「葉大根」が生んでくれた「初めまして、久しぶり、Hello!」。モデル/アーティスト・ベイン理紗が自分で育てた野菜を収穫し、東京で配ってみた |FEEL FARM FIELD #004 前編

Text: Lisa Bayne

2022.7.12

Share
Tweet

こんにちは、ベイン理紗です。
この連載「FEEL FARM FIELD」では東京で活動をしている私が山梨に畑をもつ中で出会う人についてや発見を綴っていきます。

「FEEL(五感を)FARM(農から) FIELD(広げていく)」という意味を込めて、3つのキーワードをもとに、知らなかったこと・知りたいこと・分からないことに愚直に向き合うことの楽しさ、面白さをお届けします。

この記事を読みながら、頭と身体で五感や繋がりを感じること、日々転がり落ちている興味を拾い上げてみることを一緒にできたら嬉しいです。
それぞれの頭も身体も心も、それぞれのものでしかないのだから。

width=“100%"

「また梅雨明けに〜!」と前回の連載記事を締めくくりましたが、果たして梅雨があったのか…?といいたくなるようなスピードで気候は変わり、とんでもない猛暑がやってきました。この記事を読む際も、室内との寒暖差、熱中症、くれぐれも気をつけてくださいね!

そんなこんなで今回は前編で#003で植えた野菜の収穫の話と、それをみんなに配ったときの話をします。そして後編では畑を貸してくれている養鶏場ROOSTER-HENHOUSEへのインタビュー。

生かし、生かされるために必要なバランスはどこの生物界にも、もちろん人間界にも存在する

さてさて、前回植えたタネたちがどうなっていたかというと…。

葉大根、ブロッコリー、アップルミントがすくすくと育っていました!連載 #002 前編で書いた通り以前はほとんどの野菜がうまく育たなくて悲しかったから、とっても嬉しくてずっと眺めておどおどしてた。今回、去年うまくいかなかった耕作とは大きく異なる点が2つある。それが、実際に野菜が育つ土の中(私は土界って呼んでます)の状態と、種自体に加工があるかどうか。人間が足りない栄養素をサプリで補給することで健康を保とうとするのと同じように、今回は農薬や加工土が混ざった環境で野菜を育てたおかげで成功した部分もあります。その細かな栽培方法の違いや、それぞれのメリットデメリットは過去の連載で話したりしているので、読んでみてください!

その中でも葉大根を大量に植えられるだけ植えたこともあって、こんなにたくさん育った。

width=“100%"

八ヶ岳を背にしながら、青空の下で葉大根をどんどん抜いていく。私の後ろにはすくすくと成長中のニンニク。そんなとても広大な場所にある畑です。

今回採れた野菜は、ブロッコリーとアップルミント、そして葉大根。実はこの葉大根の種、山梨県のとある場所で種を買おうとお店の開店待ちをしていたら話しかけてくれたおじちゃん2人とその娘さんが買ってくれたんです。バスに乗るまでの時間もあまりなくて、「カゴに早く入れな!」と言われて咄嗟に手に取ったのが葉大根でした(笑)。

知らない場所に出向くと、知らない人、知らない環境で起こるハプニングがあって、私はそういうのが大好き。そのおじちゃんから、農薬をあまり使いたくないのなら石灰や灰肥料がいいよ、と教えてもらいました。ホームセンターで見てみると「草木灰」と書いてあるものがあったんだけど、それが、土壌環境や栄養素になるんだって。

多くの植物は酸性を多く持つ土である酸性土壌が苦手だそう。土界にはいろんな菌がいて、微生物がいて、植物があって、太陽と雨があって、いろんな要素が重なり合って生き物が生かされているということを何となく知っていますか?その中でそれぞれのヒエラルキー、それぞれの環境の中でバランスを取り合って生態系が成り立って、初めて食事にありつくことができる。その土界にも存在しているバランスが、野菜や植物が育つために大きく関係している。植物がよく育つと言われている弱酸性の土壌。これは、その土地の環境や天気などのいろいろな理由で変わってくるみたい。酸性土壌でありすぎると、栄養を循環させるための機能がまわらなくなってうまく育たないみたいで、石灰や灰肥料を土に混ぜるのは、土界のバランスを保つための方法の1つなんです。

このことを今回野菜が育った畑を貸してくれている方に聞いてみたら、ここで畑を始めた時から石灰の肥料を混ぜて調整しているんだって。そうやって考えていくと、梅雨がなくなってしまったら野菜も育たなくなったり、生きるために必要な要素がなくなっていってるのかな、とか思ったり。どんな関係性にもバランスが必要で、そうやって成り立ってきたんだなと思うと、これから先考えるべきことってたくさんあるよな、とつくづく思いながら、葉大根を収穫してました。

width=“100%"

本当の意味での産地直送をして、初めまして、久しぶり、Hello!ができた

採って、採って、採って…また採って…おおよそ40本採れた。本当に嬉しい!
収穫しているうちに量の多さに気付き(今更)、どうしようか〜と話していた時、ゲリラでみんなにプレゼントしようと決めてInstagramで葉大根を受け取ってくれる人がいないか声をかけてみた。山梨でお世話になっている人や友人の分を除いて、東京で25本分の葉大根を受け取ってもらうべく、包んで、移動して、まさにこれが産地直送だ!とワクワクしながら準備を速攻で始めました。

収穫したものの中には途中で実が割れてしまっているものや、大量に植えたことで絡まり合って育ったものなど、いわゆる規格外になるものがありました。それらは畑の隣で飼われているヤギと、猪に食べてもらうことに。ヤギも猪もありがとう!!!
ここで気になるのが、規格外と言われる、お客さんに出せない野菜の行方。

以前手伝わせてもらった農家さんに規格外になってお客さんに届けられない野菜はどこにいくのか聞いたら、コンポストして肥料にしたり、自分達の家庭料理になったり、飼っているペットや家畜のご飯にしたり、基本的に無駄にはしないし、ならないと聞いたのを思い出した。農家さんや栽培方法にもよるだろうけど、私は全てが無駄になってしまうんじゃないかと思っていたから、直接農家さんの話を聞けたことはすごく良かったなと思っています。ただ、どんな形だとしても美味しい野菜であることは変わらないし、食品ロスが多くの問題を抱えているのは事実。見た目やクオリティで判断できない魅力が野菜を通してもっと伝わったらいいなと思ったりも。

この日私は夕方から仕事があったので休む暇なく収穫と梱包作業を地元の友人と農家さんに手伝ってもらい、飛んでいくように東京へ。約30本の大根を抱えながら意気揚々と帰っていく自分を特急列車の窓越しに見ながら3時間。野菜を抱えて歩いてるおしゃれさんが表参道とか歩いてたらカッコいいな、それが当たり前にできる世の中にならないかな、とか考えたり、野菜が欲しいってDMくれたあの子は数年ぶりだな、と懐かしんだり、あの子は初めましてだな、前々から会ってみたいと思ってたから嬉しいな、とドキドキしたり。疲労と期待が混じった3時間はなんともあっという間だった!それから2日間は葉大根を通してのコミュニケーションしかとってなかったような気がする。

数年ぶりの子とは恋愛話や仕事の話で盛り上がったり、初めましての子とは数日後クラブで再会してまた仲良くなったり、仕事で一緒になって以来だった方や、NEUT Magazineでお世話になってるNoemiさんも受け取ってくれて、同じタイミングで取りに来てくれた友人と実は繋がっていたり。いつの間にか葉大根を中心に出会いの輪が広がってた。そして嬉しかったのが、この連載を読んでくれている人がいたこと。昨年から畑を始めて連載を始めて、見えなかったつながりが一気に可視化されたような、そんな出会いと体験をできたような気がした。本当に地方と都市を繋げたんだ、みたいな。

そんな中で葉大根をどう料理に使ってくれたかが気になるところ。お味噌汁やおひたしとして食べてくれた友人や知人や、なかにはこんな料理を作ってくれた方々がいたのでご紹介。

 

width=“100%"

左と中央の写真は、オープンしたばかりの「MAZ」というレストランで料理人として働くSousuke Setoさんの料理。現在は日本国内にあるレストランで料理を振る舞いながら海外へ行くべく準備をしているそう。昨年、蓮根にある「PLANT」というお店で彼のコース料理をいただいたことがあった。日本の素材や草木を使った絶妙な創作料理で、とっても美味しかったし、今回もあの葉大根がこんなにも姿を変えてしまうなんて、料理人という職人は本当にすごい…!彼の料理を一度食べてみて欲しい。

右の写真は、食を中心に展開するカルチャーマガジンMCNAI MAGAZINEのメンバーで写真家のRinさん。彼は葉大根を機に初めましてしたうちの1人。お互い夏にフランスを訪れることやお互い写真を学んでいることもあり、葉大根をあいだにして会話が弾んでた。後日超絶美味しそうなグリル焼きにして食べてくれました。ありがとう!こうやって見ると、面白い流れで誰かの一部になっていく葉大根、すごいなと思う。

少し話を戻して…これまでの連載で出てきた畑とは別に、今回葉大根を育てた畑の場所を貸してくださってるのが、北杜市にある「ROOSTER HENHOUSE」という養鶏場と、「鶏は泥から」というキャンプ場。この代表を務めるのは徳光康平(とくみつ こうへい)さん。通称ミツさんである。

width=“100%"

後編では養鶏場「ROOSTER HENHOUSE」と「鶏は泥から」について綴りながら、東京から地方へ移住することや農に関わっていく上で生まれる社会への関心についても、触れていきたいと思います。

Share
Tweet
★ここを分記する

series

Creative Village