〜22:00 (LO21:30)

定休日:日曜日、祝日

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Photography: Reo Takahashi

yae

Instagram

1997年東京生まれ。ニューヨークの高校に留学していた15歳〜19歳の間、人との出会いを大切にしながら、さまざまな文化や価値観に触れる。今は、現代の「もの」のあり方を改めて考えるきっかけを作れるよう、自身の表現方法を探索中。シンガーとして都内を中心としたミュージックイベントに出演したり、アートワークの展示をしたりしている。

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Photography: Shiori Kirigaya
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